書籍詳細:核不拡散から核廃絶へ

憲法学舎叢書第3号 核不拡散から核廃絶へ 軍縮国際法において信義誠実の義務とは何か

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  • 紙の書籍
定価:税込 4,180円(本体価格 3,800円)
在庫あり
発刊年月
2010.04
ISBN
978-4-535-51775-2
判型
A5判
ページ数
300ページ
Cコード
C3031
ジャンル

内容紹介

2010年ニューヨークで開催される核不拡散条約再検討会議の課題は何か。国際反核法律家協会に結集した論客10名による最新の論集。

目次

はしがき





第1部 核不拡散条約から核兵器全廃条約へ





2010年NPT再検討会議と核兵器全廃条約  浦田賢治



1. はじめに

2. NPT再検討会議の歴史的位置づけ

3. NPT再検討会議の2009年準備委員会

4. 2010年NPT再検討会議をめぐる課題

5. 核兵器全廃条約の締結に向けて

6. 核時代における世界法

7. おわりに





核廃絶のための条件の創出:英国の政府文書を読む  浦田賢治



1. はじめに

2. 英国外務省文書「核兵器廃絶の条件創出」

3. 内閣文書「2010への道程」

4. 考察

5. おわりに





核軍縮と全面軍縮を目指す国際法上の義務  ピーター・ワイス





オバマ大統領と核兵器のない世界:対談  デイビッド・クリーガー、リチャード・フォーク







第2部 核兵器の全面的廃絶に導く誠実な交渉:国際司法裁判所に対する勧告的意見の要請





序文 C.G.ウィーラマントリー



謝辞



第・部 導入と背景



  第1章 なぜ再び国際司法裁判所に問い直すのか?

  第2章 国際司法裁判所における勧告的意見の手続

  第3章 1996年7月8日のICJの勧告的意見

  第4章 ICJの勧告的意見と核不拡散条約



第・部 現在の議論



  第5章 第6条の実施に関する異なる立場

  第6章 核兵器条約



第・部 ICJへの再質問



  第7章 信義誠実の義務

  第8章 ICJに質すべき法律問題





付録1 提案されている国連総会決議

付録2 1996年7月8日の勧告的意見(NPT第6条関連部分の抜粋)

付録3 2000年再検討会議最終文書における13項目の措置







第3部 核軍縮の法的義務



序文 ディーター・ダイスロート



国際法、信義誠実、そして核兵器の廃絶 モハメド・ベジャウィ



  ・ 勧告的意見の内容



  1. 武力紛争の適用法

  2. 裁判所による確定不能の判断

  3. この確定不能からの唯一の出口

  4. 有用な「注記」

  5. 裁判所が対処しなければならなかった難問

  6. 法を宣言して、裁判不能に陥る危険を冒すか?



・ 勧告的意見から学ぶべき教訓



 1. 裁判所は、核兵器の使用を禁止する人道法を含む武力紛争法の関連性を認めた

 2. 裁判所はいわゆる「クリーン」な核兵器を考慮しないことを認めた

 3. しかし、「クリーン」な兵器は裁判所を汚染した

 4. 勧告的意見主文(2)E後段の挿入について考えられるある理由

 5. 世界法廷は全員一致で、核軍縮交渉を誠実に遂行しかつ完結させる義務の存在を認めた



・ 交渉しかつ完結させるという二重の義務



 1. 誠実に交渉する義務の条約上および慣習法上の根拠

 2. 核軍縮を誠実に交渉する義務――定められた行動をとる義務

 3. 核軍縮を誠実に交渉する義務――特定の結果を達成するために定められた行動をとる義務



・ NPT第6条に「信義誠実」が付加されたことの意義



 1. 条約一般における「信義誠実」付加の意義

 2. NPTに特定した場合の「信義誠実」の意義



V 信頼醸成





核兵器と国際人権法の交差:誠実な核軍縮交渉義務への合意 カリマ・ベノウネ



 ・.序説



 ・.人権法と核軍縮



 a. 規約人権委員会と生命に対する権利

 b. 武力紛争における生命に対する権利

 c. 国連人権小委員会の貢献

 d. NGOと核兵器

 e. 核兵器と経済的、社会的および文化的権利

 f. 平和に対する権利



 ・.女性の人権と核兵器



 ・.国際法における人権と信義誠実



 ・.結論





誠実な交渉:NPT第6条の核軍縮義務および国際司法裁判所への再質問 エリザベス・J・シェファ



 ・ NPT第6条の核軍縮義務についての誠実な交渉



 1. 歴史的史料およびさまざまな伝統に見られる信義誠実の概念

 2. 国際仲裁による解釈、および国際司法裁判所(ICJ)に提訴された事件における誠実な交渉

 3. 重要な文書:信義誠実に関する成文法上の根拠

 4. 信義誠実とNPTの交渉史

 5. NPT第6条の誠実な交渉義務



 ・ フィヨルドを越えて:核軍縮義務への契約的アプローチを越える文脈的アプローチとNPT第6条の誠実な遵守



 1. クリストファー・フォードによるNPT第6条に対する批判

 2. フォードの主張に対する信義誠実という文脈からの反論

 3. NPT第6条に基づく誠実な交渉の必要を評価するうえで、契約的アプローチよりも優れた文脈的アプローチ





国際法の効用と機能 ディーター・ダイスロート



・ はじめに



・ コントロール手段としての権力、市場、モラル、法



・ 合法性の効用と「モラル」



・ 結論



 1. 非難することと恥を感じること

 2. 国連総会と国際司法裁判所

 3. 国家が、国際司法裁判所の義務的管轄権に服するための第一歩

 4. 国内裁判所による国際法違反事例の取り扱い

 5. まとめ





第4部 国連・自治体・NGOの提言



ヒロシマ・ナガサキ議定書:2020年までの核兵器廃絶の実現に向けた核不拡散条約(NPT)の補足



国際連合と核兵器のない世界における安全保障:東西研究所における講演 パン・ギムン国際連合事務総長



国際反核法律家協会総会で採択された決議:2009 年 6 月 26 日、ベルリン



国連DPI/NGOメキシコ会議の提言



決議1887(2009):2009年9月24日、安全保障理事会第6191回会合にて採択





解題:核不拡散から核廃絶へ



 軍縮義務の形成と展開:「誠実な核軍縮交渉」と「核兵器全廃条約」 山田寿則



 1. はじめに

 2. 国連憲章と軍縮義務

 3. 全面完全軍縮の議論と核不拡散条約

 4. ICJ勧告的意見と核軍縮誠実交渉・完結義務

 5. 核兵器全廃条約の主張と核軍縮義務の展開

 6. おわりに





参考文献

索引

あとがき

編著者・執筆者・訳者の紹介