◆7月号(82巻8号) 司法制度改革・改正行訴法と行政法判例の展開
改正行政事件訴訟法施行後の行政法判例を検討し、解釈論上および立法論上の課題を提示するとともに、行政法判例の展開から司法制度改革の位相を明らかにする。
<特集「司法制度改革・改正行訴法と行政法判例の展開」より>
◆行政法判例の展開とその課題
一 行政法判例の概観
2004年に制定された行政事件訴訟法の一部を改正する法律(平成16年法律84号)が施行され、この4月で5年が経過した。この5年間で行政事件訴訟法の解釈に関連して下された最高裁判決は数多くあった。なかでも、耳目を引いたのが、暦年順で挙げれば、①在外日本入選挙権訴訟・最大判平成17年9月14日(民集59巻7号2087頁)、②小田急線高架化訴訟(訴訟判決)・最大判平成17年12月7日(民集59巻10号2645頁)、③浜松土地区画整理訴訟・最大判平成20年9月10日(民集62巻8号2029頁)であろう。……(本誌より抜粋)
—— 2010年7月号目次 ——
◇特集=司法制度改革・改正行訴法と行政法判例の展開
行政法判例の展開とその課題 … 本多滝夫
処分性の拡大と権利利益救済の実効性 … 稲葉一将
原告適格論の再考 … 野呂 充
多様な訴訟類型の活用と課題 … 村上裕章
仮の権利保護の実効性 … 須藤陽子
裁量統制の法理の展開 … 深澤龍一郎
住民訴訟の展開 … 田村達久
行政法判例にみる司法制度改革の位相 … 徳田博人
賃貸借契約における更新料特約の機能と効力 … 加藤雅信
地理的表示における各国の法的対応と日本の課題 …髙橋梯二
行政国家と自由主義 … ルシアン・ジョーム/山元 一(訳)
憲法学説は政教分離判例とどう対話するか … 佐々木弘通
「司法審査の正当性を問うこと」について … 大河内美紀
多角関係をめぐる共同作業の最後に … 椿 寿夫
刑事裁判官の時代認識――公務員の政治活動をめぐる二つの東京高裁判決【法律時評】 … 大久保史郎