書籍詳細:原発危機の経済学

原発危機の経済学 社会科学者として考えたこと

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  • 紙の書籍
定価:税込 2,090円(本体価格 1,900円)
在庫僅少
発刊年月
2011.10
ISBN
978-4-535-55687-4
判型
四六判
ページ数
304ページ
Cコード
C3033
ジャンル

内容紹介

将来に向けた原発事業のリスクとコストに真正面から向き合い、解体撤去や放射性廃棄物の処理に必要な資金をどう賄うか、検討する。[第33回石橋湛山賞受賞]

目次

はしがき

第1章  水、水、また、水

 1.1  運転するのにも水、停止するのにも水、そして、炉心溶融を食い止めるのにも水

 1.2  運転するのにも水

 1.3  停止するのにも水

 1.4  炉心溶融を食い止めるのにも水

 補遺1:技術の手触り感

 補遺2:水、水、また、水(詩篇)



第2章  炉心溶融を防ぐことができたか

 2.1  なぜそのように考えるのか

 2.2  福島第1原発で何が起きたのか

 2.3  炉心溶融を食い止めるにはどうすればよかったのか

 補遺:スリーマイル島原発の炉心溶融した原子炉の姿



第3章  原発の“古さ”とは

 3.1  東京駅構内で0系新幹線がそろい踏みだったら

 3.2  原発の“老い”へのまなざし

 3.3  人間は間違い、失敗する

 3.4  安全思想の変遷を取り込むには

 3.5  “受け身”の設計思想を取り込むには

 3.6  やはり、せいぜい40年が限度ではないだろうか

 補遺1:加圧水型原子炉について

 補遺2:福島第一原発の“古さ”へのこだわり



第4章  「大津波⇒電源喪失⇒炉心溶融」だけなのか――隠れた地震被害

 4.1  “大津波”の呪縛から逃れるために

 4.2  先見性とは何なのだろう

 4.3  電源喪失だけが重大事なのか

 4.4  大津波到来のシナリオはすでにあった

 4.5  臨界事故でなくてよかった……

 4.6  最後に残ったリスクをどうするか

 補遺:想定外の状況に対するソフトな対応について



第5章  どのように“古い原発"から撤退するのか

 5.1  明るい廃炉の風景

 5.2  廃炉の順序について

 5.3  原発施設の稼働率に対する考え方

 補遺:ロボットの必要と不要



第6章  “放射性廃棄物の処理”とは一体全体何なのか

 6.1  使用済み核燃料を考える基本的な視点

 6.2  使用済み核燃料の温度感覚

 6.3  使用済み核燃料の化学(ばけがく)

 6.4  プルトニウムの使い道

 6.5  結局、どうするのか

 補遺:“新しい”原子炉技術



第7章  原発と投資家の責任――東電の創造的な事業再生のために

 7.1 第7章と第8章で考えたいこと

 7.2 資本市場の本音はすでに債務超過

 7.3 政府の損害賠償負担スキームについて

 7.4 東電の創造的な事業再生スキームについて

 補遺:国際的な関心を映し出す鏡としての資本市場



第8章  収益プロジェクトとしての軽水炉発電事業

 8.1 再処理・高速増殖炉事業と軽水炉発電事業の危うい関係

 8.2 再処理コストのそろばん勘定

 8.3 再処理・高速増殖炉事業の現実:技術的な視点

 8.4 全量地上貯蔵が意味するところ



第9章  市民社会が原発を受け入れるとは

 9.1  原発施設の外側のさまざまな風景

 9.2  放射線被曝をめぐる行動経済学

 9.3  市民社会が原発を受け入れるとは?

 補遺1:子供たちに対する低放射線量被曝リスクについて

 補遺2:排出された放射性物質の総量は

 補遺3:原発危機における個人の振る舞いについて



おわりに――ナショナル・プロジェクトとしてのフクシマ

索引

書評掲載案内

■2011年11月13日付『朝日新聞』ニュースの本棚
■2011年12月25日付『日本経済新聞』
■『東洋経済』2012年1/7号
■2012年1月8日付 『日本経済新聞』
■2012年3月11日付 『日本経済新聞』
■2012年3月13日付 『読売新聞』文化面
■2012年5年30日付 『愛媛新聞』