書籍詳細:増補 母性愛神話の罠

シリーズ:こころの科学叢書

増補 母性愛神話の罠

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定価:税込 1,870円(本体価格 1,700円)
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在庫あり
発刊年月
2015.06(下旬刊)
ISBN
978-4-535-80437-1
判型
四六判
ページ数
232ページ
Cコード
C3011
ジャンル

内容紹介

原著刊行から15年。子ども・子育て支援新制度スタートの年に、燻り続ける母性愛神話、三歳児神話の「いま」を増補し、装いも新たに再刊。

目次

はじめに――なぜ母性愛神話を問い直すのか

第1章 母性愛神話にとらわれた社会とそのゆがみ
 聖域のまま保たれる家族・母性
 一方的な母性観をせまる社会の限界
 母性愛神話を二十余年前にさかのぼれば
 母性愛神話がもついくつかの顔

第2章 母性愛に寄せる人々の慕情
 母性愛を疑うことへの人々の抵抗
 母なるものに寄せる人々の郷愁
 母への郷愁をかきたてる文化的装置
 母を用いた見事な演出
 母を恋うる心情
 世代を超えた母への想い

第3章 母性愛神話の罠にはまる女性たち
 「子育てがつらい」と訴える母親たち
 かつての母親も育児のつらさに苦悶していた
 「いまどきの母親は……」という批判
 なぜ同じ罠にはまるのか

第4章 母の乳房にぶらさがる男たち
 息子に執着する女としての性
 男性にとって母と妻のどちらが大切か
 妻に母を求める夫と、夫をあきらめた妻
 母子癒着が生み出した悲劇

第5章 三歳児神話──母子癒着の元凶
 三歳児神話に寄せる人々の思いとその弊害
 三歳児神話のルーツ
 三歳児神話に行政はいかに関与したか
 三歳児神話には「科学」も加担
 三歳児神話をめぐる攻防

第6章 人はいかに三歳児神話にとらわれているか
 人々のこころの中の三歳児神話
 保育現場にみる三歳児神話

第7章 母親の就労を憂う世論を憂う
 男女平等はいい。しかし……
 冷静な議論ができない
 母親意識の研究が示唆したもの
 育児に専念した結果、いま

第8章 母親の就労は本当に子どもに悪影響を与えるか
 三歳未満児の保育園入園はなぜ危ぶまれるのか
 母親の就労が子どもに与える影響
 子どもたちは働く母親をどのように見ているか
 働く母親への周囲の干渉

第9章 男を父にさせない母性愛神話の罪
 父子家庭の父の惑い
 砂上の楼閣に気づかないのんきな父親たち
 育児をしろといわれた男性たちの抵抗
 育児を許さない企業社会の厳しさ
 混戦模様の父親像
 父親論のゆくえ
 虚構の父親像

第10章 母性愛神話をかざす男たち
 妻の人生を狂わす男性の母性愛神話
 父親論はブームだが
 巧妙な反対
 父親は生きる厳しさを毅然と伝えうるのか
 強い父親は幻想
 父親の出番は「いざ」というとき?

第11章 母性愛が加害性をもつとき
 子どもをもたない女性を対象とした研究
 母性愛に分断される女の悲哀
 母性愛が凶器となるとき

第12章 母性愛神話からの解放──女性の自己実現をめざして
 母性愛喪失の危機感
 母となることは、すべてを犠牲にすること?
 「母親以外の私」を求める女性たち
 起こるべくして起きた「文京区幼児殺害事件」
 『マディソン郡の橋』に涙する中年女性たち
 男も女も仕事も家庭も
 母性・父性に代わる「育児性」

補 章 「子ども・子育て支援新制度」のスタート
 子育て支援の制度は構築されたが
 ベビーシッター紹介サイト事件が映しだす社会の冷たさ
 母性神話へのこだわりも再び
 地域の〝人財〟が、今、マグマのような動きを

参考文献
あとがき