訃報

銀林浩(ぎんばやし・こう)氏(明治大学名誉教授)が,8月18日に逝去された.享年93歳.専門は数学教育.
数学教育協議会に初期から加わり,遠山啓氏や現場教師たちと実践を踏まえつつ「水道方式による計算体系」や「量の理論」を創出したことで知られる.1980年より約15年,委員長を務めた.
著書に『数の科学』『量の世界』(麥書房),『どうしたら算数ができるようになるか』(日本評論社),訳書に,『ファン・デル・ヴェルデン
現代代数学』(東京図書),『数学をつくった人びと』(E.T.ベル著,共訳,ハヤカワ文庫)などがある.
小誌では,1960年代より数多くの記事をご執筆いただいた.

ロナルド・ルイス・グラハム(Ronald Lewis Graham)氏(カリフォルニア通信情報技術研究所/カリフォルニア大学サンディエゴ校)が7月6日に逝去された.享年84歳.専門は計算機科学.
組合せ数学,情報科学,グラフ理論,スケジューリング理論などにおいて重要な業績を残し,2003年にスティール賞を受賞した.
日本語での著書に『離散数学入門』(共著,朝倉書店)などがある.小誌では,「グラハム博士中学生に語る 数学はわくわくするほどおもしろい」(1986年1月号)でご登場いただいた.

高田敏恵(たかた・としえ)氏(九州大学)が4月11日に逝去された.専門はトポロジー,結び目・3次元多様体の量子不変量.
小誌では「今月のひと」(1994年4月号),「3次元多様体の量子不変量の誕生(現代数学スナップショット・量子不変量をめぐって)」(1998年6月号)にてご登場いただいた.

中村義作(なかむら・ぎさく)氏(静岡県立大学名誉教授)が6月4日に逝去された.享年92歳.専門は情報工学,組合せ論,レクリエーション数学.
著書に,『マンホールのふたはなぜ丸い?』(日本経済新聞社),『美の幾何学』(共著,中央公論社),『ゲームにひそむ数理』(共著,森北出版)など多数あり,2017年に日本数学会出版賞を受賞した.
小誌では1970年代からご登場いただき,「エレガントな解答をもとむ」を長年ご出題いただいた.

ジョン・ホートン・コンウェイ(John Horton Conway)氏(プリンストン大学名誉教授)が新型コロナウイルス感染による合併症により4月11日に逝去された.享年82歳.専門は代数学.
対称群・モンスター群などの研究をはじめ,生命の誕生や死をコンピューターでシミュレーションする「ライフゲーム」,巨大数におけるチェーン表記を考案したことでも知られる.
邦訳された著書に,『数の本』(共著,丸善出版),『四元数と八元数』(共著,培風館),『素数が香り,形がきこえる』(丸善出版)などがある.

キャサリン・ジョンソン(Katherine Johnson)氏(元・アメリカ航空宇宙局(NASA))が2月24日に逝去された.享年101歳.専門は軌道力学.
軌道計算の専門家として35年間NASAで活躍し,映画『ドリーム』の主人公のモデルとなった.

リチャード・ガイ(Richard K. Guy)氏(カルガリー大学名誉教授)が3月9日に逝去された.享年103歳.専門は数論,組合せ論,レクリエーション数学.
著書に『数論「未解決問題」の事典』(朝倉書店),『数の本』(共著,丸善出版),『数学ゲーム必勝法(1)~(4)』(共著,共立出版)などがある.

ルイス・ニーレンバーグ(Louis Nirenberg)氏(ニューヨーク大学名誉教授)が1月26日に逝去された.享年94歳.専門は解析学.
2010年に「非線形楕円型偏微分方程式の現代理論の構築への貢献と,その分野の学生とポスドクを数多く育成したこと」によりチャーン賞を受賞した.

野村隆昭(のむら・たかあき)氏(九州大学名誉教授)が1月27日に逝去された.享年66歳.専門は幾何学的調和解析学.
著書に『微分積分学講義』『複素関数論講義』(ともに共立出版),『球面調和函数と群の表現』(日本評論社)などがある.
小誌では,「微積は計算だけ?」(2015年6月号,『大学数学の質問箱』所収),「駆け足で巡るフーリエ変換」(2018年3月号)を執筆いただいた.

金田康正(かなだ・やすまさ)氏(東京大学名誉教授)が2月11日に逝去された.享年70歳.専門は計算機科学.円周率のコンピュータによる計算の世界記録を更新したことで知られている.
著書に『πのはなし』(東京図書),『スパコンとは何か』(ウェッジ)などがある.
小誌では,「計算機によるπの計算」(1989年3月号),「πの計算とスーパーコンピュータ」(1990年4月号),「πを求める公式」(1993年11月号)などを執筆いただいた.

入江昭二(いりえ・しょうじ)氏が2019年12月23日に逝去された.享年92歳.専門は関数解析,関数方程式.
著書に『常微分方程式』,『複素関数論』,『フーリエの方法』(いずれも内田老鶴圃)などがある.
小誌では,1970年代を中心にご執筆いただいた.

赤攝也(せき・せつや)氏が11月4日に逝去された.享年93歳.専門は数学基礎論,大域解析.
著書に『微分学』『積分学』『実数論講義』(いずれも日本評論社),『数学序説』(吉田洋一と共著)『集合論入門』『確率論入門』(いずれもちくま学芸文庫)などがある.
『数学セミナー』創刊の1962年より,およそ30年間編集顧問を務めた.

和田誠(わだ・まこと)氏が10月7日に逝去された.享年83歳.イラストレーターとして活動するかたわら,映画監督やエッセー執筆など多彩な分野で活躍された.
1964年から80年代初頭まで,SYSTEM5の連載をはじめとする小誌のイラストをご担当いただいた.

ジョン・テイト(John T. Tate)氏(ハーバード大学名誉教授)が10月16日に逝去された.享年94歳.専門は代数的整数論,数論幾何学,代数幾何学.
数論・代数幾何学におけるテイト予想や,数論における佐藤-テイト予想などで知られ,整数論への甚大かつ永続的な影響力に対して2010年度のアーベル賞が授与された.

寺澤順(てらさわ・じゅん)氏が6月18日に逝去された.享年72歳.専門は,集合論的位相空間論,コンパクト空間論,次元論.
著書に『πと微積分の23話』『はじめてのルベーグ積分』『トポロジーへの招待』『現代集合論の探検』(いずれも日本評論社)がある.
小誌では,「位相の質問箱」(2014年6月号特集,『大学数学の質問箱』所収)にてご登場いただいた.

清水達雄(しみず・たつお)氏(元・清水建設株式会社)が6月24日に逝去された.享年91歳.専門は数学と語学.
1950年代に,谷山豊,久賀道郎,杉浦光夫らとともに「新数学人集団(SSS)」を設立し団長を務める.企業の研究所で勤務するかたわら,『数学セミナー』創刊の1962年より,およそ30年間編集顧問を務めた.
著書に,『数と形の探索』『方形分割』(日本評論社),『文字と言葉の世界一周』(東京図書)など多数あり,「ブルバキ『数学原論』シリーズ」(東京図書)の編集委員・翻訳などを担当された.

志村五郎(しむら・ごろう)氏(プリンストン大学名誉教授)が5月3日に逝去された.享年89歳.専門は整数論.楕円関数の性質に関する「志村-谷山予想」を提唱し,「フェルマーの最終定理」の解決に貢献した.
著書に『数学をいかに使うか』『数学の好きな人のために』『数学で何が重要か』『数学をいかに教えるか』(いずれも筑摩書房)などがある.

岡本清郷(おかもと・きよさと)氏(広島大学名誉教授)が3月26日に逝去された.享年83歳.専門は幾何学.
著書に『フーリエ解析の展望』(朝倉書店),『等質空間上の解析学』(紀伊國屋書店),
『数学まなびはじめ(第1集)』(共著,日本評論社)などがある.

高橋陽一郎(たかはし・よういちろう)氏(京都大学名誉教授)が3月3日に逝去された.享年72歳.専門は確率解析・力学系理論.
著書に『力学と微分方程式』(岩波書店),『実関数とFourier解析(1)(2)』(岩波書店),『漸近挙動入門』(日本評論社),『伊藤清の数学』(編集,日本評論社)などがある.
小誌では,1980年代からご登場いただき,連載「漸近挙動で何が見えるか」(2000年4月~2001年3月号)などを担当いただいた.

吉沢尚明(よしざわ・ひさあき)氏(京都大学・岡山理科大学名誉教授)が3月6日に逝去された.享年95歳.専門は表現論,函数解析学.
著書に『多変数超幾何函数』(監修,日本評論社),『20世紀の数学』(共著,日本評論社)などがある.

梅村浩(うめむら・ひろし)氏(名古屋大学名誉教授)が3月8日に逝去された.享年74歳.専門は代数幾何学.
著書に『楕円関数論』(東京大学出版会)などがある.
小誌では,「20世紀数学におけるブルバキの役割/P.カルチエ氏にきく」(2013年10月号),「微分方程式のガロア理論/その起源と発展」(1992年7月号),「数学は構造の学問?」(1994年1月号)などを担当いただいた.

江口徹(えぐち・とおる)氏(東京大学・京都大学名誉教授)が1月30日に心不全のため逝去された.享年70歳.専門は素粒子物理学.
著書に『共形場理論』(共著,岩波書店),『数理物理 私の研究』(共編,丸善出版)などがある.
小誌では,1990年代からご登場いただき,「デュアリティーと超対称性(1)(2)」(1996年4~5月号),「数学に期待する[物理学]:素粒子論と数学」(1998年5月号),「ミラー対称性とは」(2006年10月号,リレー連載・ミラー対称性入門)などを執筆いただいた.

杉原正顯(すぎはら・まさあき)氏(青山学院大学教授)が1月5日に逝去された.享年64歳.専門は数値解析.
著書に『線形計算の数理』(共著,岩波書店),『複素関数論』(共著,岩波書店)など多数ある.
小誌では,連載「応用から生まれつつある新しい数学…数理工学」(2006年4月号~2007年3月号)の編纂をご担当され,後に『数理工学最新ツアーガイド』(共編,日本評論社)として書籍化された.

マイケル・アティヤ(Michael F. Atiyah)氏が1月11日に逝去された.享年89歳.専門は幾何学・微分方程式・数理物理学など多岐に亘る.1966年にフィールズ賞,2004年にアーベル賞を受賞した.
邦訳された著書に『可換代数入門』(共立出版),『アティヤ 数学とは何か』(朝倉書店)などがある.
小誌では,「マイケル・アティアとのインタビュー」(1984年9月号),「科学者はなにができるか」(1997年1月号)でご登場いただいた.

米沢富美子(よねざわ・ふみこ)氏(慶應義塾大学名誉教授,元・日本物理学会会長)が1月17日に逝去された.享年80歳.専門は物性理論.
著書に,『ブラウン運動』(共立出版),『猿橋勝子という生き方』(岩波書店),『人生は,楽しんだ者が勝ちだ』(日本経済新聞出版社)など多数ある.

垣田高夫(かきた・たかお)氏(早稲田大学名誉教授)が2018年10月11日に逝去された.享年90歳.専門は偏微分方程式論,関数解析学.
著書に『シュワルツ超関数入門』,『フーリエ解析と超関数』,『ルベーグ積分しょーと・こーす』(いずれも日本評論社)などがある.
小誌では,1980年代からご登場いただき,「超関数から見た演算子法」(1982年7月号),「リーマン積分とルベーグ積分の比較」(1988年3月号)などを担当いただいた.

伊理正夫(いり・まさお)氏(東京大学名誉教授)が8月13日に逝去された.享年85歳.専門は数理工学.
著書に『数値計算』(朝倉書店),『線形計画法』(共立出版),『一般線形代数』(岩波書店),『線形代数汎論』(朝倉書店)など多数ある.
小誌では,1960年代よりご登場いただき,連載「セミナー 最大最小問題」(1964年10月~1965年11月号,不定期連載)などを担当いただいた.

本田欣哉(ほんだ・きんや)氏(立教大学名誉教授)が5月30日に逝去された.享年94歳.専門は無限アーベル群論.
著書に『アーベル群・代数群』(共立出版)がある.
小誌では,1960年代よりご登場いただき,連載「高木貞治の生涯」(1975年1月~1975年6月)などを担当いただいた.

アラン・ベイカー(Alan Baker)氏(元・ケンブリッジ大学)が2月4日に逝去された.享年78歳.専門は数論.
1970年に,ディオファントス方程式に関する功績により,フィールズ賞を受賞した.

増田久弥(ますだ・きゅうや)氏(東北大学名誉教授)が2月27日に逝去された.享年80歳.専門は非線形解析学.
著書に『発展方程式』(紀伊國屋書店),『関数解析』(裳華房)などがある.
小誌では,「第19問題 正則な変分問題の解は常に解析的か」(1994年2月号,特集「ヒルベルト23の問題」),「微分方程式(上・下)」(2002年1月号)をご担当いただいた.

スティーヴン・ウィリアム・ホーキング(Stephen William Hawking)氏(元・ケンブリッジ大学)が3月14日に逝去された.享年76歳.専門は理論物理学.
邦訳された書籍は多数ある.小誌では「ホーキング滞在記」(長沢倫康,1991年1月号)などで登場いただいた.

矢ヶ部巌(やがべ・いわお)氏(九州大学名誉教授)が2017年12月19日に逝去された.享年87歳.専門は代数学.
著書に『数学での証明法』(共立出版),『数III方式 ガロアの理論』(現代数学社)などがある.
小誌では,1970年代からご登場いただき,特に「エレガントな解答をもとむ」で長年ご出題いただいた.

板倉聖宣(いたくら・きよのぶ)氏(国立教育研究所名誉所員)が2018年2月7日に逝去された.享年87歳.専門は科学史,科学教育.
著書に『科学と仮説』(季節社),『ぼくらはガリレオ』(岩波書店),『日本理科教育史』(仮説社)など多数ある.
小誌では,1970年代からご登場いただき,「算数教育を考える」(1980年2月号),「高校生諸君!! 江戸時代の円周率の値」(1987年2月号)などをご執筆いただいた.

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