書籍詳細:ポスト社会主義の政治経済学

ポスト社会主義の政治経済学 体制転換20年のハンガリー:旧体制の変化と継続

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  • 紙の書籍
定価:税込 4,180円(本体価格 3,800円)
在庫なし
発刊年月
2010.01
ISBN
978-4-535-55636-2
判型
A5判
ページ数
232ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

体制転換途上のハンガリーの政治経済を対象に、社会の転換・変化と、その変化の底流にある前時代からの継続という拮抗関係を分析。

目次

第1章 体制転換の哲学



国民経済計画の不可能性

体制転換(移行):何から何へ

配分と交換

社会の自己崩壊

社会主義は自立した社会構成体か

アポトーシス型社会とネクローシス型社会

社会転換のアポリア

「移行」と「転換」

社会転換のイデオロギー

ポスト社会主義のイデオロギー



第2章 ポスト社会主義の経済システム:国家資本主義と国庫資本主義



「漸次的」改革か、「急進的」改革か

体制転換のアポリア

資本の原始的蓄積

直接投資による再民営化

体制転換のエポック

国庫資本主義:生産と分配の非対称性

経済システムは収斂するか



第3章 借り物経済とゲストワーカー現象



借り物経済

資金調達と直接投資

産業分野による差異

ゲストワーカー現象:多国籍企業との共生現象

体制転換貴族―「甘え」の現象

借り物経済のマクロ分析



第4章 経済危機下の中欧経済:ハンガリー危機を分析する



危機の勃発

危機の構造

危機の原因

危機のコスト

危機の効用

危機の将来



第5章 ポスト社会主義の政治システム:オポチュニズムとポピュリズム



戦時のイデオロギーと平時のオポチュニズム

「左翼」-「右翼」分類の陳腐化

政治倫理の欠如

ポピュリズム

民族主義

遅れてやってきた政治の転換



第6章 歴史評価と統治の正統性



ホルン元首相叙勲騒動

ホルンの経歴と役割

平和的移行と統治の正統性

歴史的偶然と個人の役割

ナジ・イムレ処刑の評価

正統性の形式と実体



第7章 独裁権力下の個人と倫理



政治的転換の二つの型

「タブー」をめぐる抗争

治安警察との関わり

映画:Taking Side(対峙)

治安警察と粛清事件

ノエル・H. フィールド事件からライク粛清へ

狂気と化すスターリン主義

56年動乱への道

「父と子」



第8章 ポスト社会主義の社会分析:役人主権の変化と継続



「コメコン商品」:安かろう悪かろう

医師主権

役人主権

「コメコン事務所」

情報伝達の欠如と顧客軽視

公営企業の仕事振り

規律を欠く国会、けじめのないエリートたち



第9章 ポスト社会主義のイデオロギー:ネオ・リベラリズム



旧体制を引き摺る医療制度

「1ユーロ」をめぐる国民投票

複数保険制度―医療保険民営化構想

「コーヒーと紅茶」:コルナイの政府案批判

映画:Sicko

複数保険イデオロギー



第10章 コルナイ経済学をどう理解するか



経済学は科学か、それともレトリックか

コルナイの理論的軌跡

レトリックとアナロジー

理論と政策

コルナイ経済学の特質:理論か、それともイデオロギーか

結びに代えて



補 遺 ハンガリアン・コネクション:ノイマンとグローヴ



映画:A Beautiful Mind

映画短評

原作:"An Ugly Mind"

ノーベル経済学賞への疑念

異星人

アンディ・グローヴ

書評掲載案内

■2010年03月21日付 『日本経済新聞』

■2010年03月29日付 『北日本新聞』