●2023年6月号(5月12日発売)

▼法学者の本棚
可能性感覚を求めて‥‥‥近藤圭介
――大川 勇『可能性感覚――中欧におけるもうひとつの精神史』

最新の重要テーマに深く踏み込む「特集」
[特集]
続・刑法の「通説」――そこに潜む問題
◇暴行罪の「通説」に潜む問題とその乗り越え方――本企画が目指すもの‥‥‥樋口亮介
はじめに
1.刑法総論の通説企画
2.刑法各論の通説企画の力点
Ⅰ暴行罪の「通説」に潜む問題とその乗り越え方
1.暴行罪をめぐる議論状況と「通説」に潜む問題
2.「通説」の形成過程の検証
3.行われるべき検討
Ⅱ本企画の目指すもの
1.各論稿が明らかにする「通説」に潜む問題
2.藤井が寄せる期待に応えるもの

◇名誉概念の「通説」‥‥‥嘉門 優
1.名誉概念の「通説」と問題点
2.名誉の規範的な理解
3.アウティング
4.インターネット上の誹謗中傷
5.アイコラ画像・盗撮
6.名誉概念の解釈論と立法論

◇領得罪の「通説」‥‥‥穴沢大輔
1.はじめに
2.領得の通説形成過程
3.判例分析の視点
4.おわりに

◇財産的損害をめぐる「通説」――実質的個別財産説に潜む問題‥‥‥冨川雅満
1.はじめに
2.実質的個別財産説の形成過程
3.各論拠の正当性
4.おわりに――今後のあるべき議論の方向性

◇文書偽造罪の「通説」‥‥‥成瀬幸典
1.文書偽造罪の解釈に関する基本的枠組み及び文書偽造罪の規定形式に関する通説
2.文書に対する公共の信用という概念の不明確性とそれに起因する問題
3.課題の解決の方向性――文書概念・文書の機能を基礎にした考察の重要性

◇刑法の「通説」と判例――最高裁調査官の経験を踏まえて‥‥‥藤井敏明
1.はじめに
2.判例と刑法の「通説」について
3.刑法学説と裁判官の務め――「通説」への期待(管見)

[論説]
◆鑑定留置制度の現状と課題‥‥‥笹倉香奈
1.はじめに
2.鑑定留置とは
3.鑑定留置の課題

◆子どもの権利条約と自治体子ども施策――朝鮮学校への東京都補助金「凍結」問題を題材に
考える‥‥‥松原拓郎

1.問題意識
2.朝鮮学校補助金支給「凍結」の経緯
3.法体系の中での上記「凍結」の妥当性
4.子どもに関しての基本法・基本条例制定の子ども施策上の意味