◆1月号(85巻1号) 裁判員裁判時代の「難解概念」の解釈と適用
学説を総括するとともに、裁判員裁判等の実例を分析・検証して、一般市民に理解しにくいと思われる刑法上の概念につき、裁判員の理解を得る方法を探る。
<特集『裁判員裁判時代の「難解概念」の解釈と適用』より>
◆裁判員裁判時代の「難解概念」の解釈と適用――総説
1 問題の所在
2009年4月に刊行された司法研修所編『難解な法律概念と裁判員裁判』(法曹会)は、裁判員制度の開始に先立って、一般市民が理解しにくいと思われる刑法上の概念を検討した研究報告書である。この研究はもともと、裁判官が法的概念を裁判員にわかりやすく説明するための方法の提言を目的としたものであった。確かに、法令の解釈は職業裁判官の任務とされている。しかし、要件へのあてはめには裁判員も関与するため、両者の協働により、従来の法規の適用範囲に変化が生じうることも想定された。また、類型によっては、将来の制度改正も視野に入れた議論が考えられる。……(本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
【新連載】尖閣諸島について考える:国際法の観点から
2010年9月の尖閣諸島領海内での日本の巡視船と中国漁船の接触事件を皮切りに、近年深刻化する尖閣問題。双方の主張が対立する中で、平和的で友好的な解決を見いだしていくことは可能なのか。国際法、とりわけ領域取得にかかわる国際法に照らして、尖閣紛争における日中両国とその学者の主張を検討する。(→◆連載紹介)
—— 2013年1月号目次 ——
◇特集=裁判員裁判時代の「難解概念」の解釈と適用
裁判員裁判時代の「難解概念」の解釈と適用――総説 … 髙山佳奈子
薬物輸入の故意 … 髙山佳奈子
正当防衛 … 葛原力三
裁判員裁判における鑑定事項と精神医学的判断について … 森 裕
中止犯 … 上嶌一高
共謀共同正犯をめぐる諸問題 … 佐久間 修
共犯の諸問題――共犯と錯誤、共犯の離脱、承継的共同正犯、共謀の射程 … 嶋矢貴之
保護責任者遺棄致死罪 … 十河太朗
強盗 … 安田拓人
強姦・強制わいせつ … 葛原力三
現住建造物等放火罪 … 塩見 淳
麻薬特例法5条の「業とした」 … 永田憲史
▼小特集 少年司法改革のあるべき方向――国選弁護士付添人制度と少年の刑罰
少年法改正提案の位置と文脈 … 葛野尋之
国選弁護士付添人制度と検察官関与 … 武内謙治
少年有期刑の引上げ――厳罰化か適正化か … 本庄 武
【連載】尖閣諸島について考える――国際法の観点から・1 … 松井芳郎
法律学と人間学の架橋――R.ポズナ『法と文学』の書評を兼ねて … 木下 毅
法科大学院問題・再考 … 戒能通厚
政治主導の法治国家違反――田中真紀子文科省大臣の大学不認可発言の波紋 … 阿部泰隆
【連載】強行法と任意法
判例・学説にみる民法総則規定の強行法規性 … 三林 宏
原発と想像力――科学者の社会的責任を考える【法律時評】 … 広渡清吾