書籍詳細:明日の外科

からだの科学選書 明日の外科 一外科医の回想と期待

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  • 林 四郎
  • 紙の書籍
定価:税込 2,970円(本体価格 2,700円)
在庫なし
発刊年月
1985.12
旧ISBN
4-535-80411-7
ISBN
978-4-535-80411-1
判型
四六判
ページ数
474ページ
Cコード
C3347
ジャンル

内容紹介

人の死とは、臓器移植はどこまで許されるのか・・外科手術の歴史と発展をふまえ、当面する最大の難問に答える。手術の安全性を高め、外科に理論的基礎を与えようと努力してきた第一人者による自戒と警告の書。

目次

第1部 外科・手術とは
「外科的治療」序説
 外科医として外科的治療をどのように考えているか
 筆者が外科医の一員になった当時の外科
 外科と内科
 今日の外科的治療が生きる道
 外科的手術が医学に与えた影響
 外科医と倫理性
外科の歴史
 はじめに
 外科の歴史
 近代外科学の原動力
 ゼンメンワイスの悲劇
 全身麻酔下の手術
 日本の近代外科学の夜明け
 外科医と痲酔
「外科」とは何か
 外科という科目、科名はいつ生まれたのか?
 瘡瘍、金創、南蛮流外科
外科の目標
 外科・手術が目標としているもの
 臓器移植の歩み
 臓器移植か人工臓器か?
 創傷の治癒と手術創
 創傷治癒の病理
 創傷治癒をめぐる生化学的変化
外科的侵襲
 手術侵襲とは何をさしているのか
 外科的侵襲の内容
 外科的侵襲ははたして侵し襲うだけの現象か
 外科的侵襲と窒素出納タンパク代謝
 外科的侵襲と核酸代謝、侵襲下早期の同化反応
 手術や外傷から立ち直るためには適度な反応、刺激がむしろ必要ではないか
 「手術侵襲」の定量化
外科とショック
 ショックについて
 ショックと虚脱
 外科とショック
 ショックの分類
 ラボリとセリエらがいだいているショックの見解
 可逆性ショックと不可逆性ショック
 ショックに関する最近の概念
 ショックの病態
 ショックによる臓器障害
 外科医からながめた生体の調節機構、順応性
 「にわとり」か卵か
 ショックの病態と代謝面の役割
 外科学と病態生理
多臓器障害、1970年代症候群
 これまでの医師は病気に勝っているのか?
 なぜMOFなどが出現するようになったのか?
手術の大小と難易度
 手術の大小
 手術の難易度を決定する因子
手術適応の考え方
 手術の適応と禁忌
 手術の適応はどのようにして決められるか
 全身状態からながめた手術適応
 局所病変にもとづく手術適応の決定
 手術の必要度・タイミング
 手術の危険度
 手術の適応、タイミングに対する外科医の願い
 手術の適応と時代による変遷
 慢性骨髄症白血病に対する摘脾術
 手術の適応は誰によって決められるか
 「内科医の立場」と「外科医の立場」
 難治性の定義をより的確に
 外科学に理論的な体系づけを
手術の成否
 手術の成功とは
 レーガン大統領の場合
第2部 今日の外科学の課題と明日の外科
外科医と虫垂
 虫垂切除の歴史
 日本における虫垂切除の歴史
 虫垂切除ははたしてもう問題がないのか?
 虫垂切除に対する私見
小児外科と老人外科
 小児外科
 老人外科
臓器移植の現状
 外科的治療と臓器移植の必要性
 腎以外の臓器移植の歩み
 心移植
 心移植の歴史的背景
 心移植に関する問題点
 日本における腎移植
 腎移植か透析療法か
 日本における腎移植の制度化
 日本における臓器移植の問題点
 細胞移植の可能性
 新免疫抑制法の登場
 その他の臓器移植
 臓器移植の成績向上に必要な集学的研究成果
人工臓器の現状
 人工臓器の歴史
 人工臓器の研究・開発
 人工心臓
 人工弁
 人工肺
 人工腎
 人工肝
 人工膵臓
 人工血管
 その他の人工臓器
臓器移植か人工臓器か
 臓器移植か、人工臓器か
 完全な人工臓器に向かって必要な努力と展開
外科の哲学
 『外科の哲学』と『わが障害の一期一会』
 外科の哲学
 外科医に求められる条件
患者のための外科医
 大外科医、ザウエルブルッフの悲劇
 You are the doctor.
医学用語の誤用を憂う
 ある用語の独り歩き、そして本来の意義の喪失
 「予後」という用語について
 筆者の不安に光明を与える記載
 用語自体の問題よりも「見通し、予測」という概念を大切にするために
脳死
 脳死の問題を求められて
 『長く暑い夏の一日』と『見えない死』
 植物状態とちがう脳死
 脳死に関する私見
外科と医原病
 人間にとって今日の手術では欠点がどのくらいあるのか?
 外科医の配慮によって避けることができる開腹術後の愁訴
 開腹術後の愁訴と吻合物
 ポリサージャリー
 腹部神経症、腹部心身症、開腹術後困難症
 術後の精神障害
今後期待される外科学の歩み、明日の外科
 悪性腫瘍に対する手術
 良性疾患に対する手術
 破壊的手術から再建手術へ
 手術をより安全なものに
 出血、血行遮断を危惧しない手術
 外傷、先天奇形に対する手術
 新しい手術法・器具の開発
 人工臓器、臓器移植に伴う諸問題
 ガン患者に対するガンの宣告と外科医
 外科(医学・医療)の知識を備えた判定機関、審判機関の必要性
 おわりに