書籍詳細:精神医学の実在と虚構

精神医学の実在と虚構

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定価:税込 2,640円(本体価格 2,400円)
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在庫僅少
発刊年月
2014.03(中旬刊)
ISBN
978-4-535-98405-9
判型
四六判
ページ数
232ページ
Cコード
C3047
ジャンル

内容紹介

精神医学に根強く残る「本質主義」──表面的な事象の背後に「もっと本質的なもの」が存在する──への根本的批判。

目次

まえがき





第1章 固有名詞へのこだわり――カプグラ症候群をめぐって



「精神科医らしい」こだわり

人物についての意味記憶

一般名詞と固有名詞の違い

固有名詞には中身がない

固有名詞へのこだわりが暴走する

精神病理学にドライさを持ち込む

妄想をいかに定義するか?

カプグラ症候群は「A=A」の否定ではない

「本質」、そんなものがあるのだろうか

「本質」についての一般論へ

そこにはおそらく何もない





第2章 DSM論争への密かな参入――疾患名をめぐって



固有名についてのもう一つの論文

「疾患名」という固有名

固定指示子の観点からDSM論争を整理する

疾患名に関する本質主義の起源

疾患名の用い方を列挙する

「真の」操作的診断基準?





第3章 本質主義の弊害――「心の理論」とスティグマ



「学際的」の効用?

スティグマの問題に切り込む

「心の理論」は人間の本質的能力か

カラス科における「心の理論」

読者の反応は?

統合失調症の本質論





第4章 大通りで多元主義を提唱する



猥雑な時代を見通すパラダイム

乗り越えるべき三つのイズム

「多元主義」とは





第5章 精神医学は科学なのか?



大通りで加速する

生物学的還元主義の限界

個別性・一回性に異を唱える

概念の明晰化という精神医学の役割





第6章 「価値」の海へ



「幸福」とサイコパス

医療行為と「価値」

人の行動を決める二つの層

倫理的ジレンマの繰り返しの中で

空白の台座に何を置くか?





あとがき

文 献

初出一覧 

書評掲載案内

■2014年『精神神経学雑誌』第116巻8号(公益社団法人 日本精神神経学会)

評者:兼子幸一

https://journal.jspn.or.jp/PastContent?year=2014&vol=116&number=8&mag=0