『福島原発事故の科学』刊行後に発表された著者の主な論文は、以下の通りです。  (1)「桜井淳氏が福島第一原発事故の疑問を解く」Tech-On ! (http://techon.nikkeibp.co.jp/)、2012年7月27, 30, 31日。  (2)「【事故は語る】福島原発事故調査報告書に誤り――プラントデータに隠された真実」 『日経ものづくり』2012年9月号。オリジナル原稿は、2012年中に刊行予定の、日経もの づくり編集部編『事故の事典U』に収録。  (1)では、福島第一原発から環境に放出された最も大きな放射能放出ルートは、1号機と 3号機のベント操作による結果でもなければ、2号機のサプレッションチェンバーの損傷 による結果でもなく、高温・高圧になった原子炉圧力容器の上蓋部などのシリコンゴム パッキンの機能低下による噴出であることを論証しています。  (2)では、四つの事故調査委員会(民間、東電、国会、政府)の「事故調査報告書」の検 討範囲と論証法の問題点を分析し、原発災害で欠かせない事故調査の範囲と論証法を提案 しています。四つの「事故調査報告書」は、学術報告書になっておらず、間違いや不確実 な情報を含むエッセーレベルであること、さらに四つの「事故調査報告書」は、自民党政 権の原発推進政策や、事故を防止できなかった安全審査・安全規制の半世紀にわたる歴史 的な構造欠陥に一切触れていませんが、事故再発防止のためには、それらの構造欠陥を詳 細に解明することが不可欠であることを論証しています。