◆11月号(83巻12号) 子ども・親・国家――「子の利益」を中心として
親子関係に関する最近の法状況をふまえて、親権・監護、親子関係の発生など、親と子と国家の関係につき、さまざまな角度から考察する。
<特集「子ども・親・国家」より>
◆子どもと親に関わる最近の法状況を契機として――企画趣旨
1 はじめに
2011年5月27日に成立し、6月3日に公布された「民法等の一部を改正する法律」は、児童虐待防止を目的として親権停止制度を新設することを主な内容とするが、また、離婚後の子の監護事項を定める民法766条を見直し、新たに「面会交流」「監護費用の分担」を明記するなど、児童虐待防止のための改正にとどまらない側面をも有する。同法は、親権が「子の利益」を最も優先して考慮しなければならないとする(改正法766条1項)。すでに異論のないこととはいえ、民法の定める親権制度が「子の利益」のための制度であることを明記することの意義は小さくない。……(本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2011年11月号目次 ——
◇特集=子ども・親・国家――「子の利益」を中心として
子どもと親に関わる最近の法状況を契機として――企画趣旨 … 門広乃里子
子どもの意思・両親の権利・国家の関与――「子の利益」とは何か … 横田光平
子の利益保護のための親権の制限と児童福祉の連携
――ドイツ法を参考として … 岩志和一郎
親権法の立法課題――離婚後の共同親権を中心として … 田中通裕
子ども・親支援のあり方――FPICの活動を通して … 山口恵美子
子の連れ去りに関するハーグ条約――国際人権法の視点から … 大谷美紀子
性同一性障害者の親子関係 … 中村 恵
生殖補助医療における子の福祉――父は必要ないのか … 石井美智子
▼特別企画 東日本大震災と法
東日本大震災を踏まえた被災者救済の課題 … 山崎栄一
泉南アスベスト国賠訴訟控訴審判決の問題点 … 吉村良一
「労働法上の労働者」と「団結権保障関係論」、「労働条件保護法関係論」の提示
――新国立劇場事件・INAXメンテナンス事件最高裁判決を受けて … 豊川義明
再審・布川事件から刑事司法を検証する … 山本裕夫
レッド・パージ裁判における「解釈指示」をめぐって
――ホイットニー・田中耕太郎秘密会談の意味 … 長岡 徹・明神 勲
自益権と共益権 … 泉田栄一
アメリカ法教育見聞記(第2回) … 神谷説子
【連載】イギリス憲法の実像――その歴史的文脈・9 … 戒能通厚
民法(債権関係)改正の今後――「中間的な論点整理」とパブリックコメントに寄せて … 滝沢聿代
公益通報者保護法の見直しに向けて――資本市場規制からのアプローチ【法律時評】 … 柿崎 環