書籍詳細:発達障害も愛着障害もこじらせない

発達障害も愛着障害もこじらせない もつれをほどくアプローチ

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  • 紙の書籍
予価:税込 2,970円(本体価格 2,700円)
発刊年月
2025.06(中旬)
ISBN
978-4-535-98543-8
判型
A5判
ページ数
272ページ
ジャンル
難易度
テキスト:初級

内容紹介

その生きづらさの背景にはグレーゾーンの発達障害や愛着の問題があるかもしれない——。するする読めて、臨床の解像度が上がる一冊。

目次

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第1部 発達障害をこじらせない
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第1章 発達障害と精神療法


[事例]駆逐艦「松」の最期

[事例]国際紛争に興味がある中学生

[事例]新聞を読む小学生

特性+トラウマ累積としてのASD

精神医学と発達障害

発達障害の精神療法が問うもの


第2章 その子に合った育ち支援
    ――普通の子になることを求めることによるこじれ


成人後の療育手帳希望

普通学級でのいじめ

特別支援教育の増加

年齢相応

思考実験

[事例]こじれていない例

子ども臨床の課題


第3章 発達障害の気づきと病識
    
病識と病感

発達障害における病識

典型的ASDの気づきと病識

大人のASDの場合

実感を伴った診断

与えられる病識

嫌々受診する例

病識を求める問題点


第4章 大人の発達障害への発達障害を前面に出さない支援

グレーな発達障害

病態の説明

得手不得手を話し合う

[事例]急に死にたくなる青年

障害名よりも特性理解

対応の実際


第5章 発達障害の外来診療での工夫

[事例]大学は卒業したけれど……性

楽しい予定変更


第6章 自閉スペクトラム症グレーゾーンへの支援

自閉スペクトラム症のグレーゾーンとは

グレーゾーンの多義性

[事例]あとから困る

発達性トラウマ障害

かつて療育を受けていた人

「軽度」は軽度なのか?

発達障害は発達する

頑張らせる?

ASDを知ってもらう

謎解き

相談してもらう

環境調整

指導よりも解説を

助けてもらう

グレーゾーン概念の功罪


第7章 大人の発達障害の診断と支援

広義の適応障害

発達障害診断のジレンマ

あなたは健常者なのか?

あなたも私も発達障害

発達障害診断の難しさ

[事例]職場環境であぶり出された公務員の男性

グレーゾーン診断

心理検査について

発達障害を疑う症状

統合失調症との鑑別

診断というゼロ百思考

グレー診断の利点

診断の実際

グレー事例の多様性

診断から支援へ

解説者

解説者と指導者

気軽に相談する人になってもらう

助けてもらう人生 vs 戦う人生

[事例]助け合う人生

助け合えば薄まる

凸凹と現代社会


発達障害の位置づけ

コラム1 『窓ぎわのトットちゃん』を読む


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第2部 愛着障害・トラウマの延焼を防ぐ
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第8章 精神科臨床での不登校への対応

身体症状

本人の気持ち

無理の累積としての不登校

原因がわかる不登校

休んでもらう

二次的なこじれ

学校の対応

ゲームやネットについて

雑談を

親が味方に

充電後


第9章 虐待などない普通の育ちにおける愛着の問題

[事例]やせ症の女子高校生

[事例]味方になる

[事例]荒れる幼稚園児

[事例]抜毛症の小学生

愛情は無条件

褒めることが追い詰める

存在を喜ぶ

自分が好きですか?

愛着とは

現代日本と愛着──おわりに代えて


第10章 臨床現場における大人の愛着障害

[事例]自分を大切にできない女性

基本的な安心感

手のかかからぬよい子

自閉スペクトラム症と愛着障害

精神疾患の背景としての愛着障害


第11章 大人の愛着障害とその修復

[事例]情緒不安定な女性
愛着行動

愛着の形成

エジソンと龍馬

愛着の問題

愛着を話し合う

自分を育てる


第12章 トラウマに焦点を当てない治療

[事例]マンガを手放せない男性

考 察


第13章 トラウマ関連症状に対する支持的精神療法

[事例]過食嘔吐とアルコール乱用の女性

考 察


第14章 精神科日常臨床におけるトラウマへの精神療法

[事例]進級が怖い女子大学生

[事例]夫がストレスの50代女性

ふとした症状

[事例]工事現場で重傷を負った男性

まずは心理教育

トラウマの延焼を防ぐ

自己否定を隔離し、分解して捨てる

[事例]自責的な女性

純粋な自閉スペクトラム症


第15章 トラウマ関連疾患における病気と治療の伝え方

[事例]パニック障害の女性

[事例]適応障害の女性

[事例]摂食障害の女性

[事例]数年ごとに悪化する女性

心理教育

トラウマの延焼を防ぐ


第16章 精神科一般外来での複雑性PTSD診療

複雑性PTSDに気づく

信頼関係

「語ってもらう」

心理教育

延焼モデル

レジリエンスに目を向ける

神田橋に学ぶ養生

薬物療法

コラム2 『エミール』を読む


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第3部 もつれをほどく精神療法
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第17章 統合失調症への精神療法的接近

妄想気分

[事例]警察官に連れて来られた男性

この世界につなぎとめる

気持ちを引き継ぐ

慢性期


第18章 精神療法の副作用と問題点

精神分析と副作用

ロジャーズ派の精神療法と副作用

認知行動療法と副作用

精神療法の副作用の定義

日常診療における精神療法の副作用

副作用に留意した精神療法


第19章 子どもへの精神科薬物療法の留意点

[事例]小学校の問題児?

[事例]うつ病の高校生

[事例]うつ病?の中学生

薬の必要性について


第20章 児童思春期への薬物療法の問題点とプラセボ効果

プラセボとプラセボ効果

プラセボ効果と自然変動

プラセボ効果と期待

臨床試験と治療場面

子どもにおける薬へのイメージ

薬と病識

児童思春期への薬物療法の問題点

親の罪悪感

薬効 vs プラセボ効果

薬を中心とするコミュニケーション

薬物療法の位置づけの説明

プラセボ効果から連鎖反応へ

変化のスターターとしての薬物療法

好循環を保つための薬物療法

服薬の周辺を豊かに

[事例]多動の小学3年生

周囲へのプラセボ効果

母子同服


第21章 医療・保健領域における心理職へのスーパーヴィジョン

ある日のスーパーヴィジョン

コメントしないスーパーヴィジョン

素人スーパーヴィジョン

本人スーパーヴィジョン

ライブスーパーヴィジョン


第22章 山本昌知という精神療法

[事例]要入院?の男性

自宅の電話番号

猟銃を向けられて

教育カンファにて

境界人

精神療法として