書籍詳細:中国土地私有化論の研究

中国土地私有化論の研究 クライシスを超えて

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  • 紙の書籍
定価:税込 5,500円(本体価格 5,000円)
在庫あり
発刊年月
2020.10
ISBN
978-4-535-55989-9
判型
A5判
ページ数
420ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

中国の食料供給モデルがクライシスに直面している。その克服の方向性を、土地私有化論に注目しつつ多角的・実証的に考察する。

目次

序章 クライシスのフレームワーク

1 本書のねらい
2 食料供給モデル
3 中国食料供給モデルのフレームワーク
4 研究方法

第1章 世界発クライシスと中国への影響

1 最大の弱点――食料供給モデル
2 『成長の限界』は間違ったのか――世界と中国のクライシス
3 「2017年・FAOレポート」が提起したもの――意義と疑問
4 続く世界の人口増加
5 世界温室効果ガス(GHG)排出と中国の責任
6 「石化資本主義」への岐路
7 急上昇する北半球の気温
8 深刻化する降水量と洪水
9 受粉者(マルハナバチ)のクライシス
10 分断――輸出国(過剰)と輸入国(飢餓)
11 土地生産性と土の限界――壊れる土壌
12 土地生産性格差――2924キログラムと16キログラム
13  上昇する穀物価格――二層化する価格構造

第2章 中国発クライシスと食料インフラ

1 農業発GHGクライシス
2 猶予なき環境激変への行動
3 食料供給モデルとエントロピー・クライシス
4 ワン・ベルト(一帯一路)とラスト・ベルト(錆地帯)
5 生産費の高騰、利潤の悪化
6 食料供給モデルの蹉跌
7 中国四億人の人口減少
8 水害と旱魃で被災する耕地
9 水害と旱魃被害の実態
10 台風被害の推移
11 地下水枯渇の現実と汚染
12 大都市で進む地盤沈下と過揚水
13 止まぬ黄河・松花江の汚染
14 森林面積・森林率クライシス
15 沙漠化クライシス
16 家畜・家禽・ヒト感染症クライシス
17 今後の見通し――気温上昇5度の現実

第3章 世界と中国の食料供給クライシス

1 中国食料見通し論争
2 世界と中国の穀物生産――半世紀の軌跡
3 10か国独占――世界の耕地
4 固定化する穀物貧困国――マラウイ以下の日本
5 小麦生産の長期推移――順調な世界、低下の中国
6 コメ生産の長期推移――中国の地位低下
7 トウモロコシ生産の長期推移――原油との競合
8 大豆生産の長期推移――減る中国
9 畜産物生産独占と中国
10 低下する中国の食料自給率

第4章 中国式食料供給モデルの主役と脇役

1 土地所有制度――農民の異議(主役)
2 農民による土地投資の過少と過多(主役)
3 育種改良技術の特徴と成果(重要な脇役)
4 農業機械化の発展と消えた農民(重要な脇役)
5 農薬の功と罪(重要な脇役)
6 中国的灌漑の重責(重要な脇役)
7 化学肥料が救った食料(重要な脇役)

第5章 土地生産性分析――クライシスの諸相(1)

1 マクロ農業経済とリセッション
2 農業就業者数の均衡と敗北
3 小麦生産性――イギリスの半分
4 水稲生産性――なお劣位
5 トウモロコシ生産性――アメリカの半分
6 大豆生産性――世界平均以下
7 鶏肉生産性――トップ国の半分以下
8 豚肉生産性――出荷量は多いが
9 牛乳生産性――上位国の30%
10 牛肉生産性――世界最低レベル
11 生産性が低い理由

第6章 国際競争力分析――クライシスの諸相(2)

1 食料供給国から輸入国へ
2 国際価格変動を左右
3 失われゆく国際競争力
4 中国人は何を食べているのか
5 青年の食事
6 穀物需給
7 穀物備蓄
8 穀物ロスの実態と背景
9 野菜需給
10 肉類・魚介類需給
11 増える飼料需要と自給の限界
12 飼料のカロリー代謝率

第7章 拡大する入超品目分析――クライシスの諸相(3)

1 世界食料貿易における急激な地位変化
2 入超拡大する食料貿易
3 品目別貿易の変化
4 農林水産物の国別付加価値輸出の構造
5 食品・飲料・タバコの国別付加価値輸出の構造
6 農林水産物の国別付加価値輸入の構造――付加価値入超の拡大
7 食品・飲料・タバコの国別付加価値輸入の構造
  ――付加価値入超の拡大

第8章 拡大する中国の入超先の世界化――クライシスの諸相(4)

1 国別数量貿易を見る意味
2 輸入優遇関税措置等

第9章 閉じられた自立――農民経済のマクロ分析

1 中国経済成長と農民経済への影響
2 農民家計所得
3 純収入と収益率の変化ーー生業にすらなれず
4 農村貯蓄の向上と金融市場への貢献
5 農業固定資産投資の拡大の限界
6 農業所得水準の低迷
7 農業可処分所得はアメリカの数十分の一
8 農業労働人材の不足または欠如
9 セーフティ・ネットなき農民
10 農民工の社会保険
11 不十分な保険金給付額
12 統一性乏しき社会保険制度

第10章 土地公有制のクライシス

1 均田制・永佃権制の伝承
2 共有地の悲劇 (Tragedy of the commons)
3 土地収用(征地)制度の確立
4 1998年土地管理法の意味
5 2019年土地管理法改正の要点
6 失地農民――「三無遊民」の構造
7 土地収用補償制度の問題点
8 土地収用の連鎖
9 地価上昇と収用補償――収用側暴利の構造
10 農村土地の権利保護問題
11 複雑な土地流動化の進展
12 農業・農村の開放と混住化
13 家族経営と農業竜頭企業
14 「農業産業化」と農業竜頭企業
15 農業竜頭企業が直面する二つの競争
16 土地制度の歪みの構造
17 農と村からの逃走

第11章 「土壌」資本クライシス

1 土地と土壌
2 農業と土
3 土と地力
4 土と土壌
5 肥料革命と二つの要因
6 土から見える中国食料供給モデル
7 中国における土論――社会科学的考察
8 中国「土資本論」

第12章 土地私有化論の導因

1 「集体」の実体
2 土地所有者と村民委員会
3 農業再編政策の失敗
4 農家一戸当たり30万元の資産形成――私有化試算
5 土地紛糾問題
6 「仲裁法」の背景
7 土地紛糾の実態
8 土地紛糾の類型化
9 土地所有制度と現実の不整合――私有化への始動

第13章 土地私有化への準備――食料供給クライシスを超えて

1 クライシスとその克服の方向――市場主義的農業の生成
2 三農「問題」から三農「発展」へのあぜ道
3 専業農業経営体制の創出
4 温暖化抑制のための農民的取り組み

終  章 中国土地私有化論の嚮導――土地は農民の手に

1  農民的土地所有の法的根拠
2 中国土地所有の社会的責任
3 土地私有化のドア――1950年「土地改革法」の現代的蘇生
4 土地私有化肯定論・批判論・中立論
5  土地私有化論についてのコメント

むすび