◆1月号(90巻1号) 「責任」の意義の多角的検討
刑法における「責任」の本質について、刑法学のみならず、脳科学・神経科学、哲学、精神医学の見地からも検討を加え、多角的なアプローチを通してその意義を解明する。
◆企画趣旨
1 責任とは何か、を問うことは、刑事制裁・刑罰の成り立ちを問うことであり、刑法学にとってはその根幹をなす最も重要な問いである。責任とは、避難の意味合いを含んだ、構成要件該当違法な行為に対する反作用であるというところまでは、大方の合意が得られているが、そこでいう「非難」がどのような内実を持つかが、すでに激しい議論の対象となっている。 … (本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2018年1月号目次——
◇特集=「責任」の意義の多角的検討
企画趣旨 … 安田拓人
責任非難の意義――複数の視点の析出と構造化の試み … 樋口亮介
神経科学が刑事責任論に及ぼす影響について … 神田 宏・以倉康充
妄想と責任非難――妄想性障害と責任能力に関する裁判例の動向 … 小池信太郎
責任と量刑実務 … 園原敏彦
哲学における責任の問題 … 鈴木貴之
精神医学がいう「異常」と法律判断――8ステップモデルの「責任」の周辺への展開
… 岡田幸之
責任論に代わる刑事制裁の根拠論と限定論――ドイツの保安処分の現状からの考察
… 山中友理
▼小特集 強制・任意・プライヴァシー [続]
――GPS捜査大法廷判決を読む、そしてその先へ
… 笹倉宏紀・山本龍彦・山田哲史・緑 大輔・稻谷龍彦
【連載】戦後憲法学の70年を語る――高橋・高見憲法学との対話・2-3
第6回 権力分立論と国家の諸作用
… 高橋和之・高見勝利/宍戸常寿・林 知更・小島慎司・西村裕一
【連載】原発問題から検証する公法理論・2
脱原発と財産権 … 小山 剛
【連載】民法理論の対話と創造・11-1
[座談会] 民法学のなやみ(上)――「民法理論の対話と創造」を振り返って
… 藤澤治奈・白石 大・荻野奈緒・齋藤由起・髙 秀成・水津太郎・鳥山泰志・根本尚徳・伊藤栄寿・山城一真
【連載】拐取罪を巡る比較法的・沿革的分析・2-2
我が国における拐取罪の沿革(下)――親が主体の事案を念頭に … 松原和彦
【連載】労働法理論の探究・4-1
労働法における企業パラダイムの現状と可能性(上) … 矢野昌浩
【連載】債権法判例の行方・6
債権者の担保保存義務 … 中原太郎
AIの奢り【法律時評】 … 尾崎一郎