書籍詳細:論憲の時代

論憲の時代

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  • 毎日新聞論説室
  • 紙の書籍
定価:税込 1,650円(本体価格 1,500円)
在庫なし
発刊年月
2003.07
旧ISBN
4-535-51396-1
ISBN
978-4-535-51396-9
判型
四六判
ページ数
280ページ
Cコード
C3032
ジャンル

内容紹介

憲法は「不磨の大典」ではない。時代に合わせて不断の見直しを進めることは、成文憲法を持つ国民の責務である。グローバル化、人権、環境、分権など、現代社会の要請から日本国憲法にアプローチするユニークな憲法論。

目次

はじめに

第一章 今、憲法とどう向き合うか

 1[憲法調査会]変化踏まえた幅広い論議を
――九条問題にわい小化するな
 2[制定過程]国の将来像づくりを競え
――「押し付け」論は説得力失う
 3[憲法前文]時代が生んだ理想主義
――現実との整合性どうするか
 4[国家]アイデンティティーを求めて
――伝統文化を書けばすむのか
 5[憲法と基本法]理念を補強し、かつ変質させる側面
――制定に求められる慎重さ
 6[改憲規定]「開かずの扉」のカギは民意
――国民投票法の制定へ動く

第二章 私たちの権利と自由

 7[国民の権利]普遍的人権が世界の流れ
――低くなる国家主権の壁
 8[外国人の権利]一律の公平が通用するか
――義務に応じ区別も必要
 9[生存権]国にどこまで関与させるか
――自由権と衝突するジレンマ
 10[財産権の拡大]現代に応える論理作り必要
――土地は公共財の概念明確に
 11[信教の自由]政教分離の厳格解釈が流れ
――課題は逸脱宗教団体への対応
 12[表現の自由]「優越する重み」問い直して
――情報の多様化で軽視する風潮
 13[プライバシー]情報化社会に合った保護を
――抜け落ちている「官」の責任
 14[知る権利]「日々の参政権」の意義深まる
――情報の共有が培う主権者意識
 15[労働権]自己決定の尊重こそ
――生存権偏重から自由権へ

第三章 公と私をどうとらえるのか

 16[公共の福祉]「人権の制約」超える思考を
――私たちがつくる価値として
 17[国民の義務]「国防」が国家観を変えるか
――権利のみの主張に弊害も

第四章 新しい社会の課題

 18[教育]新しい学校像への対応を
――法律変えても荒廃克服は困難
 19[婚姻と家族]人と人の関係を映して
――子どもの権利規定がない
 20[環境条項]地球を守るよりどころに
――時代は移り国民に義務が
 21[生命操作]「人間の尊厳」が問われている
――基本的人権の上にくるのか

第五章 私たちの代表と政治の仕組み

 22[象徴天皇]時代が共感する姿どう示す
――国民は戦後一貫して支持
 23[元首]天皇にも国家代表の機能
――「象徴」定着であいまい合意
 24[三権分立]現実は「政策決定権力」
――さらに重くなる司法の役割
 25[行政権]法治主義の原点に戻れ
――事後監視で裁量余地減らす
 26[議院内閣制]派閥政治がゆがみ生んだ
――慣習改めれば活性化できる
 27[公務員]「全体の奉仕者」の再確認を
――官に頼らぬ意識も必要
 28[二院制]参院の「抑制・補完」が喪失
――異なる役割、選出方法が必要
 29[首相公選制]強い政治求める国民の夢
――具体論になると各人各説
 30[選挙制度]投票価値に不平等生む「一人別枠制」
――被選挙者が制度を決める矛盾
 31[政党]強まる民意媒介の役割
――「全国民の代表」が空洞化
 32[地方自治]抽象的な条文が分権阻む
――「上からの改革」では画餅に
 33[住民投票]間接民主主義を補完する役割
――地方総与党化をチェック

第六章 税金の使われ方

 34[財政]規律回復に法的歯止めも
――軽視される決算と会計検査
 35[負担と給付]変質した国会監視の意味
――社会保障の会計に規定なし
 36[決算]国会の監視機能は尻抜け
――今も続く明治憲法の先例

第七章 裁判の役割

 37[司法制度]法曹人の意識改革が必要
――高すぎる裁判所の敷居
 38[違憲審査]保ちたい政治との緊張関係
――司法消極主義を超えて

第八章 国の安全をどう守る

 39[自衛隊]埋め続けた九条とのミゾ
――国際情勢追随に揺れる
 40[集団的自衛権]政府解釈に絶えぬ矛盾
――理想と現実の悩ましい溝
 41[平和戦略]国際的協調を忘れずに
――理想実現にフットワークを
 42[有事法制]想定しなかった「空白」埋める
――人権制約めぐり評価二分
 43[憲法と条約]両立は永遠のジレンマ
――内なる理念と国際的役割

第九章 今後の負担と給付をどう考える

 44[国の借金]天国はいつまで続くのか
――後世代への付け回しは限界
 45[社会保障]一律主義の社会保痰ヘ無理
――誰も負わぬ全体像の責任
 46[税収と歳出]財政破たんで問題は一変
――大胆な改革と説得力が必要 
 47[農村重視]惰性で続く都市軽視政治
――行政を住民の身近に移せ
 48[国民生活]豊かさの再定義がカギだ
――GDPの先にみえるもの

第十章 中間報告に対する評価

 49[論 憲]古い対立の枠超えた集約を
――国民的議論の深化がカギ
 50[自衛隊]まず国の安全保障像議論を
――拡大解釈どこまで続ける
 51[国際協力]「自制」と「束縛」の調和めざせ
――平和と安全の新たな戦略を
 52[基本的人権]理念と現実の見極めが先決
――「公共の福祉」論争も深めて
 53[政治機構]問題は制度ではなく運用
――「分権自治」の青写真どう描く

あとがき
日本国憲法全文
憲法条文別索引