◆7月号(88巻8号) 当事者と判決効をめぐる民事訴訟法理論
確固たる理論として確立されてきた概念や原則に対し、一見相容れない結論を示す判例が出現している。本企画では判例が提起する重要問題を取り上げ、理論の再点検を試みる。
◆当事者能力と当事者適格の交錯
1 はじめに
当事者能力は、民事訴訟の当事者となることのできる一般的資格であるのに対し、当事者適格は、訴訟物との関係で当事者となる資格であるとして、両者は概念上区別される。しかしその一方で、「当事者能力は、すべての訴訟物に共通する当事者適格の問題」とも言われ、両者の間の連続的な関係も示唆されている。確かに、当事者能力と当事者適格は、民事訴訟の本案判決の名宛人に適した当事者を選別するという共通の目的を有する訴訟要件であるから、この目的に反しない限り … (本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2016年7月号目次——
◇特集=当事者と判決効をめぐる民事訴訟法理論
当事者能力と当事者適格の交錯 … 名津井吉裕
判決効の拡張と第三者の救済――詐害再審と独立当事者参加について … 安達栄司
弁論主義と職権探知主義の関係 … 笠井正俊
判決効拡張・訴訟承継における承継人概念――実体適格と訴訟追行権 … 鶴田 滋
債権者代位訴訟における債務者の権利主張参加 … 越山和広
共同訴訟と判決効の主観的範囲 … 青木 哲
第三者の訴訟参加――共同訴訟的補助参加を中心に … 本間靖規
▼小特集 グローバル化社会における法学教育
グローバル化社会における法学教育 … 髙山佳奈子
法学教育における理論と実務――グローバル化する臨床法学教育と日本 … 須網隆夫
九州大学におけるグローバル・ローヤー育成の22年とこれから
――多様性の中の普遍性を求めて … 五十君麻里子
フランスにおける法律家の養成について――検討のための序章
… クリストフ・ジャマン=ミカイル・クシファラス(訳:金塚彩乃)
特定秘密保護法罰則の再検討――知る権利と漏えい罪の対向犯的性格 … 斉藤豊治
「改正」刑事訴訟法は批判に答えたか? … 渕野貴生
【連載】憲法学からみた最高裁判所裁判官・15
体制維持のための憲法判断方法論構築――香城敏麿 … 木下智史
【連載】「国家と法」の主要問題・13
「貨幣国家」と憲法――財政作用の再検討にむけた予備的・準備的考察の一環として … 片桐直人
【連載】民法理論の対話と創造・2-2
区分所有の構造に関する議論と展開(下)――共有論における区分所有 … 伊藤栄寿
原発政策と司法審査【法律時評】 … 越智敏裕