◆11月号(85巻12号) 行政制裁法の課題
刑法の謙抑性の原則から、刑事罰に代わって諸外国で活用が進む行政制裁制度。グローバル化に伴い重要性を増す行政制裁について、理論と実務双方の見地からその実体法・手続法的な問題と課題に迫る。
◆行政制裁法の課題――総説
1 はじめに
「刑法の謙抑性」原則によれば、最も峻厳な法的制裁である刑事罰は、他の制裁手段によっては規制目的を達成できない場合に初めて用いうる。諸外国の中には、これに従い、行政制裁制度を活用するところもすくなくない。しかし、日本では行政制裁があまり用いられず、その実体的要件や手続保障の体系も必ずしも明確でない。このような状況は、国内法的に問題があるばかりではなく、グローバル化の中での環境法や経済法の対応においては国際問題をも生じうる。……(本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2013年11月号目次 ——
◇特集=行政制裁法の課題
行政制裁法の課題――総説 … 髙山佳奈子
環境法執行と行政制裁 … 筑紫圭一
諸制裁の性質――刑法の視点から … 山本雅昭
行政制裁――行政法の視点から … 中原茂樹
行政調査――刑事手続法の視点から … 笹倉宏紀
行政法上のエンフォースメント――行政上の秩序罰制度改革について:手続法の視点から … 市橋克哉
EU法における制裁手続 … 松倉治代
アメリカ法における制裁手続 … 笹倉香奈
独占禁止法違反事件における審査・審判手続と課徴金制度の将来像 … 矢吹公敏
▼小特集 先住民族の権利の現在
企画趣旨 … 桐山孝信
先住民族の土地権をめぐる過去と現在の交錯 … 小坂田裕子
名古屋議定書における先住民族の権利の位相 … 遠井朗子
「先住民族の権利に関する国連宣言」とアイヌ政策 … 落合研一
▼鼎談 時効法の改正に向けて
中間試案をめぐって … 松久三四彦・香川 崇・金山直樹
▼連続鼎談「新時代の刑事司法制度」を問う
第2回 証拠開示 … 田淵浩二・岡 慎一・白取祐司
【連載】イギリス憲法の実像――その歴史的文脈・26 … 戒能通厚
【連載】強行法と任意法
債権譲渡の対抗要件規定と強行法規性 … 三林 宏
婚外子相続分差別違憲決定【法律時評】 … 水野紀子