書籍詳細:こころの医学事典

シリーズ:こころの科学増刊

こころの医学事典

の画像の画像
  • 紙の書籍
定価:税込 3,080円(本体価格 2,800円)
在庫僅少
発刊年月
2010.09
ISBN
978-4-535-90421-7
判型
B5判
ページ数
368ページ
Cコード
C9411
ジャンル
難易度
テキスト:初級

内容紹介

一般市民向けの精神医学事典。ライフステージ別・症状別解説の第1部、病気別解説の第2部、最新脳科学を解説した第3部からなる。

目次

巻頭インタビュー 野村総一郎先生に聞く

こころを脳神経細胞の機能的現象ととらえることで新しい治療がみえてくる



巻頭インタビュー 樋口輝彦先生に聞く

患者さんと治療者の人間関係の構築からこころの病気の治療は始まる



(1)ライフステージからみた注意すべき症状とこころの病気



1 乳幼児期 神庭靖子

  おっぱいがやめられない、指しゃぶりする

  夜泣きをする、寝つきが悪い、うなされる

  あやしても笑わない、視線が合わない

  人見知りが激しい、または人見知りをしない

  だだをこねる、後追い、ママにべったり、抱っこ要求

  言葉が遅い

  落ち着きがない、多動

  こだわりが強い、頑固である

  におい、音、汚れなどに過敏である

  かみつく、人に物を投げる、たたく、頭を壁にぶつける

  親と離れたがらない、または離れても平気

  言いわけをする、うそをつく

  幼稚園、保育園に行きたがらない

  集団行動がとれない、友達と遊ベない

  偏食がある、拒食をする

  爪をかむ、指の皮をむく

  種々の身体症状(チック、腹痛、吃音、喘息、アトピー、脱毛、嘔吐など)



2 小学校・中学校期 齊藤万比古

  小学校低学年の不登校

  授業中じっとしていられず集中力がない

  一人遊びが多く、友達がいない

  他者とのコミュニケーションがうまくいかない

  学校や家庭で反抗的な行動が目立つ

  ある朝急に歩けなくなった

  大小便をもらす、髪の毛を抜く、指しゃぶり

  チック

  不潔さに過敏になり、手ばかり洗うようになる

  授業についていけず学業不振

  中学生の不登校

  食事量が極端に少なくなった

  頭痛、腹痛、吐き気、めまい

  親に暴力をふるう

  親の財布からお金を盗む

  手首を自分で傷つける



3 思春期・青年期 加藤由起子

  身体の不調がつづく

  生活リズムの乱れが目立つ

  夜眠れない、変な夢をみる

  汚れを極端にいやがり、手洗いをくり返す

  視線が気になる、他人と目が合わせられない

  ドキドキして乗り物に乗れない

  突然意識がなくなる

  繰り返し、自分の身体を傷つける

  食事を食べない、食べるのが止まらない

  学校や仕事に行かなくなる

  集中力がなくなり、急に成績が落ちた

  友達とのトラブルが多い

  親と口をきかない、自室にこもる

  親に反抗する、すぐ暴力をふるう

  男(女)の子らしくない



4 成年期 阿部隆明

  寝つきが悪い、夜中に何度も目がさめる

  ささなことで悩み、心配事が次々と浮かぶ

  ひとりで買い物や用事に行けない

  いやなにおいが体から出て、嫌われていると思う

  がんではないかと心配でたまらない

  食欲不振になり、吐き気がおさまらない

  疲労感がつづき、倦怠感がひどい

  戸締まりが気になり、外出ができない

  物事をするのがおっくうになる

  同じことを繰り返す

  出社ができなくなる

  お酒がやめられない

  尊大、誇大的な話し方、態度が目立つ

  話が進まない、考えがまとまらない

  不安に駆られ、落ち着かない、イライラする

  身体がぴりぴりする、異常な感覚がある

  現実と空想の区別がつかない

  もう生きていたくない、死にたい



5 成年期女性 加茂登志子

  月経前にイライラしやすく涙もろくなる

  妊娠中のイライラ、産後のふさぎこみ

  女性のトラウマ、DVと性障害

  仕事に行こうとするとめまいや吐き気がする

  食べること・食べないことがやめられない

  買いすぎてしまう、飲みすぎてしまう

  更年期が重く、長い

  女性特有のがんの告知を受けて不安、気が沈む



6 老年期 今井幸充

  気分の落ち込み

  よく眠れない

  不安、イライラ

  物忘れが激しい

  疑い深くなる

  人格の変化

  人物誤認

  自分の居場所がわからない



(2)こころの病気の理解とその治療



1 神経症性障害、ストレス関連障害 多賀千明・白波瀬丈一郎・塩入俊樹

  強迫性障害

  身体表現性障害

  転換性障害

  解離性障害

  パニック障害

  広場恐怖

  全般性不安障害

  社交不安障害

  特定の恐怖症

  心的外傷後ストレス障害(PTSD)

  急性ストレス反応、惨事ストレス



2 気分障害 加藤忠史

  うつ病(大うつ病)

  双極I型障害(躁うつ病)

  双極II型障害

  気分変調症(抑うつ神経症)



3 適応障害 塩入俊樹



4 統合失調症 福田正人



5 睡眠障害 井上雄一

  不眠症

  概日リズム睡眠障害

  過眠症

  夜驚症・夜泣き

  夢中遊行(夢遊病)

  睡眠時無呼吸症候群



6 心身症 熊野宏昭

  過敏性腸症候群

  消化性潰瘍

  頭痛

  痙性斜頸

  気管支喘息

  本態性高血圧

  糖尿病



7 摂食障害 山下達久

  拒食症(神経性食欲不振症)

  過食症(神経性過食症)



8 パーソナリティ障害 林 直樹



9 性に関する障害 加澤鉄士

  性同一性障害

  性嗜好障害



10 性機能不全 針間克己

  性的欲求低下障害

  性嫌悪障害

  勃起障害(ED)

  男性オルガズム障害

  早漏

  女性の性機能不全

  性機能不全への治療と対処法



11 身体の病気にともなうこころの障害 保坂 隆

  がん患者の精神症状

  術後精神病

  腎不全・腎透析にともなう精神症状

  頭部外傷後遺症

  全身性エリテマトーデス(SLE)による精神障害



12 てんかん 吉野相英



13 依存症 齋藤利和・和田 清

  アルコール依存症候群

  薬物依存症



14 発達の障害と子どものこころの病気 市川宏伸・広沢郁子・田中康雄

  広汎性発達障害(自閉症、アスベルガー障害など)

  注意欠如・多動性障害(ADHD)

  学習障害(LD)

  発達性協調運動障害

  コミュニケーション障害

  精神遅滞

  子どもの統合失調症

  子どもの気分障害(うつ病、躁うつ病)

  子どもの心身症

  被虐待児症候群

  反抗挑戦性障害・素行障害

  子どものPTSD



15 子どもの習癖異常 金生由紀子

  チック症

  抜毛症

  習癖異常(狭義)

  遺尿症(夜尿症、昼間遺尿症)

  遺糞症

  子ども哺育、摂食障害(偏食、異食症、哺育障害、反芻性障害)

  一過性視覚・聴覚障害

  選択緘黙症

  吃音症



16 認知症 須貝佑一

  アルツハイマー型認知症

  血管性認知症

  認知症をおこすその他の病気

  認知症と類似する状態

  老年期の妄想

  せん妄



(3)脳の仕組みとこころの病気 森信 繁



脳とこころの関係

脳の微少構造

シナプスの構造と機能

後シナプス神経細胞内での情報伝達機構

神経伝達物質作動性神経系

神経伝達物質以外の脳内での重要な情報伝達物質

脳の構造と機能

こころの機能と神経ネットワーク

まとめ