書籍詳細:反常識の日本経済再生論

反常識の日本経済再生論

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  • 紙の書籍
定価:税込 2,052円(本体価格 1,900円)
在庫なし
発刊年月
2003.07
旧ISBN
4-535-55359-9
ISBN
978-4-535-55359-0
判型
四六判
ページ数
288ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

日本経済再生をめぐる論議は活発だが、実効ある政策は皆無である。その原因は、エコノミスト・政策立案者たちの幻想と誤解にもとづいている。彼らの誤りを指摘しつつ、正統的な再生戦略を明確に提示する。

目次

はじめに

第1部 マクロ経済政策に関する四つの幻想

第1章 インフレ率ターゲットを掲げればデフレ脱却可能(幻想1)
 1 急浮上したインフレ率ターゲティング論
デフレ脱却の魔法の杖?/デフレ下のインフレ率目標は奇異
 2 デフレは悪か
デフレの原因/デフレによる各セクター間の歪み・不公平/マクロ経済がこうむるデメリット
 3 インフレ率ターゲティングの弊害
インフレが止められなくなる/金利の上昇が先行するか
 4 期待インフレを醸成できるか
日本銀行のアクションの裏づけが重要/マネーを増やすことはそう簡単ではない

第2章 日本銀行はマネーをばら撒くことができる(幻想2)
 1 超金融緩和のもとでのマネーフロー
ベースマネー供給とマネーサプライの分断/銀行から民間にマネーが出ていかない
 2 資金需要不足か資金供給不足か
貸出はなぜ伸びないのか/過剰債務、銀行貸出態度と貸出の関係/なぜ銀行は国債ばかり持つのか/自己資本比率規制・利鞘と貸出態度の関係/不良債権と貸出態度の関係
 3 マネーを増やす手立てはないのか
日銀のマネー供給・三つのルート/拡張財政下で日銀が国債保有を増やせばマネーは増えるが/日本銀行は非伝統的な手法でリスク資産を持つべきか/中小企業貸出増強を求める声も強いが

第3章 拡張財政・景気対策なくして財政再建なし(幻想3)
 1 財政拡張論の類型
財政拡張論は景気対策の主役/拡張財政策の中身の変化/
 2 鍵は財政乗数と税収弾性値
財政拡張策をとれば財政収支は改善する?/財政政策の拡大均衡成立の条件/財政乗数は1.3に低下/財政収支の悪化は必至/アメリカの財政再建はレーガン減税の功績?
 3 財政赤字はなぜ悪いのか
後の世代に公共財を残せるか/政府支出の質を確保するのは難しい/財政はすでに危機水域か

第4章 円安誘導により日本経済は再生する(幻想4)
 1 円安論者と円高論者
円安論に軍配?/さまざまな円安待望論
 2 為替レートを政策で誘導できるか
ジョージ・ソロス対BOE/介入が効くのは市場の支持率が高いとき/金融緩和でもだめか?/非不胎化介入は無意味な議論
 3 近隣諸国は許してくれるか?
なぜ、アジア諸国は円安を嫌がるのか/ブッシュ政権はドル安志向を強める/
 4 為替レートはどうなるのか
わかりやすいがむなしい需給論/円レートの均衡水準は?/適正円レートは120円台から円高方向に

第2部 金融・産業再生に関する四つの誤解

第5章 不良債権処理促進のために銀行に資本注入すべき(誤解1)
 1 不良債権は経済停滞の原因か
景気悪化が不良債権を増加させるのは明らか/不良債権が景気に影響を与える四つの経路/適切な引当金を積んでいるかどうかが鍵/「不良債権」ではなく「過剰債務」こそが問題
 2 一番の問題は追い貸し
「追い貸し」すれば不良債権とはならない/追い貸しはやめられない/「追い貸し」はチキンレース
 3 銀行国有化、資本注入で何が変わるのか
不良債権処理のための資本注入はナンセンス/債務性の公的資金は返済できない/金融システム保護のための国有化は正当化される/「大きすぎて潰せない」は正しい/だめな銀行はさっさと退出すべき

第6章 銀行の貸し渋りを防止すべき(誤解2)
 1 貸し渋り防止の二つの狙い
マネーフロー拡大策としての期待/中小企業救済は政界の常識
 2 貸し渋り防止は可能か
貸し渋り防止策、是正策の総動員/なぜ中小企業向け貸出が伸びないのか/新BIS規制下で中小企業貸出はますます不利に/貸し渋り是正策は金融再生と矛盾/貸し渋り是正策は産業再生をも阻害
 3 円滑な中小企業金融のために
中小企業貸出の再構築が必要/貸出採算適正化とディスクロージャーが鍵/オーバーバンキングの是正/銀行以外の資金調達パイプの強化も重要

第7章 債務削減が産業再生の特効薬(誤解3)
 1 過剰債務、過剰設備、過剰人員
人、モノ、カネの過剰は三位一体/需要の見込み違いとバブル/何をもって過剰債務と見るか/産業の過剰債務の現状
 2 過剰債務削減より供給過剰の調整が重要
過剰債務削減は産業再生の十分条件ではない/債権放棄は慰めにすぎない/設備の廃棄も根本解決にはならない/供給過剰の実態/なぜ供給過剰調整メカニズムが働かないのか
 3 沂距ヘ調整の方法
供給過剰調整のプラス効果/供給を総需要にマッチさせることが重要/産業再生機構への期待

第8章 産業調整は市場で行うべき(誤解4)
 1 産業調整とは創造的破壊
経済発展には創造的破壊が不可欠/破壊と創造のどちらを先行すべきか
 2 小泉政権の産業調整思想
骨太方針でも創造的破壊を強調/小泉改革は破壊先行/市場機能の使い方にズレ
 3 市場は産業調整が苦手
ロシアの軍民転換失敗の教訓/諸外国の産業調整の成功例/市場重視型改革成功の要件/日本は市場型成功の要件を満たしていない/見習うべきはフィンランド型/英米にも産業政策はある

第3部 日本経済再生の為の三つの提言

第9章 損失を明らかにし堂々と国民に負担を求めよ(提言1)
 1 国民負担回避が改革を束縛
小泉改革を混乱させる国民負担回避の方針/公的資金投入アレルギーの発端は住専処理/一転して銀行への公的資金注入支持が主流に
 2 道路公団・特殊法人民営化にも国民負担が必要
道路公団のすべては民営化できない/道路公団の過去債務をまず清算せよ/年金、医療、介護などの将来負担を明らかにせよ
 3 金融・産業の再生に国民負担を
不良債権を政府が買い取るしかない/RCCの限界と企業再生機関への期待/産業再生機構が機能するための課題/産業再生には国民負担が必要と明言せよ

第10章 政府のカネ・知恵を使って事業転換促進を(提言2)
 1 産業調整による需要掘起こしが必要
「供給過剰の調整」「産業調整」の真意/古今東西を問わず産業調整は必要
 2 小泉政権の産業調整策の限界
ベンチャー育成よりも既存企業の転換/規制緩和の限界/産業再編への過剰期待
 3 事業転換促進のために
事業転換をだれが促すか/政府の助成を通じたガバナンス/政府には知恵も情報もある
 4 産業転換の方向性
特定の有望産業はない/高付加価値化の重要性

第11章 消費税を増税してセーフティーネット強化を(提言3)
 1 セーフティーネットの重要性
産業調整による失業増は避けられない/最低生活保障による消費浮揚効果/失業保険受給期間の長期化が必要
 2 日本の社会保障水準は高くない
日本の社会保障は薄い/なぜ認識ギャップがあるのか
 3 財源をどこに求めるか
財源を定めないと安心感が生まれない/財源は消費税しか見当たらない/消費税に対する国民のアレルギー/負担全体の視点から議論を始めるべき/高齢者負担を聖域とするな
 3 小さな政府か大きな政府か(筆者の立場)

第12章 日本経済復興の鍵を握るサービス産業、中小企業、地域経済
 1 日本経済には底力がある
世界ランキングは急低下したが/技術水準は依然世界最高レベル/肥沃な大消費市場
 2 サービス産業育成が鍵
雇用創出の受け皿としての期待/「時間仲介サービス業」に期待/サービス産業は地方経済の切り札/面による観光開発、街並み作りが不可欠
 3 中小企業ならではの強みを活かす
高付加価値化、サービス化、変革の時代は中小企業有利/情報化による中小の弱み克服/あわせ技の薦め
 4 日本経済は何を目指すのか
人口拡大策は不要/少子化対策、外国人誘致は不謹慎/正しい改革の成果は数年後に表れる

参考文献