書籍詳細:〈法の支配と立憲主義〉とは何か

〈法の支配と立憲主義〉とは何か 法哲学・法思想から考える

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発刊年月
2021.06
ISBN
978-4-535-52541-2
判型
A5判
ページ数
240ページ
Cコード
C3032
ジャンル

内容紹介

古今の法哲学・法思想の学問的遺産を丹念に跡付けつつ、法の支配と立憲主義のそれぞれの意味と両者の関係を探究する。

目次

序章 法の支配とは何か、立憲主義とは何か

1 法の支配について:政治理念としての法の支配
(イ)「法の支配」の多様な用法
(ロ)「法の支配」の用法の特徴:「法の遵守」ないし「適法性」
(ハ)法の支配の形式的考え方と実質的考え方:近代国家法との関連で
(ニ)裁判所の役割と司法の独立の重要性
(ホ)法の支配にとって必要な文化

2 立憲主義について
(イ)「立憲主義」はいつ頃から用いられているか
(ロ)憲法の二側面と「立憲主義」の捉え方
(ハ)「立憲主義」の三つの意味
(ニ)「法の支配」と「立憲主義」の関係
補論 「立憲主義」の用法:イギリスの場合


[第1部]法の支配の諸問題

第1章 日本国憲法の基本的原理としての法の支配:
      英米法の法の支配との関連で

1 イギリス法における法の支配
(イ)法の支配の歴史と発展
(ロ)法の支配の発展にとって重要な出来事
(ハ)イギリス憲法の法の支配:A. V. ダイシー
(ニ)1998年人権法などと法の支配

2 アメリカ合州国における法の支配
(イ)法の支配の継承と成文憲法の制定
(ロ)違憲審査制の始まりと司法権の優位

3 日本国憲法の基本的原理としての法の支配
(イ)「法治国」から「法の支配」へ:伊藤正己
(ロ)司法制度改革と法の支配:佐藤幸治
(ハ)競合する法の支配論

4 整理と二つの問題
(イ)法の支配論の整理
(ロ)残された問題

補論 「法治国家」について

第2章 政治理念としての法の支配と形式的考え方

1 政治理念としての法の支配
(イ)法の支配の形式的考え方と実質的考え方
(ロ)B. Z. タマナハの見解について

2 法の支配の形式的考え方:法哲学者たちの見解
(イ)L. L. フラー
(ロ)J. ラズ
(ハ)R. S. サマーズ

3 法の支配の形式的考え方と形式的適法性
(イ)法の支配の形式的考え方の整理
(ロ)形式的適法性について

4 法の支配の形式的考え方の意義と限界
(イ)法の支配の形式的考え方の意義
(ロ)法の支配の形式的考え方の限界

第3章 法の支配の形式的考え方と法理論の「法と道徳」問題

1 法の支配の形式的考え方と法理論の対立
(イ)ハート対フラー論争について
(ロ)J. ラズのフラー批判

2 ハート陣営とフラー陣営の対立
(イ)フラー陣営の「法と道徳融合論」
(ロ)ハート陣営の「法と道徳分離論」
(ハ)ハート陣営の修正的見解

3 国際シンポジウム、そして論争の整理
(イ)二つの国際シンポジウム
(ロ)論争の論点を整理する前に
(ハ)対立の根底にあるものは何か

第4章 現代世界の法の支配:発展途上国、社会主義国、国際社会

1 発展途上国と法の支配
(イ)発展途上国への援助と法整備支援
(ロ)法整備支援の目的としての法の支配:B. Z. タマナハ

2 社会主義国と法の支配
(イ)ソ連邦の「社会主義的適法性」と冷戦終了
(ロ)中国の「法治」問題について

3 国際社会と法の支配(1)
(イ)国際社会における法の支配
(ロ)国際連合の総会と国際立法
(ハ)安全保障理事会の役割

4 国際社会と法の支配(2)
(イ)国際司法裁判所とその限界
(ロ)国際立憲主義について

第5章 法の支配への批判、そして緊急事態

1 法の支配への批判
(イ)マルクス主義法学
(ロ)批判法学(CLS)

2 法の支配への批判の問題点
(イ)法の支配への批判の問題点
(ロ)法の支配は略奪の道具か

3 緊急事態の問題
(イ)緊急事態における緊急権
(ロ)緊急事態では法の支配は否定されるか
(ハ)法の整備の要点

補論 緊急事態の提起する諸問題


[第2部]立憲主義と違憲審査制の諸問題

第6章 立憲主義の発展、そして違憲審査制の成立と普及

1 近代成文憲法の成立と立憲主義の発展:
    法思想史から振り返る
(イ)近代成文憲法と立憲主義をめぐる法思想
(ロ)J. ロールズの正義論と憲法論
(ハ)現代立憲主義の特徴としての違憲審査制

2 違憲審査制の成立、発展、普及
(イ)違憲審査制の成立、発展、普及
(ロ)違憲審査制の世界的普及:T. ギンズバーグ
(ハ)違憲審査制の二つの型と二つの形

3 違憲審査制をめぐる欧米諸国の議論
(イ)アメリカとイギリスの議論
(ロ)ドイツとフランスの議論

第7章 違憲審査制の不要論と廃止論

1 違憲審査制の不要論
(イ)T. キャンベル
(ロ)J. ウォルドロン
(ハ)イギリスにおける1998年人権法批判

2 違憲審査制の廃止論
(イ)M. タシュネット
(ロ)タシュネットの見解の問題点

3 不要論と廃止論の背後にあるもの
(イ)不要論と廃止論の背後にあるもの:
     司法部への不信と民主主義観
(ロ)最後に:わが国の問題

第8章 違憲審査制の正統性の問題
1 問題の整理とH. ケルゼン
(イ)違憲審査制の正統性の問題とは
(ロ)H. ケルゼンの違憲審査制論
2 違憲審査制の正統性の説明(1):民主主義との関連で
(イ)民主主義を護る必要性など
(ロ)民主主義の形式的タイプと実質的タイプ
3 違憲審査制の正統性の説明(2):J. ロールズ
(イ)正義原理と憲法
(ロ)立憲主義の諸原理と違憲審査制
4 違憲審査制の正統性の説明(3):R. ドゥオーキン
(イ)民主主義、原理の問題、違憲審査制:『至高の徳』
(ロ)人間の尊厳、等しい配慮と尊重、憲法上の諸権利:
     『ハリネズミの正義』
(ハ)共同事業としての民主主義観

5 整理と検討
(イ)正統性の説明の整理と検討
(ロ)民主主義における裁判官の役割

6 わが国の憲法学者たちの説明