経済セミナー 編集部ブログ 今月の最新記事

室岡健志「行動経済学」連載第1・付録(2019/09/12)

経済セミナー連載(2019年10・11月号よりスタート)
室岡健志「行動経済学:人の心理を組み入れた経済理論」

連載第1回 行動経済学への招待 ウェブ付録
(『経済セミナー』2019年10・11月号掲載)

このサイトでは、連載第1回で紹介されたセルフコントロールの問題に関連する研究論文です(論文タイトルにリンクが貼られています)。

本連載全体のサポートサイトは【こちら

タイトルMBE_1

 


■セルフコントロール・貯蓄行動・理論
著 者:Laibson, David
タイトル:Golden Eggs and Hyperbolic Discounting
掲載誌:Quarterly Journal of Economics
出版年:1997年

■セルフコントロール・貯蓄行動・理論
著 者:Diamond, Peter; Koszegi, Botond
タイトル:Quasi-Hyperbolic Discounting and Retirement
掲載誌:Journal of Public Economics
出版年:2003年

■セルフコントロール・貯蓄行動・実証
著 者:Ashraf, Nava; Karlan, Dean; Yin, Wesley
タイトル:Tying Odysseus to the Mast: Evidence From a Commitment Savings Product in the Philippines
掲載誌:Quarterly Journal of Economics
出版年:2006年

■セルフコントロール・購買行動・理論
著 者:DellaVigna, Stefano; Malmendier, Ulrike
タイトル:Contract Design and Self-Control: Theory and Evidence
掲載誌:Quarterly Journal of Economics
出版年:2004年

■セルフコントロール・購買行動&健康・実証
著 者:DellaVigna, Stefano; Malmendier, Ulrike
タイトル:Paying Not to Go to the Gym
掲載誌:American Economic Review
出版年:2006年

■セルフコントロール・健康・実証
著 者:Acland, Dan; Levy, Matthew R.
タイトル:Naivete, Projection Bias, and Habit Formation in Gym Attendance
掲載誌:Management Science
出版年:2015年

■セルフコントロール・教育・実証
著 者:Ariely, Dan; Wertenbroch, Klaus
タイトル:Procrastination, Deadlines, and Performance: Self-Control by Precommitment
掲載誌:Psychological Science
出版年:2002年

■セルフコントロール・求職活動・理論&実証
著 者:DellaVigna, Stefano; Paserman, M. Daniele
タイトル:Job Search and Impatience
掲載誌:Journal of Labor Economics
出版年:2005年

■セルフコントロール・労働契約・実証
著 者:Kaur, Supreet; Kremer, Michael; Mullainathan, Sendhil
タイトル:Self-Control at Work
掲載誌:Journal of Political Economy
出版年:2015年

 ■セルフコントロール・課税&健康・理論&実証
著 者:Gruber, Jonathan; Koszegi, Botond
タイトル:Is Addiction “Rational”? Theory and Evidence
掲載誌:Quarterly Journal of Economics
出版年:2001年

■セルフコントロール・課税&健康・理論
著 者:O’Donoghue, Ted; Rabin, Matthew
タイトル:Optimal Sin Taxes
掲載誌:Journal of Public Economics
出版年:2006年

■セルフコントロール・医療・理論
著 者:Baicker, Katherine; Mullainathan, Sendhil; Schwartzstein, Joshua
タイトル:Behavioral Hazard in Health Insurance
掲載誌:Quarterly Journal of Economics
出版年:2015年

発売!『経済セミナーe-book』No.10【消費税で入門!公共経済学】(2019/09/04)

消費税で入門!公共経済学(経済セミナー e-Book 10)の配信を開始!

『経済セミナー』2019年8・9月号の特集記事をまとめて、本体500円の電子ブック(Kindle プリントレプリカ)でご提供します。ぜひご利用下さい!

【消費税で入門!公共経済学】
2019年10月に予定される消費税引き上げをめぐり景気への悪影響が懸念される一方、社会保障をはじめとする公共サービスの財源確保も重要な課題である。消費税率の改定を機に、税や政府の役割、さらには公共経済学の役割について、日本の事例やデータを紹介しつつ、考えたい。


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【主な目次】

【対談】消費税と社会保障のゆくえ……佐藤主光×鈴木亘
消費税は景気を悪くするのか?:税制とマクロ経済……平賀一希
消費税と地方財政の関係は?:安定財源としての地方消費税……上村敏之
なぜ消費税を上げるのは難しいのか?:消費増税の政治経済学……小林航
なぜ消費税を上げるのか?:最適課税理論と日本の選択肢……西村幸浩
行動経済学は税制を変えるのか?:行動経済学と税制……國枝繁樹

発売!『経済セミナーe-book』No.9【徹底マスター!最適化】(2019/07/24)

『経済セミナーe-book』No.9(徹底マスター!最適化)の配信を開始!

『経済セミナー』2011年10・11月号掲載で、長らく好評を頂いていた特集記事をまとめたものです。経済学で必須の知識である「最適化」を、初級から中級以上までガイドします。

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【徹底マスター!最適化】
経済数学の重要ポイントである最適化。初学者から上級まで、それぞれの段階の最適化問題を紹介しつつ、自分で解けるようにする。

【対談】数学からみる経済学:社会のモデル化と数学的手法……楠岡成雄×武隈愼一
・経済数学事始め……丹野忠晋
・制約付き最大化問題を解く……図斎大
・経済学で出る包絡線定理……尾山大輔・安田洋祐
・経済学と不動点定理……浦井憲
・分離超平面定理とその応用……原千秋
・マクロ経済学における動的最適化……上東貴志

室岡健志「Workshop on Behavioral Contract Theoryを開催して」補足情報(2019/06/13)

『経済セミナー』2019年8・9月号掲載の、室岡健志「Workshop on Behavioral Contract Theoryを開催して」(学会・研究会レビューVol.26)の補足情報を提供しています。

以下では、ワークショップ当日の報告論文、および本誌で紹介された関連研究、室岡先生ホームページで公開中の詳細情報へのリンクを紹介しています。

 

■当日の報告論文、および本誌で言及した論文等(報告順、所属は2019年6月時点)

 

1) Hideshi Itoh(伊藤秀史、早稲田大学)

[報告論文]
“Image Concerns in Teams.”
[記事内で言及された同氏の出版論文]
Hideshi Itoh (2004) “Moral Hazard and Other‐Regarding Preferences,” Japanese Economic Review, 55(1):18-45.

 

2) Matthias Fahn(オーストリア・リンツ大学)

[報告論文]
“Reciprocity in Dynamic Employment Relationships.”
[記事内で言及された同氏の出版論文]
Matthias Fahn and Hendrik Hakenes “Teamwork as a Self-Disciplining Device,” American Economic Journal: Microeconomics, forthcoming.

 

3) Heiko Karle(ドイツ・フランクフルト金融経営大学)

[報告論文]
“Consumer Search and the Uncertainty Effect.”
[記事内で言及された同氏の出版論文]
Heiko Karle and Martin Peitz (2014) “Competition under Consumer Loss Aversion,” RAND Journal of Economics 45(1): 1-31.
Heiko Karle and Heiner Schumacher (2017) Advertising and Attachment: Exploiting Loss Aversion through Pre-Purchase Information,RAND Journal of Economics 48(4): 875-1135.

 

4) Takeshi Murooka(室岡健志、大阪大学)

[報告論文]
“Zero Prices: Optimal Pricing of Experience Goods under Consumer Loss Aversion.”
[報告論文に関連した自身の出版論文]
Kohei Daido and Takeshi Murooka (2016) “Team Incentives and Reference-Dependent Preferences,” Journal of Economics & Management Strategy, 25(4): 958-989.
Kohei Daido, Kimiyuki Morita, Takeshi Murooka, and Hiromasa Ogawa (2013) “Task Assignment under Agent Loss Aversion,” Economics Letters, 121(1): 35-38.

 

5) Fabian Herweg(ドイツ・バイロイト大学)

[報告論文]
“Salience in Retailing: Vertical Restraints on Internet Sales.”
[記事内で言及された同氏の出版論文]
Fabian Herweg, Daniel Muller and Philipp Weinschenk (2010) “Binary Payment Schemes: Moral Hazard and Loss Aversion,” American Economic Review, 100 (5): 2451-2477.
Fabian Herweg and Konrad Mierendorff (2013) “Uncertain Demand, Consumer Loss Aversion, and Flat-Rate Tariffs,” Journal of the European Economic Association, 11(2): 399-432.

 

 

6) Antonio Rosato(オーストラリア・シドニー工科大学)

[報告論文]
“Projection of Private Values in Auctions.”
[記事内で言及された同氏の出版論文]
Antonio Rosato (2016) “Selling Substitute Goods to Loss-Averse Consumers: Limited Availability, Bargains and Rip-offs,” RAND Journal of Economics, 47(3): pp.709-733.
Antonio Rosato and Agnieszka A.Tymula (2019) Loss aversion and competition in Vickrey auctions: Money ain’t no good,” Games and Economic Behavior, 115, pp.188-208.

 

 

7) Paul Heidhues(ドイツ・デュッセルドルフ大学)

[報告論文(基調講演)]
 ”Identifying Procrastination from the Timing of Choices.”
[記事内で言及された同氏の出版論文]
Paul Heidhues and Botond Kőszegi (2018) “Behavioral Industrial Organization,” in B. Douglas Bernheim, Stefano DellaVigna and David Laibson (eds.) Handbook of Behavioral Economics: Applications and Foundations 1, North-Holland, Chapter 6.

 

 

■当日のプログラム等

室岡健志先生(大阪大学大学院国際公共政策研究科)ホームページにて、当日のプログラム等の情報が公開されています。ぜひご覧ください。

Workshop on Behavioral Contract Theory, Osaka, April 20, 2019

『経済セミナー』2019年6・7月号のサポートページを開設しました

『経済セミナー』2019年6・7月号、特集「統計の役割を考える」のサポートページを開設しました!

【こちら】

特集記事内で触れられている統計等の情報をピックアップしてまとめています。ぜひご覧ください。

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『経済セミナー』2019年6・7月号(No.708)

[2019年5月27日発売]

特集 統計の役割を考える(Contents)

  • [対談]統計が果たすべき役割と改善への道筋/北村行伸×重岡仁

  • [インタビュー]統計問題の本質/西村清彦

  • 家計・消費統計と経済学/宇南山卓

  • 企業行動と経済統計/宮川努

  • 労働統計と経済学/山本勲

  • GDP統計と経済学/小巻泰之

  • 物価統計における民間データの活用/渡辺努

  • 日本の統計の質はどう評価できるのか?――経済学研究者の視点から/川口大司

発売!『経済セミナーe-book』No.7(2019年4・5月号特集収録)

2019年4・5月号・特集「経済学で疑問解決」を収録した『経済セミナーe-book』No.7 が発売になりました!(Amazon Kindle版、税込540円税込)

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経済学で疑問解決(経済セミナー e-Book 7)

経済学をこれから学ぶ人を対象とした経済学入門の特集。経済学を学ぶ意義を、具体的な社会問題を考えることで紹介!

オリンピック・パラリンピックにはどんな経済効果があるのか……牛島光一
財政赤字はなぜ問題なのか……中里透
軽減税率は導入すべきなのか……中田大悟
巨大デジタル・プラットフォーマーが問題視されるのはなぜか……黒田敏史
外国人労働者の受け入れは何が問題か……中島隆信
なぜ子どもの貧困は増加したのか……阿部彩
【座談会】「経済学の魅力と有用性:学ぶ側の視点から」
      ……東京大学公認学生団体UTEA
        小田原悠朗×金子雄祐×小林雅典×澤山健×中神響子

 

「座談会」内では、UTEAが2018年11月の駒場祭に開催した、学術企画「経済学研究の最前線」の模様もお話頂いています。詳細はUTEAホームページ内の【こちら】もご覧ください。

座談会にご参加頂いた金子雄祐さん(サイバーエージェント)による紹介記事:「東京大学駒場祭学術企画『経済学研究の最前線』でお話したこと~アドテク,経済学 , 機械学習,因果推論~」。「企業の中の経済学」と題した報告の資料もアップされています。

「経済関連テキスト」のウェブサービス情報をまとめました(2019.04.03)

経セミブログ内、以下のページに、弊社が発行する経済関連書籍の中でウェブサービスを提供している書籍と、その関連ウェブサイトの紹介とリンクを集めた【ページ】を作成しました。

ミクロ・マクロ」「経済数学」「統計・計量・実証」「各論」に分けて、さまざまなウェブ上の追加情報や関連サービスを紹介しています。

以下のサイトから是非ご覧ください!

【経済関連テキスト】のウェブサービス一覧

【経セミ連載中記事】のWebサポート提供中!(2019.03.29)

『経済セミナー』で2019年3月現在連載中の以下の記事について、Webサポートを提供しています。

詳細は、【こちら】をご覧ください!


 北尾早霧・砂川武貴・山田知明「定量的マクロ経済学と数値計算」
 (2018年12・19年1月号~継続中)
  本誌内の分析等を再現するためのコードがアップされています(MATLAB、Python、Julia)。

青柳恵太郎・小林庸平「EBPMの思考法 やってみようランダム化比較試験!」
 (2019年4・5月号~継続中)
  本誌の各トピックに対する演習問題を掲載しています。補足説明や問題の解説も提供します。

『経済セミナーe-book』(Kindle版)発売中!

『経済セミナー』各号の特集を集めた電子書籍(Amazon Kindle版、各540円(税込))を発売しています。コンテンツは随時追加予定。

学習に役立つコンテンツ、現実の問題に経済学で切り込む企画、新学期のガイダンス企画、各分野のホットトピックをナビゲートする企画など、さまざまなラインナップをお届けします。


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災害と経済学(経済セミナー e-Book 6)

地震、台風、大雨、噴火など、日本各地で多様な災害被害が発生している。これら自然災害に対して経済学は何ができるのか。

【対談】東日本大震災から何を学ぶか:想定外を想定する想像力……齊藤誠×星岳雄
自然災害と経済成長……乾友彦 サプライチェーンを通じた災害の経済被害の波及……戸堂康之
災害後の革新と創造:東日本大震災後の聞き書きから……上村麻子・星岳雄
災害リスクとリスク管理……堀江進也・馬奈木俊介
原発事故の被害拡大状況の推計……行武憲史
自然災害は人々の選好にどのような影響を与えるか……澤田康幸・黒石悠介

検証:現代日本の金融政策(経済セミナー e-Book 5)

黒田総裁就任以降のこれまでの日銀の金融政策は、物価の上昇、日本の景気回復に対し、どのような効果があったのか。現段階でのデータをもとに経済学者が金融政策を分析するにあたり、確かな研究に基づいて言えることを紹介する。

【対談】異次元の金融緩和政策をどう評価するか……伊藤隆敏×塩路悦朗
黒田総裁以降の金融政策:これまでの歩みと出口への展望……福田慎一
非伝統的政策のマクロ効果:QQE以降何が変わったのか……小枝淳子
政策金利とフォワードガイダンスの効果……柴本昌彦
財政ファイナンス色を帯びてきた日銀の資産買い入れ……左三川郁子
量的緩和の出口と日銀損失の試算……戸村 肇

経済学を問い直す:経済学方法論への招待(経済セミナー e-Book 4)

なぜ経済学は抽象的なのか。なぜビジネスとの関わりが薄いのか。そもそも経済学とは「科学」なのか。経済学に寄せられるさまざまな批判に対して経済学方法論というツールがどのような役割を担い応えているのか、解説する。

【鼎談】経済学への疑問、批判、そして期待……有江大介×野原慎司×横山禎徳
【インタビュー】経済学の省察:幅広い科学論の適用を目指して
    ……D. ウェイド・ハンズ高見典和(聞き手・文)、野原慎司(聞き手)
科学方法論と経済学:経済学を哲学的に考える……原谷直樹
J. S. ミルの経済法則概論:その現代的意義……佐々木憲介
厳しさ(経済)と優しさ(福祉)の接点……小峯敦

いま知りたい開発経済学(経済セミナー e-Book 3)

貧富の差を埋める活動は、世界規模で、数多くの団体によって行われている。しかし、そのコストや問題点については、つねにさまざまな議論が交わされる。多様な意見や社会情勢の影響を受ける援助・開発の分野において、根拠をもった経済学の知見が果たす役割は大きい。「現場」に生きる経済学を、いまこそ見つめ直したい。

【鼎談】現場では何が問題となっているのか……青柳恵太郎×佐藤寛×高崎善人
開発経済学の功績……黒崎卓
開発経済学の潮流:データを切り口に……山﨑潤一
アフリカにおける緑の革命にむけて……中野優子
開発経済史:「途上国」日本からの学び……有本寛
行動経済学/実験経済学を用いた開発経済学の可能性:
    さぼり癖と義理人情と経済発展……庄司匡宏

 賃金の決まり方を経済学で考える(経済セミナー e-Book 2)

「人手不足なのに賃金が上がらない」「同一労働でも正規雇用者と非正規雇用者での賃金に差がある」など、賃金をめぐる問題が近年注目を集めている。そもそも賃金とはどのようにして決まるのか。経済学での扱い方を解説することからはじめ、現実との相違点などを明らかにしていく。

【対談】産業構造の変化・グローバル化と賃金の動向……清田耕造×近藤絢子
人的資本と賃金の決まり方……横山泉
非正規雇用と賃金……鶴光太郎
男女間の賃金格差はなぜ生まれるのか……臼井恵美子
「どこで働くのか」が賃金を決める……近藤恵介
情報通信技術や人工知能で賃金・雇用はどう変わるか……久米功一

 経済学のリテラシーを高めよう(経済セミナー e-Book 1)

経済学には多様な分野がある。また、18世紀ごろから始まった比較的新しい学問ということもあり、いまでも新たな理論や分析手法が生まれ続けている。これから経済学を学ぶ人、かつて経済学を学んだ人へ、現在の経済学を活用するヒントを提供する。

【対談】知れば得する経済学……大竹文雄×小巻泰之
[ミクロ経済学]「需要曲線と供給曲線の交点で価格は決まる」
    なんて言われてもピンとこなかった人たちへ……市野泰和
[マクロ経済学・金融政策論]日本銀行の金融政策:その効果と限界……寺西勇生
[労働経済学]就職活動の仕組み:「情報の非対称性」をいかに解消するか……安藤至大
[環境経済学]環境問題を経済学で解決:排出量取引って何?……有村俊秀
[開発経済学]MDGsからSDGsへ:理想主義から一国中心主義へ……山形辰史
[法と経済学]法律は経済にどんな影響を与えるのか……柳川範之
[経済史学]江戸時代日本の経済分析からみえる経済史学の可能性……高槻泰郎
[社会保障・実証分析]福祉国家と社会保障の実証分析:日本についての研究を中心に……安藤道人

2・3月号所収「介護人材不足——介護報酬・加算で人材は集まるか…栃本一三郎」の注

1) 日本介護福祉士会の調査は、行政が行っている調査と比較すると興味深いデータとなっている。1つは、前年の同じ調査における平均的な給与は上がっている階層もあれば、そうでない階層もあるという事実。また平均すると5000円程度の引き上げにしかなっていないということである。また「平成28年7〜9月の3カ月における1カ月分の平均的な給与(税込み)はおよそいくらですか」という問い(通勤手当、扶養手当は含むが、賞与は除く)に対して、平均は21万2000円であったが、15万から20万未満が28.9%、20〜25万未満が28%、25〜30万未満が11.4%、30〜35万未満は6.6%、35万以上が、5.6%となっている(無回答5%)。この調査は介護福祉士の資格所得者であり、かつ介護福祉士であって管理職のものも含まれている。従来の賃金実態調査では、いわばヒラの現業員の給与しかわからず、かつすでに述べたように雇用や勤務形態、勤続年数が違うものを比較しているデータであり、このことも介護従事者の賃金が低いことを印象付ける(それを狙うには良いデータであるが)原因となっている。

2) 経営実態調査は介護報酬が事業の生命線であることからきわめて重要である。介護保険制度導入以降に行われ、それなりの努力がなされているが、介護報酬の水準の適切さを検証するためのデータとしては課題がないわけではない。客体数や客体の偏り、在宅サービス事業者などのデータの信ぴょう性等課題はあり、それらに基づいて検証した場合、数字のみがとりあげられ、その元となっている限界について一般には知られないということが起きる。準市場におけるサービス価格が介護報酬という人為的、人工的な水準設定によっていることの限界についてより注意が必要であり、これらの解消策にもなることとして2つ取り上げておく。どちらも、統制価格から外すということである。

1つが、ドイツと同じように現物サービスとともに現金給付を併用させ、現金給付を使ってサービスを購入した場合、基準や規制なしに価格を自由に設定し、時間に縛られないサービスが提供できる。また、同じことが保険外サービス、いわゆる混合介護についてもいえる。細かな規制があるために効率的、効果的、そして利用者本位のサービスが提供できないということが起きており、せっかくの市場経済の下で行われるサービスであるにも関わらず、サービスやマネジメントのイノベーションが起きにくい環境が現在の介護サービス市場といえる。

混合介護と現金給付化がこれからのわが国の介護人材と介護サービスのイノベーションにとって必須の事柄であると考える。