書籍詳細:持続可能性とイノベーションの統合報告

持続可能性とイノベーションの統合報告 非財務情報開示のダイナミクスと信頼性

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  • 紙の書籍
定価:税込 4,400円(本体価格 4,000円)
在庫僅少
発刊年月
2015.02
ISBN
978-4-535-52075-2
判型
A5判
ページ数
308ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

社会価値的側面、投資価値的側面から、統合報告書に至る統合ダイナミクスを解き明かすとともに、開示情報の信頼性・監査保証業務まで体系的に論じる。
■第44回日本公認会計士協会学術賞
■第14回 日本NPO学会賞受賞(優秀賞)

目次

はしがき

序章 本書の問題意識と貢献

1 本書の問題意識と研究対象

2 本書の研究方法と貢献

(1)研究方法

(2)先行研究と本書の貢献・特徴

3 本書の構成

(1)社会価値的側面からの統合ダイナミクス

(2)投資価値的側面からの統合ダイナミクス

(3)統合報告書の信頼性と監査・保証業務等

 

[第1部] 社会価値的側面からの統合ダイナミクス

第1章 CSR情報開示規範の役割とコーポレート・ガバナンス

1 はじめに

2 CSR情報開示を巡る国内外の動向

(1)わが国のCSRを巡る経緯・開示動向

(2)国際的なCSR開示動向

3 CSR情報開示の社会的役割

(1)CSR開示の目的と機能

(2)開示規制と直接的規制の関係性

4 CSR情報開示とコーポレート・ガバナンス

(1)コーポレート・ガバナンス論との関連性・非関連性

(2)CSR開示先進諸国での議論・経験

5 CSR情報開示を巡るハードローとソフトローの射程

(1)直接的規制を情報開示が補完する場合

(2)直接的規制を情報開示が代替する場合

6 おわりに

 

第2章 CSR規範形成過程におけるNPOの機能

1 はじめに

2 CSRの経済的誘因と採算性

3 CSRの誘因を拡張する新たなスキームの可能性

(1)プラス・インセンティブ付与スキームの構造的限界

(2)マイナス・インセンティブ付与スキームの可能性

4 NPOと企業におけるゲーム的相互作用の考察

(1)悪い均衡に陥るケース

(2)良い均衡を導く方策

5 CSR規範形成過程におけるNPOの機能と課題


6 おわりに



 



第3章 非政府組織関与による国際開示規範形成の促進

1  はじめに

2  国際規範形成とNGOによる「規範のカスケード」

(1)対人地雷禁止条約における「規範のカスケード」

(2)「規範のカスケード」の理論的説明とNGOの役割

(3)グローバル・ガバナンスにおけるNGO関与の正当性

3  国際開示規範の構築に向けた考察

(1)開示規範の形成過程における非政府組織の関与

(2)CDPによる能動的・分権的働きかけの効用

(3)CDP活動の情報カスケードによる分析

4 おわりに

 

[第2部] 投資価値的側面からの統合ダイナミクス

第4章 統合報告の論理とIR・制度開示との関係性

1  はじめに

2  事業報告の拡充と国連投資原則

(1)各国基準設定主体等の動向

(2)投資家サイド等の動向と統合報告

3 統合報告の理論的基礎

(1)持続的企業価値の視点

(2)正当性理論とレピュテーション・マネジメント

4  重要性概念と開示形態、IRとの関連性

(1)持続的企業価値の視点による重要性概念

(2)統合報告形態の有効性とIRとの親和性

5 わが国における財務報告制度の現状と課題

(1)わが国における財務報告制度の現状

(2)統合的思考のわが国制度開示へのインプリケーション

6 おわりに

 

第5章 イノベーションを描写する動態的な統合報告

1 はじめに

2 PBR1倍割れを巡る諸要因の観察

(1)資本コストと低水準のROE

(2)将来価値のディスカウント要因

3 「負のインタンジブルズ」による目標仮説の設定

(1)インタンジブルズにおける「正」「負」の識別

(2)「負のインタンジブルズ」概念の定義

4 「負のインタンジブルズ」概念の実相

(1)「負のインタンジブルズ」の構成要素

(2)各構成要素の内容・特徴

5 経営革新と開示の同期発火による改善

(1)イノベーションを描写する動態的な統合報告

(2)統合経営に必要なトップリーダーシップ

(3)ガバナンスを巡る制度インフラの整備

6 おわりに

 

第3部 統合報告書の信頼性と監査・保証業務等

第6章 ESG情報の報告形態と監査・保証

1 はじめに

2 独立した報告書で開示される場合

(1)監査・保証基準の動向

(2)監査・保証のあり方

3 財務報告の一環で開示される場合

(1)国際監査基準等の取り扱い

(2)監査・保証のあり方

4 制度開示された統合報告書への監査・保証

(1)統合報告の情報特性

(2)監査・保証のあり方

5 おわりに

 

第7章 任意開示された統合報告書への信頼性付与

1 はじめに

2 信頼性付与アプローチを巡る2つのアプローチ

3 戦略関連情報等の保証ニーズを考える

(1)戦略関連情報等の信頼性とは

(2)会計士等と証券アナリストの役割

4 非財務情報開示の透明性確保に向けて

(1)データの保証

(2)プロセスに着目した保証

(3)統合的な内部監査の重要性

5  おわりに

 

[第3部補章] 経営者不正に備えた制度インフラ

補章1 不正リスク対応基準と監査人の職業的懐疑心

1 はじめに

2 リスク・アプローチにおける経営者不正への対応

(1)リスク・アプローチのブラッシュアップ

(2)経営者不正リスクに対応した監査手続の進展

3 職業的懐疑心に関する国内外の議論

(1)職業的懐疑心の強化を巡る金融危機後の議論

(2)職業的懐疑心の発現態様としての反証的アプローチ

4 反証的アプローチの有効性と訴訟上の意義

(1)反証的アプローチの適用局面と課題

(2)経営者不正に係る監査の限界と正当な注意義務

5 おわりに

補章2 銀行監督と会計士業務の連携強化

1 はじめに

2 金融危機後の制度改革に向けた動き

(1)監査制度見直しを巡る国際的動向

(2)わが国の動向

3 金融検査業務と監査・保証業務との異同

(1)金融監査と会計監査の目的・特質

(2)ISAE3000からみた金融監査業務と保証業務の異同

4 わが国における銀行監督と外部監査の連携強化等

(1)情報共有の促進

(2)検査機能の補完・代替ー会計士保証業務の拡張

(3)監査人ないし銀行監督当局と監査役等、内部監査人との連携

5 おわりに

書評掲載案内

■『週刊東洋経済』2014年4月25日号

■『証券アナリストジャーナル』2015年8月号 評者:中野富士雄氏(格付投資情報センター 市場研究室長)

■『会計・監査ジャーナル』 2016年6月号 No.731(102頁)日本公認会計士協会学術賞受賞