書籍詳細:関係を育てる心理臨床

関係を育てる心理臨床 どのようにこころをかよわせあうのか 専門家への手びき

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定価:税込 2,420円(本体価格 2,200円)
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在庫あり
発刊年月
2021.03
ISBN
978-4-535-56400-8
判型
四六判
ページ数
300ページ
Cコード
C3011
ジャンル

内容紹介

心理臨床の現場に出て40年。みずからを育ててくれた3つのケースを丹念に描き出し、心理臨床の真髄を示した渾身の書き下ろし。

目次

刊行に寄せて……神田橋條治

はじめに

待合室からはじまる「はじめまして」
子どもはからだの感覚でキャッチする
からだを介した共感
「生きた発達」に出会う
こころを動かし、自分の気持ちをつかうこと
心理臨床家の仕事
なぜ私は専門用語をつかわないようにしているのか

第1章 発達相談という心理臨床

発達相談って?!
発達相談の様相

1 子どもの側の視点から

 赤い輪の魔法
 三人で一緒の空間を
 からだの張りと精神発達との関係
 発達課題で母子をつなぐ
 読みとってくれる他者がいることで
 より細やかにモノと関われるように
 母子の間にかけるかけ橋

2 お母さんの側の視点から

 穏やかさという不思議な出会い
 インタビューから見えてきた世界
 わが子をひきうけるための知恵として
   ーー強い響きをもつふたつのことば
 気持ちのかたまりが溶けてゆくように
 過剰にいれこむ時期もきて
 自分に期待したりがっかりしたりをくり返し……

3 ミカちゃんとお母さんのケースから

 はじめて会った時のお母さん
 はじめて会ったときのミカちゃん
 二回目以降一歳まで
 一歳をすぎて二歳まで
 お母さんが子育ての協力者をふやしていく
 二歳をすぎてーーミカちゃん、ふたたび落ち着く
 三歳以降
 お母さんとまわりの関係がやわらかくなる
 四歳以降学齢期まで
 あらためてケースから感じ、考えたこと


第2章 ひとりぼっちの世界から関係性の世界への旅
            ーー抱える関係に支えられて

なぜこのケースを書くのか

1 ヒロさんが病院にきて、ここで相談をすることにきめるまで

 初回の関わり

2 最初の一年目が終わる頃までの面接

 〝あれ〟と〝これ〟がごっちゃになる
 話したいことを話せるようにメモをとる
 なじりあいのけんか面接とそこから得た気づき
 これまで自分を支えてきたもの

3 二年目(翌年の一月~一二月) の面接のなかから

 前の治療者のメッセージの翻訳を
 一度つながった関係は続いてゆく
 自分の不安に気づいてゆく
 押し込めてきた自分の気持ちが蘇ってくる
 おっさんと大おっさんの関係をたとえとして
 どう生きてゆくかの迷い

4 三年目の面接のなかから

 バラバラだったものがつながってゆく
 雰囲気の世界が彼女を支える
 肝心なところは〝横並び〟の関係で
 手紙をめぐって

5 四年目の面接のなかから

 ひとのせいにする
 余裕がでてきて素直になって
 先生抱きついてもいいですか
 一生懸命考えて
 セラピーがふつうの雰囲気になってきた

6 五年目の面接のなかから

 留学の話と関係を育てること
 思わずでた捨てゼリフ
 危機を何とかのりこえて
 自分の足で歩いている感覚
 頼れる人や助けてくれる人がふえてきて
 仕事という現実的な問題をめぐって
 次の危機とたちなおり
 なまなましく言う、は彼女の工夫
 キャッチボールがうまくなる

7 留学中と戻ってから

 あらためてケースから感じ、考えたこと


第3章 私の話を聞いてください
     ーー重度に近い中度知的障碍のある女性が
          自分につながってゆく旅

なぜこのケースを書くのか

1 カナさんとの出会い

 相談がはじまるまでの経過

2 相談の経過をたどりながら

 第一期(半年がすぎる頃まで)
 第二期(二年半がすぎる頃まで)
 第三期(四年半がすぎる頃まで)
 第四期(五年半がすぎる頃まで)
 第五期(七年目がすぎる頃まで)
 第六期(九年目になる頃まで)
 第七期(一0年目がすぎる頃まで)
 その後の経過

3 あらためてケースから感じ、考えたこと

 見えにくい知的障碍の人たちのこころの世界
 ことばにいのちを吹き込ませるこころの通いあい
 たっぷりとした時間とこころの育ち
 Aさんとは何だったのか?
 わかろうとするこころが相手とつながる

文 献

おわりに