書籍詳細:商法の源流と解釈

商法の源流と解釈

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  • 紙の書籍
定価:税込 8,800円(本体価格 8,000円)
在庫あり
発刊年月
2021.12
ISBN
978-4-535-52425-5
判型
A5判
ページ数
474ページ
Cコード
C3032
ジャンル

内容紹介

「法と歴史学」からのアプローチにより日本の商法の源流を訪ね、今日的法解釈へと繋げようとする、商法起草・制定の実証的研究。

目次

第一編 商法典とその編纂

第1章 旧商法典――その意義と研究に関する覚書

 一  旧商法典――忘れられた法典
 二 「ロェスレル商法」の施行
 三 むすび――あるいは始まり

第2章 明治期日本の商法典編纂

 一 はじめに――明治期の法典編纂
 二 ロェスレル商法草案の起草
 三 ロェスレル草案の運命――新商法典の公布・施行までの道のり
 四 むすびに代えて――日本商法典の「現在」

第3章 商法典とは何か――法典化・脱法典化・再法典化

 一 「商法典」の現在
 二 ヨーロッパ大陸法諸国の動向
 三 日本の商法典
 四 むすびに代えて――法典の行方と商法学のあり方

第4章 旧商法典編纂小史――実定法研究のために

 はじめに
 一 参事院法制部「商法編纂委員」(鶴田皓委員長)
  (一八八二(明治一五)年三月―一八八四(明治一七)年五月)
 二 制度取調局「会社条例編纂委員」(寺島宗則委員長)
  (一八八四(明治一七)年五月―一八八七(明治二〇)年四月)
 三 「商法編纂委員」(寺島宗則委員長)
  (一八八六(明治一九)年三月―一八八七(明治二〇)年四月)
 四 法律取調委員会(外務省、井上馨委員長)、
   司法省、山田顕義委員長)
  (一八八七(明治二〇)年四月―一八九〇(明治二三)年六月)
 むすびに代えて


第二編 商法典論争

第1章 法典編纂における民法典と商法典
      ――その「重複」と「牴触」をめぐって

 一  「ウエスターンプリンシプル」の衝撃
     ――条約改正の悲願と法典編纂
 二  二人の起草者――民法草案と商法草案
 三 民法草案と商法草案の「重複」と「牴触」
     ――司法省法律取調委員会の限界
 四 「矛盾」「牴触」問題の発展――商法典論争の勃発
 五 「近代」的私法体系の建設と梅構想の現代的意義
     ――むすびに代えて

第2章 商法典論争について

 一 ロェスレル商法草案
 二 商法典論争の原因
 三 商法典論争と「民法出テヽ忠孝亡フ」


第三編 梅謙次郎の商法学

第1章 商法学者・梅謙次郎――日本商法学の出発点

 一  はじめに――「忘れられた商法学者」
 二 『日本商法義解』の意義――梅商法学の原点
 三 明治二六年商法施行の実現と梅博士の役割
 四 むすびに代えて

第2章 梅謙次郎と商法――日本人による日本商法編纂の狼煙

 一 『日本商法義解』とその時代
 二 商法学者としての梅
 三 梅による「旧商法改正私案」
 四 梅と本野と陸奥と

第3章 梅謙次郎『最近判例批評』の商法学的意義
      ――現代商法学のために

 一  商法起草者・商法学者としての梅謙次郎
 二 『最近判例批評』の具体的考察


第四編 社団法理

第1章 会社、組合、社団

 一  はじめに
 二  人的会社の「社団」性
 三 「会社」の法典化――旧民法典・旧商法典
 四 「組合」と「社団」の分化――新民法典・新商法典
 五「モノ」への回帰?――新会社法

第2章 株主による差止請求制度

 一 株主の差止請求と差止事由
 二 平成二六年改正法における組織再編の差止請求
 三 昭和二五年商法改正における株主の差止権
 四 むすびに代えて――基礎の交代?


第五編 株式会社の機関構成

第1章 日本商法の源流・ロェスレル草案
      ――「ロェスレル型」株式会社を例として

 一 ドイツ人がドイツ語で書いた商法草案」だからドイツ法か
 二 Hermann Roeslerとは誰か
 三 「ロェスレル型」株式会社の機関構造
 四 「ロェスレル型」と一層制・二層制
 五 昭和二五年商法改正によるアメリカ法の継受
    ――ガバナンス改革
 六 祖先と末裔Vorfahren und Nachkommen
    ――「ロェスレル型」と決別できるか

第2章 ロェスレル草案における株式会社の機関構造
      ――高橋教授の問題提起をめぐって

 一 はじめに
 二 ロェスレル草案における「頭取」と「取締役」
 三 ドイツ一般商法典の機関構造――Vorstandの選任
 四 わが国旧商法の解釈――取締役選任機関
 五 むすびに代えて

第3章 日本型コーポレート・ガバナンスの原型
      ――取締役と監査役の起源をめぐって

 一 欧州法の継受――ロェスレル草案のモデル
 二 「取締役たち」(Directoren)の二つの側面
 三 二つの„Aufsichtsrath“
     ――ドイツ法およびフランス法の「監査役会」
 四 ロェスレル草案の監査役会とそのモデル
 五 むすびに代えて――ロェスレル発案の「二元制」のゆくえ

第4章 「取締役」と「監査役」の形成
       ――ロェスレル草案の受容

 はじめに
 一 ロェスレル草案から旧商法典へ
 二 旧商法から新商法へ
 三 むすびに代えて

第5章 監査役制度の変遷
      ――ガバナンスの歴史は取締役会改革へ

 一 なぜ監査役なのか
 二 明治のガバナンス構想
 三 第二次大戦後の「監査役」廃止
 四 監査役の「復活」――粉飾とガイアツ
 五 むすびに代えて




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■『ジュリスト』2022年12月号
評者:三宅 新氏(北海道大学教授)