書籍詳細:うつ病の真実

うつ病の真実

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  • 紙の書籍
定価:税込 1,870円(本体価格 1,700円)
在庫あり
発刊年月
2008.04
ISBN
978-4-535-56265-3
判型
四六判
ページ数
300ページ
Cコード
C3047
ジャンル

内容紹介

巷に溢れるうつ病の本。安直な理解から誤解を振りまくものが多いなか、治療の第一人者がうつ病の正確な理解を求め、思索・探求。

目次

第1章 あれもこれもうつ病?

 ―蔓延する安直な理解

うつ病の現況

うつ病三つの「典型例」

あれもうつ病、これもうつ病、で良いのか?

うつ病の概念を再考する必要性

本書のねらい

第2章 進化生物学からみたうつ病の意味(その1)

 ―ユウウツになるのは「新たな生き方」を導くため

感情は動物に存在するか

動物行動の進化

不安感情はどう進化したか

現代社会にとって不安は不適応か

不安症状は百万年前の社会に適合している

ユウウツの進化に関する学説

動物のユウウツの実例

ユウウツ感情の進化

第3章 進化生物学からみたうつ病の意味(その2)

 ―「内の秩序」と「外の秩序」の相克

進化生物学による病気の解釈

悲しみの効用が裏目に働く

攻撃を避けるユウウツ行動の過剰

周囲からの援助を引き出す行動としてのうつ病

複数遺伝子の組み合わせがうつ病を呼ぶ

進化生物学の仮説からみるうつ病治療論

進化生物学への疑問に答えて

第4章 ギリシャ悲劇にみるうつ病(その1)

 ―アイアス将軍の「気の病い」

うつ病はどのくらい古くからあるのか

ギリシャ神話に登場するユウウツ

ギリシャ悲劇「アイアス」

現代の双極性障害事例

アイアス将軍の精神医学的診断をめぐって

第5章 ギリシャ悲劇にみるうつ病(その2)

 ―現代社会との共通項

うつ病は人類の持病か

ギリシャ悲劇ヒッポリュトスにみるユウウツ

悲劇の心理学的意味とユウウツ

ギリシャ悲劇の時代的背景

うつ病の原因をギリシャ悲劇ではどう考えたか

まとめとして

第6章 古代ギリシャ哲学・医学のうつ病観

 ―うつ病を真正面から論じた最初の学者アリストテレス

黒い胆汁とうつ病

ヒポクラテスの精神病観

アリストテレスのうつ病についての記載

アリストテレスのメランコリー論と現代脳科学

病前性格、自殺についての論述

第7章 旧約聖書にみるうつ病

 ―うつ病治療・予防の手引きとして読めるヨブ記

歴史書としての旧約聖書

イスラエル国王サウルのうつ病

ヨブ記にみるうつ病

ヨブ記に対する医学的な考察

ヨブに対する精神療法

第8章 意識の誕生とうつ病の発生

 ―ジェインズの理論とユウウツ・うつ病

ユウウツかうつ病か

ジュリアン・ジェインズによる意識の理論

意識の意味と人間のこころの成立

二分心という概念

うつ病は「神の喪失」と関係あるか

イリアスとオデュッセイアにみるウツ

第9章 ローマ時代からルネサンス期に至るうつ病

 ―身体的病理を連想させたメランコリー

ローマ時代の医学にみるうつ病

中世ヨーロッパ医学にみるうつ病

魔女狩りとメランコリー

メランコリーはなぜ医学の範囲で考えられ続けたか

第10章 メランコリーから躁うつ病へ

 ―クレペリンの登場

インドにカレーライスはあるか?

メランコリーの終焉

躁・ウツ交代説の芽生え

マニー・メランコリー合体事業

クレペリン登場

躁うつ病という呼称を再び吟味する

第11章 現代的うつ病概念の完成

 ―「双極か単極か」「内因か心因か」

躁うつ病概念に議論百出

双極、単極論争

内因タイプと心因タイプの区別

クレペリンの躁うつ病は再整理された

ディメンション診断とカテゴリー診断

第12章 操作的診断の登場とうつ病観の変質

 ―アメリカ流グローバル・スタンダード

クレペリン流診断のもたらしたうつ病研究の発展

浮き彫りにされた問題点

アメリカで誕生した新発想

米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル

「愛犬家」とは?――操作的診断と伝統診断で比較すると

DSM-IVによるうつ病診断

再度登場したメランコリーの奇妙

第13章 操作的診断の問題点

 ―多軸診断でうつ病を定義しうるのか

操作的診断のもたらしたもの

多軸診断は素晴らしいシステムなのか

多軸診断は有用だが、問題も多い

登場したスペクトラム障害の考え方

第14章 病前性格論と双極スペクトラム概念

 ―躁うつ病とうつ病との関係の再考

操作的診断法と性格論

うつ病の病前性格論

双極スペクトラム概念の登場

アキスカルの「ソフト双極性障害」の考え方

第15章 うつ病治療の発展(その1)

 ―体質論と精神療法の歴史

悪い体液を追い出せ!

古代医wの精神療法論

恐怖させてうつ病は治る?

モラル療法と現代的精神療法の芽生え

精神分析療法の登場

第16章 うつ病治療の発展(その2)

 ―薬物療法の歴史

古代のうつ病治療薬とは

向精神薬時代の幕開け

抗うつ薬発見秘話

モノアミンの袋小路

第17章 うつ病の化学

 ―モノアミンを超えて

セロトニン仮説の隘路

モノアミンの意味を再度考える

ホルモン療法の可能性

痛み物質と睡眠リズム物質からのアプローチ

いろいろなタイプのうつ病にいろいろな薬

第18章 細胞のストレス反応とうつ病の正体

 ―セロトニンの奥深くにあるもの

うつ病研究の方向性

アロスタシスという考え方

「アロスタティック負荷」とうつ病

脳細胞の新生とストレス

脳細胞を成長させる栄養因子とうつ病

科学の方法論とうつ病論との関係

第19章 うつ病の真実は見えてきたか

 ―過剰活動とうつ病

過剰活動とうつ病

うつ病の概念史をまとめると

うつ病は本当に病気なのだろうか?

うつ病の本態は?

うつ病のサブタイプの位置づけ

すべてのうつ病に過剰活動が存在する

書評掲載案内

■2008年11月12日付『 読売新聞』(12面)

■2009年8月18日号 『エコノミスト』(P.87)