◆8月号(84巻9号) 裁判員制度と新しい刑事手続の現在

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公判中心主義の再生という視点から、裁判員制度とそれにともなう「新しい」刑事手続全体について、現在の課題に理論的検討を加え、進むべき方向を示す。

 
<特集「裁判員制度と新しい刑事手続きの現在」より>

◆裁判員制度における民主主義と自由主義――本特集の趣旨に触れながら

1 本稿の目的
 裁判員法の施行から3年が経過した。それにともない、公判審理にとどまらず、刑事手続全体に変化が生じている。しかし、裁判員制度については、違憲の疑いも提起されてきた。また、おおむね順調な運用という評価の一方、看過しがたい問題や混乱も指摘されている。これらの多くは、制度創設過程において、制度目的が十分明確化されなかったことと無関係ではない。裁判員の負担軽減や分かり易い審理のみが追及されるならば、作成や朗読の仕方に注意を払いさえすれば、事実を整然としたストーリーに纏めあげた供述調書に依拠した方が、効率的で分かり易いということにもなりかねず、 … (本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!

 

——  2012年8月号目次 ——

 

◇特集=裁判員制度と新しい刑事手続の現在

裁判員制度における民主主義と自由主義――本特集の趣旨に触れながら … 葛野尋之
被疑者取調べの「可視化」――録画DVDの証拠利用の是非 … 正木祐史
証拠開示 … 松代剛枝
裁判員制度下における精神鑑定の課題 … 本庄 武
伝聞法則と供述調書 … 堀江慎司
事実認定 … 中川孝博
評議の適正の確保と評議の秘密 … 三島 聡
控訴審における事実誤認の審査――最判平24・2・13の意義 … 田淵浩二

 

▼小特集=重大・組織的な人権侵害に対する国際社会の対応

国連人権機構による対応と課題 … 今井 直
重大・組織的な人権侵害とヨーロッパ人権条約制度――チェチェン紛争に対する対応を中心に … 小畑 郁
国連安保理による重大且つ組織的な人権侵害への対応と保護する責任
 ――冷戦後の実行とリビア、シリアの事例を中心として … 清水奈名子
 (※本文内容に一部訂正があります。→訂正・追録履歴
重大・組織的な人権侵害事態と国際刑事裁判所(ICC) … 東澤 靖
 
【連載】財産権保障における「近代」と「前近代」――震災とTPPを契機とする再考・8 … 中島 徹
 
契約(債務)不履行による損害賠償の基本構想 … 白石友行
 
要件事実論と中国における民事裁判 … 小林正弘
 
【連載】強行法と任意法
学説・判例にみる法定債権規定の強行法規性 … 織田博子
 
【連載】刑事訴訟法理論の探究
別件逮捕・勾留と余罪取調べ――実体喪失説の有力化と本件基準説の課題 … 京  明
 
「法科大学院問題」解決への展望【法律時評】 … 戒能通厚