書籍詳細:経済法のルネサンス

経済法のルネサンス 独占禁止法と事業法の再定位

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発刊年月
2022.07
ISBN
978-4-535-52658-7
判型
A5判
ページ数
440ページ
Cコード
C3032
ジャンル
難易度
テキスト:上級

内容紹介

国家が市場経済を規制する法はどうあるべきか。歴史的考察をふまえ、新自由主義的経済法理論を克服する理論を論じる。

目次

はしがき

序論 解題と初出
___________________________

第1部 経済法の基礎理論
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第1章 アメリカ反トラスト法と新自由主義・シカゴ学派

  1 はじめに
  2 ケインズ主義的福祉国家の危機
  3 シカゴ学派と反トラスト法の目的
  4 シカゴ学派の反トラスト法理論
  5 結 語
  〈補論〉R. A. Posnerと
  「全面的商品化(universal commodification)」


第2章 代替的な基礎理論と具体的な課題

  1 はじめに
  2 現代社会正義論
  3 日本の財産権論と規制目的二分論
  〈補論〉規制国家のパラドックス
  4 代替的理論の具体的課題
  5 結 語——国家と市場と社会


第3章 「競争法は、競争者ではなく、競争を保護するものである」
     という格言について
 
  1 はじめに
  2 起 源
  3 ロビンソン・パットマン法における「競争者ではなく、競争」格言
  4 独占禁止法・政策への示唆

___________________________

第2部 独占禁止法の解釈論・立法論
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第1節 総論

第4章 独占禁止法70年
     ——日本型競争法の特徴と課題

  1 はじめに
  2 日本型競争法・政策の特徴と傾向
  3 エポックメイキングな法改正、判審決、ガイドライン
  4 将来の課題


第5章 独占禁止法の継受に関する研究
     ——不公正な競争方法の制定過程を中心に
 
  1 はじめに
  2 「日本独自の規制体系の形成」論
  3 原始独禁法における不公正な競争方法の成立
  4 原始独禁法制定時までのFTC法5条の審判決
  5 おわりに

第2節 不当な取引制限、不公正な取引方法


第6章 不当な取引制限の基本的論点と現代的論点

  1 はじめに
  2 2条6項の要件
  3 市場画定のあり方
  4 二面市場におけるハブアンドスポーク型協調行為
  4 おわりに
  〈補論〉独占禁止法と正当化事由


第7章 アメリカ反トラスト法における垂直的価格制限の規制について

  1 はじめに
  2 垂直的価格制限規制の歴史的展開
  3 垂直的価格制限に関する学説
  4 結 び——次章への接続を兼ねて


第8章 再販売価格維持行為と独占禁止法

  1 はじめに
  2 再販の諸形態と規制の歴史的沿革
  3 再販と「共同して……相互にその事業活動を拘束」すること
  4 一定の取引分野における競争を実質的に制限すること
  5 再販と課徴金
  6 結 語


第9章 最恵国待遇条項とプラットフォーム間同等性条項について

  1 はじめに
  2 最恵国待遇条項とプラットフォーム間同等性条項
  3 MFN条項に関連する事件
  4 デジタルプラットフォームによるAPPAの競争分析
  5 おわりに


第10章 優越的地位濫用規制の検討
     ——山陽マルナカ事件審決を素材として

  1 はじめに
  2 事案の概要
  3 優越的地位の濫用行為の有無に関する審決要旨
  4 検 討
  5 おわりに

第3節 独占禁止法のエンフォースメント


第11章 不当な取引制限に係る課徴金制度の立法論的論点

  1 はじめに
  2 課徴金制度の変遷
  3 Optimal Fineに関する理論からみた不当な取引制限に係る
    課徴金制度のあり方
  4 おわりに


第12章 排除型私的独占と課徴金

  1 はじめに
  2 私的独占・市場支配的地位の濫用・独占化行為に対する
    措置における金銭的サンクションの位置
  3 理論的観点からみた排除型私的独占の課徴金
  4 排除型私的独占に係る課徴金の法解釈上の論点
  5 結 語


第13章 2019年独占禁止法改正
     ——対立型法執行から協調的法執行へ

  1 はじめに
  2 改正の背景と内容
  3 応答的規制ないし協調的法執行について
  4 結 語


第14章 独占禁止法における民事救済と刑事処罰

  1 はじめに
  2 私人による独占禁止法の実現
  3 刑事処罰
  4 結 語

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第3部 独占禁止法と事業法のインターフェイス
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第15章 独禁法と事業法による公益事業規制のあり方

  1 本章の課題
  2 独禁法と事業法の関係に関する学説
  3 公益事業における規制のあり方
  4 相互補完説の下での両法の具体的な適用——情報通信事業を中心に
  5 おわりに


第16章 規制改革と競争政策
     ——電力自由化の比較法学的検討

  1 はじめに
  2 アメリカの電気事業規制改革
  3 EUのエネルギー規制改革
  4 規制改革における事業法中心主義と競争法中心主義
  5 結びにかえて


第17章 アメリカの独占的電気事業者とシャーマン法2条

  1 はじめに
  2 公益事業への反トラスト法の適用可能性
  3 電気事業者の単独行為とシャーマン法2条
  4 おわりに

書評掲載案内

■『公正取引』2023年1月号P69にて書評掲載
評者:和久井理子(京都大学大学院法学研究科)