書籍詳細:人権保障の新局面

明治大学社会科学研究所叢書 人権保障の新局面 ヨーロッパ人権条約とイギリス憲法の共生

の画像の画像
  • 紙の書籍
定価:税込 6,600円(本体価格 6,000円)
在庫なし
発刊年月
2002.05
旧ISBN
4-535-51318-X
ISBN
978-4-535-51318-1
判型
A5判
ページ数
340ページ
Cコード
C3032
ジャンル

内容紹介

日本の国際人権保障の状況は、世界的潮流と比べ、非常に消極的である。それはなぜか、どうすれば国際人権保障の実効性を高めることができるか。ヨーロッパ人権条約とイギリス憲法を素材に、国際人権法と憲法の共生関係実現へ向け検討。

目次

第1章 序論
 1 問題の所在
 ――国際人権法の現況と日本における問題状況
 2 本書の目的
 3 本書の方法と射程範囲
 4 本書の構成
第2章 ヨーロッパ人権条約とイギリス憲法の関係
――1998年人権法実施以前
 1 はじめに
 2 ヨーロッパにおける人権保障システムの発展
  1 ヨーロッパ人権条約による人権保障の現在
  2 ヨーロッパ人権条約の機構改革
 3 ヨーロッパ人権条約がイギリスに及ぼす影響
 ――イギリスにおける問題状況
  1 ヨーロッパ人権条約の広範な影響力
  2 ヨーロッパ人権条約の国内法上の地位
  3 ヨーロッパ人権条約の国内法上の地位に関する諸見解
   1イギリスの伝統的裁判官像とそれに対する挑戦
   2ヨーロッパ人権条約の国内法上の地位に関する諸見解の検討
  4 ヨーロッパ人権条約の発展がイギリス憲法学に及ぼす影響
第3章 国内裁判所による国際人権条約の解釈・適用
――イギリス裁判所におけるヨーロッパ人権条約
 1 はじめに
 2 新たな局面出現の背景
 ――人権保障における司法積極主義?
 3 ヨーロッパ人権条約に対するイギリス裁判所の対応の変遷
  1 概観
  2 初期の判決
   1背景
   2行政法分野におけるヨーロッパ人権条約適合性
   3行政法分野におけるヨーロッパ人権条約の適合性
  3 行政裁量と司法裁量
   1司法裁量におけるヨーロッパ人権条約の開花
   2行政裁量における議会主権の壁
  4 人権保障における新たな局面
  ――1990年代
   1新たな局面の背景
   2最近の判決から観察できる新たな局面
 4 イギリス裁判所のヨーロッパ人権条約解釈・適用に関する検討
  1 ヨーロッパ人権条約を参照する判例の動向
  2 ヨーロッパ人権条約の影響力
  3 判決に見られる問題点
   1コモン・ローとヨーロッパ人権条約の同一性
   2国内裁判所における「評価の余地」理論の援用
   3司法裁量と行政裁量の区別
   4ヨーロッパ人権裁判所判例の利用方法に関する問題点
   5ヨーロッパ人権条約の国内法化がイギリス裁判所に及ぼす影響
 5 小結
第4章 ヨーロッパ人権条約の国内法化
――イギリス議会による1998年人権法制定
 1 はじめに
 2 ヨーロッパ人権条約国内法化と権利章典制定議論
 ――1990年代の展開を中心として
  1 権利章典制定論議の発祥と展開
  ――ヨーロッパ人権条約と権利章典制定論議の相関関係
  2 1990年代の新たな展開
  3 1998年人権法の制定
  ――労働法の転換
 3 1998年人権法の構造
  1 保障される実体的権利
  2 実施措置
   1法律解釈原理及び公的機関の「条約上の権利」適合義務
   2不適合宣言と救済命令
   3法案適合表明
 4 1998年人権法の検討
  1 人権法が保障する実体的権利
   1ヨーロッパ人権条約において保障されていない権利
   2人権法が明示的に除外したヨーロッパ人権条約上の規定
   3人権法においてとくべつな取扱がなされた権利
  2 「被害者」の範囲
  3 人権法の効力の範囲
  ――「公的機関」の範囲
  4 不適合宣言と救済命令の実効性
  5 条約適合性を確保するその他の手段
  6 人権侵害の訴えの将来性
  7 人権法の実施措置に関する問題
 5 イギリス憲法原理に及ぼす影響
  1 議会主権に対する影響
  ――議会と裁判所の関係
  2 コモン・ローとヨーロッパ人権条約
  ――国内裁判所によるヨーロッパ人権条約の解釈
 6 小結
第5章 結論
 1 国際人権保障の実効性における個人申立制度の役割
 2 イギリスと日本の比較
 ――イギリスとヨーロッパ人権条約の関係の分析から
  1 イギリスと日本の共通点
  2 イギリスと日本の異なる点
 3 日本における国際人権保障の課題と展望
 ――国際人権法と憲法の共生関係の実現へ
  1 「内容」・「実施措置」の両面における消極性
  2 日本ノおける個人通報制度の意義
   1自由権規約第一選択議定書未批准から生じる問題点
   2自由権規約第一選択議定書批准から生じる発展可能性