書籍詳細:社会・文化精神医学5

シリーズ:榎本稔著作集

榎本稔著作集6 社会・文化精神医学5

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  • 紙の書籍
定価:税込 3,850円(本体価格 3,500円)
在庫僅少
発刊年月
2022.09
ISBN
978-4-535-98523-0
判型
A5判
ページ数
272ページ
Cコード
C3347
ジャンル

内容紹介

著作集5巻以降、コロナ禍の中で地道に開催されてきた院内講演会全10本を再構成。主に依存症の周辺から地域精神医療の将来を展望。

目次


巻頭言 コロナ禍における精神科医療のあり方
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依存症の事例
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万引き依存症(クレプトマニア)

 1.はじめに
 2.万引き依存症(クレプトマニア)はこころの病
 3.「万引き」の歴史を繙く
 4.「わかっちゃいるけど、やめられない」
 5.万引きに見る社会的諸相
 6.なぜ万引きをするのか
 7.依存症はこころのブレーキが利かない
 8.終わりのない依存症治療
 9.環境をリセットし、努力する


性依存症

 1.はじめに
 2.痴漢行為の事例
 3.露出症の事例
 4.盗撮マニアの事例
 5.ハイヒール盗の事例
 6.性依存症の特徴と概念
 7.人間関係を築くことが困難な人たち
 8.回復はあっても完全治癒はない
 9.性依存症の治療
 10.デイナイトケアの実践
 11.性犯罪を防ぐための加害者治療
 12.こころの病は法律では規制できない
 13.地域精神医療福祉センター設置の提唱


インターネット依存症

 1.はじめに
 2.インターネット依存症は現代病
 3.インターネット依存の諸相
 4.バーチャル世界に憧れる女性
 5.自己が崩壊し、日常生活が破綻する
 6.経済的破綻・家庭内暴力・健康破壊
 7.どうサポートすればいいのか
 8.依存症は人間関係障害である
 9.病気という認識の欠如
 10.人間関係をつくる訓練
 11.生活のリズムを取り戻させる
 12.家族は信じて待つこと
 13.アメとムチとモデル

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依存症の治療
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現代病としての依存症——ネット依存症を事例として

 1.はじめに
 2.時代の変遷とともに現われる依存症
 3.インターネット依存症の具体的事例
 4.インターネット依存症による病気の連鎖
 5.依存症はこころの病気
 6.社会の病としての依存症
 7.依存症を認識させる家族の力
 8.体験学習で気づきを
 9.治療の原則——アメとムチとモデル


依存症は治るのか?

 1.はじめに
 2.こころの病気の変遷
 3.現代病としての依存症——その特徴
 4.アルコール依存症の事例
 5.性依存症の事例
 6.万引き・インターネット依存症の事例
 7.依存症改善のための試み——デイナイトケア
 8.家族も治療に参加して気長に

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精神医療と現代
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「ひきこもり」を考える

 1.はじめに
 2.こころの病気の時代的変遷
 3.ひきこもりは暴力事件に発展する
 4.「貧乏が一番いい教育だ」——母の教訓
 5.人間関係の希薄さが生み出すもの
 6.小児的万能感に陥った子どもたち
 7.ひ弱で無気力、かつ依存的な子どもたち
 8.過保護な一人っ子と家族の相互依存
 9.ひきこもりの実態と置かれた境遇
 10.機能していない支援センター
 11.就労意識と具体的な努力
 12.「アメとムチとモデル」——私の提案
 13.相談はまず家族から
 14.ひきこもりの自助グループづくり
 15.家族教室に参加して子どものこころを理解する
 16.ひきこもりは病気として対処すべき


ヒューマンファーストのこころの治療——現代型うつを考える

 1.はじめに
 2.躁鬱病から現代型うつへの拡大
 3.問題となってきた社会文化的うつ
 4.人間関係の変化と発達障害
 5.only oneからone of them へ
 6.過重労働と自殺——社会通念の変化
 7.過保護と社会的体験の欠如
 8.「うつはこころの風邪」か?
 9.現代型うつと生物学的うつを分けて考える
 10.イタリアの精神医療改革
 11.「風土」による人間特性のちがい
 12.日本の精神医療の問題点
 13.メンタル・クリニックの課題
 14.自分自身で悩みを解決する努力も


働き盛りの夫が突然認知症になった——若年性認知症の発症と治療

 1.はじめに
 2.若年性認知症とは?
 3.生活習慣病の増大に伴う若年性認知症の発症
 4.若年性認知症の症状と治療
 5.初老期の認知症——アルツハイマー型の場合
 6.さまざまな痴呆の症状
 7.糖尿病と認知症の関連性
 8.39歳で若年性認知症になったサラリーマン
 9.迷子になる老人たち
 10.お年寄りの呆け防止方法


酒と人生——酒は薬か、毒薬か

 1.はじめに
 2.学生時代——敗戦混乱期の酒
 3.お酒の失敗——ブラックアウト・二日酔い
 4.慎太郎・裕次郎・ひばり——高度成長期の酒
 5.遠藤周作・山本周五郎・北杜夫―作家の酒
 6.エノケン・ロッパ—— 一世を風靡した喜劇王の酒
 7.酒宴を彩った白拍子たち
 8.病魔を退散させるために——神と酒と医学
 9.酒造方法の違いと文化・思考の違い
 10.失敗したアメリカの禁酒法
 11.病としてのアルコール依存症

酒と仕事

 1.はじめに
 2.古事記——天岩戸の乱痴気騒ぎ
 3.日本人の感性と酒の文化史
 4.禁酒と飲酒——ヨーロッパの2つの文化圏
 5.労働者概念の生成と資本主義の勃興
 6.産業構造の変化と労働者の困窮
 7.現代病としてのアルコール依存症
 8.アルコール依存症に併発する病気
 9.困難なアルコール依存症の治療
 10.アルコール依存症の素因―環境と素質


あとがき