◆11月号(82巻12号) 会社法制の再構築――実効的な法の実現
会社法制の現代化により事前規制から事後救済型の規制への移行が図られた。本特集は事後救済の現状と課題を考察し、事後救済型への発想の転換が妥当であったかを検証する。
<特集「会社法制の再構築:実効的な法の実現」より>
◆会社法制の現代化による発送の転換と今後の課題
一 問題の所在
1 事前規制から事後救済型規制への移行
会社法制の現代化によって、企業活動に関する規制のあり方について大きな発想の転換がなされた。会社法制における規制緩和の総仕上げともいえ、事前規制から事後救済型の規制への移行である。すなわち、事前に企業活動を厳格に制約するのではなくて、企業の判断において柔軟化に活動することを認め、適切でない判断に基づいて取引等が行われた場合に、事後的な救済手段を用いて、損害の回復などを図ることが基本的な枠組みとなった。……(本誌より抜粋)
—— 2010年11月号目次 ——
◇特集=会社法制の再構築:実効的な法の実現
会社法制の現代化による発想の転換と今後の課題 … 中東正文
価格決定申立権による事後的救済 … 家田 崇
役員等の会社に対する責任・株主代表訴訟による法実現の検証 … 山田泰弘
会社の組織に関する行為の無効の訴え――その特質・実効性・再構成等の検討 … 受川環大
民事保全法出でて会社法亡ぶ?――会社法に明文なき組織再編差止制度の可能性 … 得津 晶
会社関係の保全事件の現状と課題――民事手続法の視点から … 吉垣 実
金融商品取引法におけるエンフォースメントの現状と課題 … 松尾直彦
会社法と金融規制その他の業規制との関係――取締役の行動規範の内容 … 大杉謙一
【民法典はどこへいくのか】 その4
歴史は繰り返す――連続するデュー・プロセス違反 … 加藤雅信
環境訴訟における保護法益の主観性と公共性・序説 … 吉田邦彦
◇奥田昌道先生に聞く・3
――恩師、民法学、スポーツ
第二部その2 実体法という世界 …奥田昌道・金山直樹・松岡久和・佐々木典子
小特集=法整備支援からみた新比較行政法学の展開
行政法整備支援の経験からみた比較法の課題 … 樹神 成
行政法整備支援の「メタ理論」と比較行政法への示唆 … 市橋克哉
機会の喪失論の現状と課題 … 中原太郎
首長と議会の対立をどう考えるか【法律時評】 … 只野雅人