書籍詳細:丸山眞男『日本政治思想史研究』を読む

丸山眞男『日本政治思想史研究』を読む

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  • 紙の書籍
定価:税込 3,520円(本体価格 3,200円)
在庫僅少
発刊年月
2016.07
ISBN
978-4-535-58663-5
判型
四六判
ページ数
448ページ
Cコード
C3031
ジャンル

内容紹介

戦後日本思想をリードした丸山政治学。その出発点となった処女作を読み解く。有名だが読まれざる著書へのはじめての試みである。

目次

第1講 読みはじめる前に――思想に接する作法
 なぜ丸山はいまでも問題にされるのか
 論文執筆時の時代状況
 時代状況と思想

第2講 近世儒教の成立
中国儒教史の特性
近世日本社会と儒教(1)――儒教適応の客観的条件
近世日本社会と儒教(2)――儒教適応の主観的条件
 近世日本社会と儒教(3)――外来思想としての儒教の問題

第3講 朱子学的思惟様式とは何か
朱子学の成立
朱子学説の概要
朱子学の思惟様式上の特性

第4講 近世初期朱子学と解体のはじまり
 惺窩・羅山の朱子学
闇斎派の朱子学
 「朱子学全盛の時代」と解体のはじまり
 さらに補足すべき論点

第5講 素行・仁斎・益軒の朱子学批判
 素行――規範と人性の断絶から「政治の発見」へ
 仁斎――規範主義の純化
 益軒――大いなる疑問

第6講 儒教政治化の出発点
 徂徠の生涯と学問
 政治的思惟の優位

第7講 古文辞学と道の概念
 古文辞学
天概念の氾濫
道の本質
道の内容
気質不変化説と社会的存在としての人間

第8講 聖人の絶対性と実証的精神
天・帝・先王・聖人
歴史意識と実証的精神

第9講 公と私の分離
徂徠学における公と私
私的=内面的生活の解放の行方
学者の領分

第10講 徂徠の時代と改革論
時代背景
政治社会組織改革論

第11講 徂徠以後の儒学界
蘐園学派の隆盛と徂徠批判
蘐園学派の分裂と没落
折衷学派と思想の雑居性

第12講 国学の確立と徂徠学の影響
国学の登場と徂徠学
国学と徂徠学との人的関係
聖人作為の論理――徂徠学と国学の否定的関連(1)
思想的純粋性――徂徠学と国学の否定的関連(2)
若干の補足

第13講 宣長による徂徠学の継承・発展とその帰結
徂徠の「聖人=天」と宣長の「神」
文献学的=実証的方法論の継受・発展
歴史的意識の継承と独自的成長
人間の自然性の積極的承認

第14講 宣長による徂徠学の継承・発展とその帰結(続)
文芸観の新展開
「もののあはれを知る心」論と「真心」
「文学の政治化」と「政治の非政治化」
反規範主義的思惟の行方

第15講 思惟様式の変容と近代的意識の成長
儒教思想の自己分解過程と近代意識の成長
非合理主義的傾向への展開の意味
近代意識を論じることの意義
思惟様式とは何か

第16講 作為の論理の登場とその意味
「自然」より「作為」への推移の歴史的意義
朱子学から徂徠学へ
作為の論理と主体の問題

第17講 「作為」の論理の破壊性とその継承
「作為」の論理の破壊性
「自然世」の論理からの思想的抵抗――安藤昌益
「内的自然」の論理からの思想的抵抗――本居宣長

第18講 内憂外患時代の思想状況
近世後期の「状況と思想」
宝暦明和事件から寛政異学の禁へ
新しい制度改革論の登場
制度改革論の限界

第19講 攘夷から開国へ――維新前後の思想的転換
攘夷論と自然的秩序観
緊迫する内外情勢と攘夷論の新展開
明治維新後の展開

第20講 日本近代思想におけるナショナリズムの問題
国民および国民主義の概念
前期的国民主義の諸形態とその限界(1)

あとがき

人名索引
凡例

書評掲載案内

■『神奈川大学評論』(2016年)85号(P190)評者:安田常雄氏(神奈川大学教授)
■『週刊金曜日』(2016年9月16日号)第1104号(P51)評者:瀬下美和氏(フリージャーナリスト)