◆2月号(89巻2号) 「権利」を解剖する――基礎法学の挑戦
「権利」は、法学の鍵概念のひとつである。しかしながら現代社会における「権利」の用法が多様化する中で、「権利」それ自体は何であるのか、「権利の実質に近い」ものとそうでないものとを切り分ける問いが、深められずに扱われてきたのではないか。基礎法の諸分野から、この問いに挑む。
◆企画趣旨
ここに掲載するのは、基礎法学系学会連合と日本学術会議法学委員会が共催した「第10回基礎法学総合シンポジウム」(2016年7月9日、於:日本学術会議講堂)における報告、及びシンポジウムの後に開催した座談会の記録である。 … (本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2017年2月号目次——
◇特集=「権利」を解剖する――基礎法学の挑戦
企画趣旨 … 新田一郎
日本近世における「裁判」制度の確立とその限界 … 坂本忠久
「権利」について考えるためのさまざまな視座――比較法学・比較法史学からの素材提供
… 海老原明夫
資源配分システムとしての「権利」の形成 … 飯田 高
権利は存在するか――拡大と拡散 … 大屋雄裕
権利・裁判・日本――四報告を聴いて … 高橋一彦
[座談会] 何が権利か、権利とは何か
… 新田一郎・坂本忠久・海老原明夫・飯田 高・大屋雄裕・高橋一彦・北村一郎・佐藤岩夫
▼小特集 「裁判官対話」の理論と実際
企画趣旨 … 伊藤洋一
「裁判官対話」とは何か――概念の概括的検討 … 須網隆夫
国際法における「裁判官対話」――その理論的背景 … 寺谷広司
「裁判官対話」とフランス公法判例――条約の法律に対する優越を素材に
… 伊藤洋一
裁判所は誰に語るのか――日本の裁判所における国際法・外国法の(不)参照
… 濵本正太郎
福島原発事故賠償訴訟における損害論の課題 … 吉村良一
転換価額修正型新株予約権の「公正価値」
――MSCB、MSワラント等の公正価値と有利発行該当性に関する考察 … 渡辺宏之
フランス不法行為法改革の最前線 … 廣峰正子
【連載】グローバル化と法の変容・12
「法の帝国」を再想像する … 船越資晶
【連載】憲法学からみた最高裁判所裁判官・21
最高裁に舞い降りた「国際民主主義」者――横田喜三郎 … 山元 一
【連載】「国家と法」の主要問題・19
穂積八束「憲法制定権ノ所在ヲ論ズ」を読む … 西村裕一
【連載】民法理論の対話と創造・5-2
アメリカ担保法と倒産法の交錯(下)――将来財産を目的とする担保権の倒産法上の処遇
… 藤澤治奈
成年年齢の引き下げと若年消費者保護について【法律時評】 … 河上正二