◆9月号(88巻10号) 会社法制における損害賠償の諸相
利害調整の仕組みの一つとしての損害賠償は、会社法の領域においてどのような可能性を持っているのか。損害賠償に何を期待できるのか、その問題点・評価・将来の展望を探る。
◆企業統治と損害賠償
1 はじめに
「企業統治」すなわち「コーポレートガバナンス」とは、①経営上の違法行為の抑止(コンプライアンスの確保)および②効率的な経営の確保のための法制度・会社法上の仕組みを指し、1990年代以降の「失われた20年」の状態が継続する中で、とりわけ、上場会社の経営者のあり方を巡って議論がなされ、法制度が整備されている。もっとも、①の経営上の違法行為の抑止については、1990年代よりも前から、企業不祥事が生じるたびに制度の強化がされたという歴史が存在する。 … (本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2016年9月号目次——
◇特集=会社法制における損害賠償の諸相
企業統治と損害賠償 … 山田泰弘
不正な出資と会社に対する支払義務 … 小出 篤
企業買収・再編と損害賠償 … 田中 亘
親子会社関係と損害賠償 … 舩津浩司
不実の情報開示と損害賠償 … 青木浩子
▼特別企画 安保法制と憲法改正
動き出した「安保法制」を考える――「学問」と「政治」の共振 … 高作正博
「憲法改正」を考える――安倍首相の「立憲主義」「憲法」観を手がかりに
… 高見勝利
ヨーロッパにおける原子力損害賠償責任――統一か混乱か
… ジョナス・クネッチュ(訳:馬場圭太)
消費者問題としてのスポーツ――商品スポーツの法的問題 … 中田 誠
【連載】グローバル化と法の変容・9
グローバル化社会と国際私法――国際家族法の視点から … 西谷祐子
【連載】憲法学からみた最高裁判所裁判官・17
「寸鉄人を刺す」仕事人――村上朝一 … 片桐直人
【連載】「国家と法」の主要問題・15
「法解釈の技術」と「文化現象の真実」――続「ロレンスからサドへ」 … 駒村圭吾
【連載】民法理論の対話と創造・3-2
差止請求権理論の課題と展望(下) … 根本尚徳
石巻事件の元少年はなぜ死刑になったのか
――2016年6月16日最高裁判決に思う【法律時評】 … 門野 博