◆3月号(84巻3号) 自治体における分権改革の諸相
地方分権改革によってどのように地方自治の保障が高められるか、自治体の諸相を住民自治の保障と住民の基本的人権の保障の観点から分析する。震災復興を地域に根ざしたものとするための視点も提供。
<特集「自治体における分権改革の諸相」より>
◆分権改革の展開とナショナル・ミニマム
1 分権改革の展開
「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律87号。以下「分権推進一括法」という)が施行されてから12年が経過した。分権推進一括法は、地方分権推進委員会(1995年7月~2001年7月)の第一次から第四次までの勧告を具体化したものであり、そこで提言された「国と地方公共団体との役割分担の原則」に基づいて、それまで自治体の執行機関を国に従属させていた機関委員事務を廃止し、自治体の事務を自治実務と法廷受託事務に再編成するとともに、国等による自治体に対する行政的関与を定形化・法定化し、これを自治体が法的に争う手続を確立した。……(本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2012年3月号目次 ——
◇特集=自治体における分権改革の諸相
分権改革の展開とナショナル・ミニマム … 本多滝夫
分権改革と条例制定権の拡大 … 三浦大介
国からの訴訟による自治体行政の適法性の確保 … 白藤博行
特区制度と地方分権 … 大田直史
指定管理者制度の課題――地方行政「改革」の一環として … 荒木 修
自治体基本構造をめぐる議論の動向 … 駒林良則
地方議会改革と住民自治 … 田中孝男
自治体の広域化と地方自治――市町村の基礎自治体化及び道州制を中心として … 長内祐樹
民主党政権下の「地域主権改革」と地方財政――道州制・一括交付金を中心に … 川瀬憲子
▼日本における「法学」の現状と可能性――法実務・実定法学・基礎法学
日本における「法学」の現状と可能性――シンポジウムの企画趣旨 … 楜澤能生
始まりの法律学――実務・法典・解釈 … 岩谷十郎
民法(親族・相続編)の立法解釈に在る戸籍先例の残影 … 奥山恭子
公法学と法実務・基礎法学 … 岡田正則
法律学と法実務との連携のための課題――ある情報公開最高裁判例を素材に … 馬場健一
法解釈学における理論構築と基礎法学 … 笹倉秀夫
破産管財人の源泉徴収義務と源泉徴収税債権の優先順位――アメリカ法を素材とした一考察 … 渕 圭吾
【連載】財産権保障における「近代」と「前近代」――震災とTPPを契機とする再考・3 … 中島 徹
【連載】イギリス憲法の実像――その歴史的文脈・11 … 戒能通厚
知識の変革としての自由民権運動【法律時評】 … 福井 淳