◆2月号(83巻2号) 取調べの可視化と捜査構造の転換

★バックナンバーの購入はこちらから★

虚偽自白による冤罪事件が続き、取調べの適正化策として可視化導入が焦眉の課題となっている。捜査全体の中で取調べを通じた真相究明をどれだけ重視すべきかという、捜査構造から議論し、取調べ可視化の立法課題も提言する。

 
<特集「取調べの可視化と捜査構造の転換」より>

◆取調べの可視化と捜査構造の転換――企画の趣旨

1 可視化をめぐる現在の状況
 国内において被疑者取調べの適正化策として取調べの可視化が唱えられてから、ほぼ四半世紀を経た。1983年にイギリスが実験的に被疑者取調べのテープ録音を開始したことは、直ぐに国内にも紹介され、それまで同様の問題意識を抱いていた弁護士の反響を呼んだ。しかし、80年代から90年代を通じて、取調べの可視化の実現に向けた機運が高まることはなかった。前世紀末の1999年、政府は司法をより国民の利用しやすいものにするため司法制度改革審議会を設置し、司法改革に着手した。これが引き金となり、司法制度改革のテーマの中に取調べの可視化問題も取り入れさせようとする組織的な取組みが始まった。……(本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!

 

——  2011年2月号目次 ——

 

◇特集=取調べの可視化と捜査構造の転換

取調べの可視化と捜査構造の転換――企画の趣旨 … 田淵浩二
取調べ受忍義務再論――アメリカ法との比較 … 小早川義則
被疑者弁護を通じた取調べの適正化 … 上田國廣
在宅被疑者の取調べとその可視化 … 松田岳士
傷つきやすい(vulnerable)被疑者の取調べ … 京 明
自白法則における違法排除説再論 … 中島 宏
刑事司法改革の理念と捜査の構造 … 渕野貴生
被疑者取調べ「可視化」立法への道 … 渡辺 修
取調べ可視化論の心理学的検討 … サトウタツヤ若林宏輔

 

【連載】イギリス憲法の実像――その歴史的文脈・2… 戒能通厚

多数当事者間決済の対外的効力 … 中舎寛樹

 

小特集=新放送法の課題

放送法改正の概要 … 鈴木秀美
放送概念の拡張に伴う放送法の変質 … 山田健太
改正放送法と行政権限 … 宍戸常寿
 (※本文内容に一部訂正があります。→訂正・追録履歴
マスメディア集中排除原則の議論のあり方 … 曽我部真裕
規制機関の在り方 … 稲葉一将
新放送法のNHK関係の課題 … 山本博史 
 
情報の公開と秘匿と【法律時評】 … 川岸令和