◆3月号(95巻3号) 刑事法の基本概念の意義を問う

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法解釈や立法の場面で、論者の望む結論に都合よく用いられる刑事法の基本概念に注目し、議論の土台が足り得ているかを検証する。

◆企画趣旨

 1 何故、基本概念の意義は問われなければならないのか
 本特集は、刑法からは罪刑法定主義、社会的相当性、刑罰の定義、自由意思を、刑訴法からは任意性、経験則を取り上げる。
 これらは立法の過程や刑事裁判に登場する基本概念であるが、その意義の吟味を欠いたまま安易に援用される場合 … (本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!

——2023年3月号目次——

◇特集 刑事法の基本概念の意義を問う

企画趣旨 … 樋口亮介
「罪刑法定主義」は何を要請するのか――明確性の原則を素材として … 樋口亮介
社会的相当性 … 深町晋也
刑罰の定義――拘禁刑の解釈を中心に … 小池信太郞
忘れられた「不可知論」の意味――刑事責任判断における「自由意思」 … 佐野文彦
任意性概念の意義から見た任意処分の諸類型 … 川島享祐
論理則・経験則の意義・機能をめぐる現状と課題 … 斎藤 司

◇特別企画 気候訴訟の動向――日本の司法は世界の危機感を共有できるか?

気候変動に対する司法的保護――ドイツからの「アミカス・ブリーフ」解題 … 島村 健
気候変動をめぐる国際枠組みの経緯と気候訴訟――ヴィンター教授のアミカス・ブリーフに寄せて … 浅岡美恵
温室効果ガスを排出する火力発電所に対する個人の司法審査へのアクセス――ドイツ法の観点から見た神戸石炭火力発電所に関する考察 … ゲルト・ヴィンター (浅岡美恵 訳)

NEW イギリス刑法の現在地・1
連載開始にあたって … 川崎友巳
「オンラインコミュニケーション」に対する刑事規制の新展開 … 山田 慧

法をめぐるミスコミュニケーション・2-1
親子法をめぐる法と科学技術のミスコミュニケーション(上) … 中村多美子

幻の創文社版『憲法綱要』とその批判的検討・3
憲法典・間テクスト性・憲法学――2つの『講義』と2つの『綱要』 … 石川健治

行政法学のリ・デザイン――二元的思考を超えて・2-2
行政法における一般法と個別法(下) … 北島周作

日本的雇用を問い直す・3
労働法が保護の対象としているのは「会社員」だけなのか?
――労働法の適用範囲のあり方を問い直す … 細川 良

信用の基礎理論構築に向けて・9-1
租税国家の危機 2.0(上)――財政・貨幣・金融の連関構造の動揺と再構築? … 藤谷武史

紛争が戦争とならないために――領域支配をめぐる対立の制御における国際法の役割・5
国際紛争平和的処理手続による紛争制御の試み――コスタリカの例 … 李 禎之

憲法訴訟の醸成――実務と学説が導く可能性・21
憲法裁判と司法権(上) … 野坂泰司

平成民法学の歩み出し・19
「保護」から「支援」へ、そして――大村敦志「消費者・消費者契約の特性」 … 原田昌和

著作権法と刑法の語らい・5
[ハイスコアガール事件]著作権法における民事と刑事の役割分担に向けて
――それにつけても著作権法119条1項は改正されるべきである。 … 金子敏哉

法律時評

刑事事件記録の廃棄を考える――国民共有の知的資源としての扱いを福島 至

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