◆10月号(83巻11号) 非訟事件手続法・家事事件手続法の制定
本年5月、国会で成立した非訟事件手続法と家事事件手続法について、改正法を鳥瞰するとともに、手続保障、裁判所の役割、実効性確保等、改正内容の適否や課題を検討する。
<特集「非訟事件手続法・家事事件手続法の制定」より>
◆非訟事件手続法・家事事件手続法の制定の理念と課題
(1) 旧非訟事件手続法の制定
旧々非訟事件手続法は、1890年に旧民法の付属法としての位置づけで立法されたものである。この法律は、全部で45か条であり、総則部分はわずか3か条に過ぎないもので、別途、増価競売法や裁判上代位法が個別法として存在していた。しかるに、いわゆる法典論争によって旧民法の施行が延期されたことに伴い、非訟事件手続法についても施行が延期され、法典調査会における現行民法の審議と並行して、その改正の議論がされた。そして、1898年に、現行民法の制定に伴い、現行非訟事件手続法が制定されたものである。これは、ドイツの非訟事件手続法案を参考にしたものとされ、この法律は、その後足かけ3世紀110年以上にわたり、ほとんど実質的な改正はされてこなかった。……(本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2011年10月号目次 ——
◇特集=非訟事件手続法・家事事件手続法の制定
非訟事件手続法・家事事件手続法の制定の理念と課題 … 山本和彦
非訟事件手続・家事事件手続における当事者等の手続保障 … 徳田和幸
非訟事件手続・家事事件手続における裁判所の役割 … 本間靖規
非訟事件手続・家事事件手続における実効性確保
――審判前の保全処分に関する法改正 … 長谷部由起子
家事審判・家事調停の改革についての評価と課題
――実体法の視点から … 小池 泰
――手続法の視点から … 佐上善和
――実務家の視点から … 梶村太市
会社非訟事件の現状と課題 … 中東正文
▼特別企画 東日本大震災と法
福島第一原子力発電所事故による損害賠償 … 大塚 直
法科大学院時代における法学研究者養成への道 … 奥田昌道
注目される「知る権利」と「インカメラ」――情報公開法改正案の概要と論点 … 畠 基晃
アメリカ法教育見聞記(第1回) … 神谷説子
【連載】イギリス憲法の実像――その歴史的文脈・8 … 戒能通厚
核兵器と核エネルギーの犯罪性――ヒロシマからフクシマへ【法律時評】 … 浦田賢治