◆6月号(88巻7号) 現代日本社会と理論刑法学の展望
多様な問題を抱える現代社会に理論刑法学は「適正」な立法・解釈を提供できているのか。刑罰論・理論刑法学の現状を批判的に検証、展望することで有るべき方向性を探る。
◆現代社会における刑事責任の所在と表現
1 現代日本社会の特徴と、その犯罪現象への影響および対応の現状
ポスト・ポストモダン(post-postmodern)としての「現代」、つまり、敗戦から70年以上を経て「近代後」も通り過ぎたとされる現在の日本の社会が、標語的に表現すれば、高齢化・少子化・孤立化、富の偏在化・富裕層と貧困層の二極化、経済的格差の拡大化・格差の連鎖化等々に起因する様々な破綻現象によって特徴づけられていることは否定できないであろう。 … (本誌より抜粋/本文内容一部参照できます!)
—— 2016年6月号目次——
◇特集=現代日本社会と理論刑法学の展望
現代社会における刑事責任の所在と表現――企画趣旨説明を兼ねて … 伊東研祐
一般予防論の現在と責任論の展望 … 安田拓人
特別予防論の現在と責任論の展望 … 城下裕二
刑事違法論と法益論の現在 … 松原芳博
過失・危険の防止と(刑事)責任の負担 … 甲斐克則
自救行為の禁止原則と法的保護コスト分配の効率性 … 伊東研祐
▼小特集 日仏民法セミナー
担保法 Le droit des sûretés : regards croisés
Ⅰ 序 論 … 金山直樹
Ⅱ 物的担保と倒産手続 … 杉本和士
Ⅲ 担保目的の債権譲渡 … 白石 大
Ⅳ 担保する給付──論争の行方 … 金山直樹
Ⅴ 担保の目的としての集合財産 … 原 恵美
Ⅵ 抵当権付債権者の追及権と担保不動産競売に関する考察 … 阿部裕介
Ⅶ 物的担保の対抗 … 吉井啓子
憲法訴訟の転機と司法積極主義の兆し
――契機としての再婚禁止期間違憲訴訟と夫婦別姓訴訟 … 大林啓吾
離婚の国際裁判管轄――いわゆる本国管轄について … 横山 潤
【連載】グローバル化と法の変容・8
グローバル化時代の市民生活と民法学 … 横山美夏
【連載】憲法学からみた最高裁判所裁判官・14
「リベラルなタカ」――団藤重光 … 渡辺康行
【連載】「国家と法」の主要問題・12
Popular Originalismは可能か?――ティーパーティ運動が突きつける難題 … 大河内美紀
【連載】民法理論の対話と創造・2-1
区分所有の構造に関する議論と展開(上)――共有論における区分所有 … 伊藤栄寿
公的年金の運用改革【法律時評】 … 菊池馨実