書籍詳細:労働証券論の歴史的位相

労働証券論の歴史的位相 貨幣と市場をめぐるヴィジョン

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  • 紙の書籍
定価:税込 5,720円(本体価格 5,200円)
在庫なし
発刊年月
2013.02
ISBN
978-4-535-55741-3
判型
A5判
ページ数
284ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

労働を基準とした公平で望ましい市場経済の構築を目指す理論・思想・実践に関わる学説を包括的な論争史として再構築する。

目次

課題と方法──労働証券論の不可視性



第1章 プルードンの社会主義とマルクスの市場理論──無償信用論と価値形態論

問題の背景

1 プルードンの無償信用論

2 マルクスによる労働貨幣論の規定

3 『資本論』におけるプルードン批判

結びに代えて──現代世界とアナーキズム



第2章 マルクスによる労働貨幣論批判の理論的含意──社会主義と地域通貨への射程

1 労働貨幣論批判の帰結としての労働証明書の提示

 (1) 分配尺度としての労働時間

 (2) 労働貨幣論批判からオウエン評価へ

2 労働証明書と地域通貨との関連性

 (1) 等労働量交換の実現から不等労働量交換の受容へ

 (2) 地域通貨(タイムダラー)との関連性

小括と残された課題



第3章 R・オウエンとJ・ウォレンの労働証券論

1 忘却された舞台──アメリカにおける労働証券論

2 オウエンの労働証券論──自然的価値標準としての労働時間の提唱

3 ニューハーモニーにおける帳簿方式の実験──理想主義の挫折

4 ウォレンの労働証券論──オウエン思想の批判的継承

 (1) ウォレンの略歴

 (2) 個性概念と個人主権論

 (3) 費用概念と労働証券論

 (4) タイム・ストアの運営状況

5 労働証券論の歴史的意味と問題点



第4章 ウィリアム・ペアの労働証券論──貨幣機能の分析から市場ヴィジョンへ

1 労働証券論の源泉と支流

2 ウィリアム・ペアの労働証券論

 (1) ペアによるウォレン型労働証券論の刷新

 (2) 交換手段、支払手段、蓄蔵の観点から



第5章 オウエンの労働証券論と現代の地域通貨論との比較検討

問題の所在

1 地域通貨の思想と理論

 (1) タイムダラーの思想的概要

 (2) LETSの理論的概括

2 オウエンと労働証券の諸実践

 (1) 再びオウエンの労働証券論について

 (2) 労働証券の諸実践

3 貨幣の発行根拠をめぐる諸様相

 (1) ニュー・ハーモニー型と労働交換所型

 (2) 労働証券とタイムダラー

 (3) 労働証券とLETS

いったんの総括と労働証券論の分岐



第6章 ジョン・グレイの労働証券論──貨幣と労働の関連性

1 グレイをめぐる問題群

 (1) 先行研究におけるグレイ評価をめぐって

 (2) 貨幣と労働の関連問題へ

2 労働証券論の基本構造

 (1) 中期グレイにおける貨幣と労働の関連性

 (2) 複雑労働の処理をめぐって

 (3) 中期グレイにおける貨幣と生産体制の関連性

3 労働証券論の変容と帰結

 (1) 後期グレイにおける貨幣と労働の関連性

 (2) 複雑労働の処理をめぐって

 (3) 後期グレイにおける貨幣と生産体制の関連性



第7章 S・ゲゼルの資本理論

1 研究の背景

2 市場中心社会主義

3 独立小生産者モデル

4 独立小生産者モデルを支える理論的・思想的条件

5 貨幣=資本説



貨幣と市場をめぐるヴィジョン──労働証券論の可能性