◆2月号(86巻2号) 法の実現における国家の競合と協調
国際社会における法の実現について複数の国家が競合・協調する動きが進むなか、主権国家が果たす役割は何か。分野横断的に現状を把握するとともに、管轄権の競合を調整する理論・法技術について考察する。
◆法の実現における国家の役割――近時の潮流
法を強制的に実現する力をもつのは主権国家である。国際法上認められている国家管轄権には複数の原理があるので、一つの事象に複数の国家の管轄権が競合することは避けられない。経済活動が国境を越えるにつれて管轄権の競合が現実の問題となる。米国は、1970年代より、独占禁止法など経済規制法を積極的に域外適用した。……(本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2014年2月号目次 ——
◇特集=法の実現における国家の競合と協調
法の実現における国家の役割――近時の潮流 … 片山 達
国際社会の処罰権と主権国家の役割 … 洪 恵子
腐敗防止に関する管轄権の競合と二重処罰の危険 … 髙山佳奈子
クロスボーダーの不公正取引に対する当局間の国際協調 … 長谷川紘之
租税執行における情報交換――FATCAを契機とした新たな構想 … 田中 良
競争法の国際的な執行 … 村上政博
主権国家の破綻処理とギリシャの教訓 … フィリップ・ウッド 訳 伊藤 理
投資協定・投資仲裁
――主権国家を相手方とする仲裁判断を実現するメカニズム … 井口直樹
倒産処理における国家の競合と協調 … 福岡真之介
日本における国際仲裁のこれから――香港やシンガポールに続くために
… ピーター・ゴッドウィン フローレンス・チョン
クラスアクション判決・和解の地理的範囲 … 安達栄司
▼小特集 福島第一原発事故被害の賠償
総論――福島第一原発事故被害賠償をめぐる法的課題 … 吉村良一
原子力損害と規制権限不行使の国家賠償責任 … 下山憲治
「ふるさとの喪失」被害とその救済 … 除本理史
【弁護団からの問題提起】
福島原発被害弁護団の取り組み … 笹山尚人
「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟とは何か
――私たちが求めるもの、私たちが目指すもの … 安田純治
浪江町原発ADR集団申立について … 濱野泰嘉
〈検証・特定秘密保護法〉
秘密保護法と公安警察の関係 … 清水 勉
ハイチ大震災復興の民法学・居住福祉法学上の諸課題と国際貢献の意義(下) … 吉田邦彦
【連載】イギリス憲法の実像――その歴史的文脈・28 … 戒能通厚
【連載】強行法と任意法
親族編規定の強行法規性 … 前田 泰
【連載】刑事訴訟法理論の探究
違法収集証拠排除法則の現状と展望 … 中島洋樹
特定秘密保護法――問題点と残された課題【法律時評】 … 右崎正博