◆5月号(83巻5号) 違憲審査手法の展望

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違憲審査の手法をめぐる問題は、ここ数年の憲法学において最も進展のあるテーマの一つとなっている。近時の判例および学説の議論を振り返るとともに、今後の展望を行う。

 
<特集「違憲審査手法の展望」より>

◆違憲審査論の現在――特集のはじめに

 違憲審査のあり方は、ここ数年の憲法学において、最も活発に議論されたテーマの一つである。学説のレベルでは、いわゆるドイツ型「三段階審査」論の提唱があり、また、判例では、法令違憲に限っても、最大判平成14・9・11民集56巻7号1439頁(郵便法違憲判決)、最大判平成17・9・14民集59巻7号2087頁(在外国民選挙権訴訟)、最大判平成20・6・4民集62巻6号1367頁(国籍法違憲判決)があった。
 本特集は、これらの動きを受けてのものである。詳しくは各論文をお読みいただくとして、概要を説明しておく。……(本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!

 

——  2011年5月号目次 ——

 

◇特集=違憲審査手法の展望

違憲審査論の現在――特集のはじめに … 小山 剛
 
〔第1部〕審査基準論と三段階審査
最近の「三段階審査」論をめぐって … 市川正人
「通常審査」の意味と構造 … 高橋和之
「猿払基準」の再検討 … 宍戸常寿
司法判断の諸相――アメリカ憲法学の一側面から … 尾形 健
三段階審査論の行方 … 松本和彦

 
〔第2部〕 立法裁量とその統制
立法裁量と法の下の平等 … 新井 誠
ベースライン論――長谷部恭男教授の議論の検討を中心に … 青井未帆
判断過程統制の可能性 … 岡田俊幸
立法不作為とその救済方法 … 畑尻 剛

 

▼緊急特集=東日本大震災への緊急提言

大震災・原発危機:緊急提案 … 阿部泰隆
東日本大震災にみる原子力発電所の耐震安全性の確保の在り方について … 川合敏樹
東日本大震災と学術に求められる課題――日本学術会議の法学系の活動を中心に … 戒能通厚
東日本大震災・大津波と原発事故のもたらしている危機と困難を乗り越えるために
/民主主義科学者協会法律部会緊急討論集会の記録 … 民主主義科学者協会法律部会理事会

 

ロシア連邦憲法裁判所の判決――2010年 … 小森田秋夫・佐藤史人

ドイツ法曹の再教育と専門化・下――職業担い手の数が常に増加することに対する応答
インゴー・センガー 訳:福田清明 

抽象的危険犯の検討――公務員の政治的行為をめぐる近時の判決を契機として … 嘉門 優

公文書管理法施行の意義と残された課題【法律時評】 … 右崎正博