◆7月号(85巻8号) 刑事手続の構造改革
被疑者取調べと自白に過度に依存した現在の刑事手続に構造改革が迫られている。法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」の審議を確認し、公正で透明性の高い刑事手続の構築を理論的に探究する。
<特集「刑事手続の構造改革」より>
◆刑事手続の構造改革――その理念と課題
1 本稿の課題
法制審・新時代の刑事司法制度特別部会(以下、特別部会)は、2011年6月29日に始まった審議の中間総括として、2013年1月29日の第19回会議において、「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」(以下、「基本構想」)を取り纏めた。その後二つの作業分科会が、「基本構想」に沿って具体的検討を進めている。「基本構想」は、1月18日の第18回会議において示された「基本構想(部会長試案)」に対して、多くの委員から批判と修正要求がなされたことを踏まえ、それに一定の修正を施したものである。……(本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2013年7月号目次 ——
◇特集=刑事手続の構造改革
刑事手続の構造改革――その理念と課題 … 葛野尋之
身体拘束と取調べ――法制審特別部会「基本構想」の思想と論理 … 豊崎七絵
取調べによらない供述証拠収集手段の立法課題 … 山口直也
物的証拠収集の新たな手段――「通信・会話傍受等」をめぐって … 緑 大輔
捜査弁護の改革 … 岡 慎一・神山啓史
捜査改革と起訴基準――公判中心主義の実現に向けて … 石田倫識
自白事件を簡易迅速に処理する手続の在り方と有罪答弁制度 … 中島洋樹
実体刑法の改革 … 髙山佳奈子
▼小特集 多元的法秩序間の調整メカニズム――ヨーロッパ経済領域を素材に
企画趣旨 … 伊藤洋一
EEA法規範の定立過程とEEA-EFTA諸国国内法秩序における位置づけ … 濵本正太郎
EEA法の法的性質――EU法・EEA法・国際法 … 須網隆夫
EEA法違反に基づく国家賠償法理の展開 … 伊藤洋一
多元的法システムにおける人権保障
――EEA-EFTA諸国における「同質性」の確保 … 寺谷広司
民事裁判の基礎理論・判決書の構造分析
――判決書構造論とは、どのような考え方か … 河村 浩
ロシア連邦憲法裁判所の判決――2012年 … 小森田秋夫・佐藤史人
【連載】イギリス憲法の実像――その歴史的文脈・22 … 戒能通厚
【連載】強行法と任意法
抵当権の実行方法の強行法性について … 青木則幸
あえて霞を喰らう【法律時評】 … 石川健治