書籍詳細:戦争トラウマ記憶のオーラルヒストリー

戦争トラウマ記憶のオーラルヒストリー 第二次大戦連合軍元捕虜とその家族

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  • 紙の書籍
予価:税込 3,740円(本体価格 3,400円)
発刊年月
2022.07
ISBN
978-4-535-58748-9
判型
四六判
ページ数
392ページ
Cコード
C3011
ジャンル

内容紹介

第二次大戦連合軍の英米蘭の元捕虜・民間人抑留者とその家族のトラウマ・PTSDを整理。日本の加害に向き合う、真の和解とは。

目次

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第一章 元捕虜・民間人抑留者問題とは何か
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連合軍元捕虜・民間人抑留者とは  

ゴボウと木の根  

精神的後遺症  

英国の戦後の捕虜団体  

捕虜たちの抗日運動――日本を訴える裁判  

英国の元民間人抑留者  

日本に対する英国の怒り――日英の意識のずれ  

残酷な日本人  

VJデイの祭典――一九九五年の狂騒曲  

旧オランダ領東インドの元民間人抑留者  

EKNJとJES――オランダの元民間人抑留者と元捕虜の団体  

二〇〇〇年の天皇皇后オランダ訪問とデモ  

献花をめぐるオランダと日本の意識のずれ  

泣き崩れた女性  

もう一つのデモ  

アメリカの捕虜・抑留者問題  

日本に対する裁判と謝罪・補償  

ホロコーストと連合軍捕虜虐待の重なり  

原爆が捕虜と民間人を救ったという観点について――捕虜抹殺命令  

アメリカ人の元民間人抑留者  


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第二章 元捕虜たち・男たちの経験…
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東京の収容所に囚われたデイヴィッド・ウィルソン  

日本人男性の「殴る文化」?  

矛盾した日本人?  

「地獄船」りすぼん丸に乗った捕虜フランク・ベネット  

今も残る痛み  

金瓜石収容所の捕虜たち  

日の丸を焼いたジャック・カプラン  

元民間人抑留者たちの声  

オランダの民間人抑留者――「豚籠事件」  

二次的被害者――収容所を解放したビルマ戦退役軍人の例  


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第三章 元捕虜の妻たち
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妻・未亡人の苦しみ  

悪夢・フラストレーションの共有  

離 婚  

暴力の連鎖  

性と男性の不妊  

病気の看護  

共有できない経験  

夫側の気持ち  

共有するための努力  

ジャック・カプランの妻クローディア、語る  

スコティッシュ・ウィドウ  

空色の目のチア・リーダー、アイリス・ティザリントン  

女たちの語り方  

妻たちの敵意  

妻の語りが崩す「国民の神話」「男性/夫の神話」  

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第四章 〈父の娘〉の戦争
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父の娘  

モニュメントを作る娘たち  

元捕虜に付き添う娘  

父のトラウマを内面化する娘たち  

赦すが、忘れない  

消えた娘たち  

リンダ・ローマクスの例のフロイト的解釈  

本を紡ぐ娘  

感情と痛みの共有  

父を理解したい娘たち――距離を埋めるために  

吸収される娘の生  

怒りを受け継ぎ、問い続ける娘たち  

会議・展示館・伝記――記憶の継承を行う娘たち  

息子の立場――捕虜の娘と息子の対比  

ミッシング・ピース  

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第五章 トラウマ記憶の諸相
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トラウマ記憶とは  

捕虜たちのトラウマ記憶  

政府から出された「捕虜経験を語るな」という命令  

複雑性PTSD  

NICEについて――DSMを捕虜のトラウマ判断に用いるわけ  

DSM‐5と捕虜・民間人抑留者経験  

記念日をトリガーとするトラウマ  

「日本」を回避すること  

日本製品への嫌悪、日本からの「遁走」  

自己否定につながるトラウマ  

怒りの暴発  

狭い空間に閉じ込められた男性集団の人間嫌い  

有罪意識・恥  

DSM‐5のD基準とICD‐11の複雑性PTSD  

サバイバーズ・ギルト(生き残りの罪責観)と信仰  

トラウマの再体験――悪夢による想起  

夢により再起・想起され続ける「体験」の記憶  

悪夢から覚める経験  

トラウマ解消のための日本政府告訴 

末期の悪夢が再起させる「経験」  

フラッシュバックと想起 

対象の混同・憎悪観の転移  

女性・家族に移譲されるストレス  

元捕虜対日本の関係と、児童虐待における親子関係の類似性  

元捕虜と和解・癒し  

PTSDと「賠償神経症」――元捕虜が訴える理由  

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第六章 元捕虜たちの語りと記憶の信ぴょう性
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トラウマ記憶の精度  

トラウマ記憶のジェニュイン性(genuineness)
  ――誇張や虚偽について、英国の場合  

捕虜と「いじめ」  

「告白」の文化圏と、語りの真実性、ジェニュインであることの大切さ  

なぜ今になって語るのか――戦争経験高齢者の記憶の信ぴょう性  

継承への願い、懺悔・悔悟の思い、疑問・誤解を避けたいために
真実を語る傾向  

記憶の選択性と抑圧された記憶の記録部位  

記憶違いとその意味合いについて 

「記憶違い」の可能性をもつ記憶の検証  

悪夢の記憶――赤子殺し  

伝聞記憶が広まる理由  

「記憶違い」を辿って事実確認に利用できる場合  

タマキ――三つの「証言」の中の監視兵  

語り手の年齢差・視野  

記憶を組みあわせること  

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第七章 トラウマ記憶を語るということ・聴くということ
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戦争とジェンダー・エスニシティ――語り手と聴き手のラポール形成  

元捕虜との関係  

女性民間人抑留者との関係――ジェンダーとポストコロニアリズム  

「慰安婦」女性との関係性  

オーラルヒストリーでトラウマ記憶を聴く場合の立場の置換  

元捕虜の語りの特徴  

出身地域の差――気質、体質、連合国の間の文化差異、被植民地化の体験  

語りにおけるユーモア  

トラウマ記憶を語る・辿ることの意味  

語りと癒し  

癒し・セラピーとの共通性  

セラピーによる記憶変化と戦争責任――セラピーの可否  

「謝罪」「賠償」のセラピー的意義について――日本不信を癒すために 

戦争のオーラルヒストリーにおける共感疲労と代理受傷
  ――聴き手の受けるトラウマ  

代理受傷  

聴き手の受傷――罪悪感とモラル・インジャリー  

家庭に持ち込まれるストレス連鎖  

オーラルヒストリー調査に伴う他の苦痛  

場と語り――元捕虜のオーラルヒストリーの方法  

ビデオカメラを用いるオーラルヒストリーの特徴  

聴き手のさまざまな工夫――加減する女性らしさ  

語り手との距離・区切り  

陰の支え  


おわりに