◆10月号(82巻11号) 民法(債権法)改正と労働法
民法(債権法)改正の議論に関わって、民法の「雇用」部分での改正論議の検討を行う。この問題は、民法と労働法の関係という、労働法の根幹にも関わる理論問題でもある。
<特集「民法(債権法)改正と労働法」より>
◆思想としての民法と労働法
はじめに
現在、法務省や民法研究者あるいは弁護士を中心に民法の総則と債権法の改正に向け精力的な検討が進められている。その一つが、民法(債権法)改正検討委員会(以下、検討委員会)の作業であり、2009年3月に検討結果として検討委員会編『債権法改正の基本方針』(商事法務)が公表されている(その後これを詳しく解説した『詳解 債権法改正の基本方針Ⅰ~Ⅴ』(商事法務)が出されている)。その他にも、2008年9月には椿寿夫ほか編『民法改正を考える』(日本評論社)が、2009年10月には民法改正研究会(以下、改正研究会)編『民法改正 国民・法曹・学界有志案』(日本評論社)等が発表されている。……(本誌より抜粋)
—— 2010年10月号目次 ——
◇特集=民法(債権法)改正と労働法
思想としての民法と労働法 … 和田 肇
雇用、労働契約と役務提供契約 … 鎌田耕一
契約の成立と変更に関する民法改正案と労働契約 … 根本 到
公序良俗・不実表示・約款規制と労働法 … 矢野昌浩
民法改正案(時効・受領強制・危険負担)と労働法上の課題 … 唐津 博
労働契約における民法六二四条・六二五条・六二九条の意義 … 山下 昇
労働契約の解除に関する規定をどのように整序したらよいか … 武井 寛
【民法典はどこへいくのか】 その3
法務省民事局の法制審・民法部会の立ち上げは、閣議決定違反か … 加藤雅信
◇奥田昌道先生に聞く・2
――恩師、民法学、スポーツ
第二部その1 法律行為の代理 …奥田昌道・金山直樹・松岡久和・佐々木典子
小特集=実体法と手続法
法的思考の基本構造――実体法と手続法の思考枠組 … 樺島博志
実体法と手続法の間――空知太神社訴訟最高裁判決を素材として … 蟻川恒正
機会の喪失論の現状と課題・1 … 中原太郎
債権法改正論議と請求権競合問題――川島武宜の復活? … 小粥太郎
身分占有と訴訟要件 … 金子敬明
口頭弁論終結後の承継人に対する既判力の拡張――訴訟法と実体法との関係についての一考察 … 菱田雄郷
環境訴訟における保護法益の主観性と公共性・序説 … 大塚 直
フランス債務法改正の最新動向――懲罰的損害賠償導入の可能性 … 廣峰正子
本格始動した改正検察審査会【法律時評】 … 新屋達之