◆2月号(90巻2号) 岐路に立つ法人所得課税
法人所得課税制度の根幹に関わるような問題が、世界的に相次いでいる。店舗など一定の「場所」を前提とする現状の仕組みそのものに構造的な限界はないのか。各国の施策にも目を向け、理論的に迫る。
◆企画趣旨
近年、先進国間における法人実効税率引下げ競争は、益々熾烈さの度合いを強め、もはやrace to the bottom(底辺への競争)と呼ぶに相応しい状況を呈している。
例えば、先進国の中でも特に法人税率引下げのペースが速い英国は、2011年4月から、法人税率(英国では法人税率=法人実効税率である)をそれまでの28%から26%に引き下げ、その後も、12年4月から24%、 … (本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2018年2月号目次——
◇特集=岐路に立つ法人所得課税
企画趣旨 … 太田 洋
法人所得課税の勃興と隆盛 … 髙橋祐介
法人所得税における仕向地原則の採用とその実現可能性 … 藤岡祐治
キャッシュ・フロー法人税の理論と課題 … 長戸貴之
上場企業の留保利益に対する課税と配当・賃金・設備投資 … 渡辺徹也
サービスPE・仮想PEの可能性と限界 … 浅妻章如
所得相応性基準の導入に関する諸問題 … 伊藤剛志
BEPSプロジェクトの限界と法人所得課税の黄昏 … 古賀敬作
法人税の課題と未来 … 渕 圭吾
▼小特集 政府活動のガバナンス
企画趣旨 … 亘理 格
自衛隊「日報」問題と情報公開の機能 … 板垣勝彦
森友学園事件から見えてくる法的問題――随意契約・公文書管理・情報公開
… 村上裕章
辺野古新基地建設工事における国の無許可の岩礁破砕
――水産庁の突然の漁業法解釈変更の背後にあるもの … 人見 剛
文部科学省再就職斡旋事件 … 徳本広孝
加計学園問題と情報公開・公文書管理 … 藤原靜雄
租税国家原理とドイツ財政憲法の構造転換 … 三宅雄彦
【連載】戦後憲法学の70年を語る――高橋・高見憲法学との対話・3-1
第7回 司法権の概念
… 高橋和之・高見勝利/宍戸常寿・林 知更・小島慎司・西村裕一
【連載】原発問題から検証する公法理論・3
規制基準とリスクの社会的受容性 … 黒川哲志
【連載】民法理論の対話と創造・11-2 [最終回]
[座談会] 民法学のなやみ(下)――「民法理論の対話と創造」を振り返って
… 藤澤治奈・白石 大・荻野奈緒・齋藤由起・髙 秀成・水津太郎・鳥山泰志・根本尚徳・伊藤栄寿・山城一真
【連載】拐取罪を巡る比較法的・沿革的分析・3-1
オーストリア刑法における未成年者の引離しを巡る議論状況(上)
――両親による子の奪い合い事例を中心に … 佐藤陽子
【連載】労働法理論の探究・4-2
労働法における企業パラダイムの現状と可能性(下) … 矢野昌浩
【連載】債権法判例の行方・7
数量に関する契約不適合と損害倍賞の内容 … 田中 洋
所有者不明土地問題の検討課題【法律時評】 … 武川幸嗣
受信契約制度の合憲性――最高裁2017年12月6日大法廷判決【判例時評】 … 長谷部恭男