訃報
岡部靖憲(おかべ・やすのり)氏(明治大学特任教授,東京大学名誉教授)が去る2011年11月19日,逝去された.享年68歳.専門は確率論.
オーロラや地震など地球上の物理現象や日本の経済活動などについて,数学的手法で解説した.
著書に『時系列解析における揺動散逸原理と実験数学』(日本評論社),『実験数学』(朝倉書店),『確率・統計』(朝倉書店)などがある.
本誌では「確率論の公理化」(1993年1月号),「複雑系と実験数学」(1997年5月号),連載「往復書簡――純粋数学 vs. 応用数学」(1994年4月号~1995年3月号)などをご執筆いただいた.
伊藤清三(いとう・せいぞう)氏(東京大学名誉教授)が,去る2011年11月26日,肺炎のため逝去された.享年84歳.専門は関数解析学.
著書に,『ルベーグ積分入門』(裳華房),『拡散方程式』(紀伊國屋書店),『函数解析と微分方程式』(共著,岩波書店)などがある.
本誌では,「数学joke集」(1968年9月号),「測度とは何か」(1972年1月号),「無限次元とはどのようなものか」(1983年10月号)などをご執筆いただいた.
井関清志(いぜき・きよし)氏(神戸大,鳴門教育大名誉教授)が2011年3月14日,腎不全のため逝去された.享年91歳.専門は代数学.
著書に『現代数学――成立と課題』(共著,日本評論社),『記号論理学』(槙書店),『集合と論理』(新曜社)などがある.
本誌では連載「数学の本のよみ方」(1971年4月~7月号)をはじめ,「現代数学史のひとこま――18~19世紀の数学からの話題」(1981年6月号)など数多くご執筆いただいた.
小野山卓爾(おのやま・たくじ)氏(元・慶應義塾大)が2011年7月11日,老衰のため逝去された.享年87歳.専門は確率論.
著書に『情報理論の基礎』(白日社)がある.
本誌では「確率および統計」(1969年5月号,特集「大学生の数学」)などをご執筆いただいた.
和達三樹(わだち・みき)氏(東京大名誉教授,東京理科大)が2011年9月15日,大腸癌のため逝去された.享年66歳.専門は数理物理学,物性基礎論,統計力学.
ソリトン理論の発展と結び目理論への応用により1991年度の仁科記念賞を受賞,2004年には紫綬褒章を受章した.
著書に『微分積分』,『物理のための数学』,『非線形波動』(いずれも岩波書店)などがある.
本誌では,「物理学と数学の接点から」(1986年7月号)ほか,書評などでご登場いただいた.
岩堀長慶(いわほり・ながよし)氏(東京大名誉教授)が2011年5月29日,老衰のため逝去された.享年84歳.専門は表現論.
著書に『2次元行列の世界』,『対称群と一般線型群の表現論』(岩波書店),『ベクトル解析』(裳華房)など,訳書に『有限群の線型表現』(岩波書店)などがある.
本誌では「バランス・グラフ」(1967年12月号),「立体基盤のます目上の正多角形」(1974年7月号)などをご執筆いただいた.
ダニエル・グレイ・キレン(Daniel Gray Quillen)氏が2011年4月30日,逝去された.享年70歳.
高次代数的K理論に関する功績により,1975年にコール賞,1978年にフィールズ賞を受賞した.
卜部東介(うらべ・とうすけ)氏(茨城大)が2011年5月2日,山岳事故のため逝去された.享年57歳.専門は代数幾何学.
著書に『1次元代数的特異点とディンキン図形』(遊星社)などがある.
本誌では,連載「不思議の複素数」などをご執筆いただいた.
戸田盛和(とだ・もりかず)氏(東京教育大(現筑波大)名誉教授)が2010年11月6日,多臓器不全のため逝去された.享年93歳.専門は非線形物理学.
非線形格子(戸田格子)の発見者としてソリトン理論の分野ではパイオニア的存在であり,1981年に藤原賞,2000年には日本学士院賞を受賞した.
著書に『楕円関数入門』『非線形波動とソリトン』『おもちゃの科学<全6巻>』(いずれも日本評論社),『非線形格子力学』(岩波書店)など多数.
本誌では1970年代より「おもちゃセミナー」「運動と図形」など,永きにわたり連載などをご執筆いただいた.
ブノワ・マンデルブロ氏(Benoi^t Mandelbrot,エール大学名誉教授)が2010年10月14日,膵癌のため逝去された.享年85歳.専門はフラクタル幾何学.
フラクタルの概念を提唱し,物理学,生物学,ファイナンスなどの諸分野への応用にも大きな業績を残した.ウルフ賞(1993年,物理学部門),日本国際賞(2003年)など,受賞も多数.
著書に『The Fractal Geometry of Nature』(Spektrum Akademischer Verlag),『Fractals and Chaos』(Springer)など,邦訳書に『フラクタル幾何学』(日経サイエンス社),『禁断の市場――フラクタルでみるリスクとリターン』(共著,東洋経済新報社)がある.
2003年に来日の際,小誌にも「フラクタル,その教育における役割――マンデルブロ博士東京レクチャー講演録」にてご登場いただいた.
齋藤裕(さいとう・ひろし)氏(京都大学教授)が2010年7月2日,逝去された.享年63歳.専門は代数学.
小誌では1996年4月号「整数の世界への誘い」(特集・「数」を考える)などを執筆いただいた.
森毅(もり・つよし)氏(京都大学名誉教授)が2010年7月24日,敗血症性ショックのため逝去された.享年82歳.専門は関数解析学.
教鞭を執る傍ら,数学教育協議会などの数学教育活動,テレビなどによる評論活動も行った.
『現代の古典解析』,『位相のこころ』(いずれも現代数学社,ちくま学芸文庫),『異説数学者列伝』(蒼樹書房,ちくま文庫),『ものぐさ数学のすすめ』(青土社,ちくま文庫),『数学大明神』(日本評論社,ちくま文庫),『すうがく博物誌』(童話屋)など著書が多数ある.
小誌創成期の1965年より長きに渡り執筆いただいた.
ウラジーミル・アーノルド(Vladimir I. Arnold)氏が2010年6月3日,逝去された.享年72歳.
ヒルベルト第13問題の解決,KAM理論とアーノルド拡散の発見など,数多くの業績を残した.1982年のクラフォード賞をはじめ,受賞も多数.邦訳書として『古典力学の数学的方法』(岩波書店),『古典力学のエルゴード問題』(共著,吉岡書店),『数理解析のパイオニアたち』(シュプリンガー・フェアラーク東京)などがある.
ポール・マリアヴァン氏(Paul Malliavin,パリ第6大学名誉教授)が2010年6月3日,逝去された.享年84歳.専門は確率解析学,調和解析学など.
現在では「マリアヴァン解析」と呼ばれている経路空間上の解析学を提唱した.著書に『Stochastic Analysis』(Springer),『Stochastic Calculus of Variations in Mathematical Finance』(共著,Springer)などがある.
マーティン・ガードナー氏(Martin Gardner,サイエンスライター)が2010年5月22日に逝去された.享年95歳.
1950年代より数学・科学ライターとして活躍し,『Scientific American』誌に掲載されたコラム「Mathematical Games」は25年間続いた.
また,パズルやマジック,疑似科学など70冊以上の著書を遺し,邦訳書として,『aha! Gotcha ゆかいなパラドックス(1),(2)』(日本経済新聞社),『奇妙な論理(1),(2)』(早川書房)などがある.
ウォルター・ルーディン氏(Walter Rudin,元・ウィスコンシン大学教授)が2010年5月20日,パーキンソン病のために逝去された.享年89歳.専門は関数解析学.
『Principles of Mathematical Analysis』や『Real and Complex Analysis』などの解析学の著作が有名で,邦訳書として『現代解析学』(共立出版)がある.
イズライル・ゲルファント(Israel M. Gelfand)氏が2009年10月5日,逝去された.享年96歳.専門は関数解析学および表現論.
作用素環論、無限次元リー環、調和解析、等質空間論など分野を超えて強力な影響力を持つ多くの業績を上げている。1989年には京都賞を受賞した。
茂木勇(もぎ・いさむ)氏(筑波大名誉教授)が2009年8月28日,悪性リンパ腫のため逝去された.享年89歳.専門は微分幾何学.
著書に『微分幾何学とゲージ理論』(共著,共立出版)などがある.
赤池弘次(あかいけ・ひろつぐ)氏(統計数理研究所名誉教授)が2009年8月4日,肺炎のため逝去された.享年81歳.専門は統計科学.
著書に『ダイナミックシステムの統計的解析と制御』(共著,サイエンス社),『科学の中の統計学――現代科学と統計数理の接点』(講談社),『赤池情報量規準AIC――モデリング・予測・知識発見』(共著,共立出版)などがある.
丸山正樹(まるやま・まさき)氏(京都大学名誉教授・同志社大学教授)が2009年4月13日,膵がんのため逝去された.享年64歳.専門は代数幾何学.
著書に『グレブナー基底とその応用』(共立出版)がある.
本誌では「現代代数学の歩み――マムフォード」(2005年7月号)などを執筆いただいた.
高村幸男(こうむら・ゆきお)氏(お茶の水大学名誉教授)が2009年3月21日,くも膜下出血のため逝去された.享年77歳.専門は微分方程式.
本誌では「数学者を目指す人のために「特異精薄」のすすめ」(1995年7月号)を執筆いただいた.
西島和彦(にしじま・かずひこ)氏(東京大学・京都大学名誉教授)が2009年2月15日,急性リンパ性白血病のため逝去された.享年82歳.専門は素粒子論.
著書に『場の理論』(紀伊國屋書店),『素粒子の統一理論に向かって』(岩波書店)などがある.
宮川鉄朗(みやかわ・てつろう)氏(金沢大学教授)が2009年2月11日,急性心筋梗塞のため逝去された.享年60歳.専門はナヴィエ-ストークス方程式.
小誌では2000年11月号に「特集・21世紀への問題:[ミレニアム賞問題]ナヴィエ-ストークス方程式」をご執筆いただいた.
茶谷正洋(ちゃたに・まさひろ)氏(東京工業大学名誉教授)が2008年11月19日,喉頭がんにより逝去された.享年74歳.専門は建築意匠.
折り紙の手法を応用して一枚の紙から立体的な造形物を表現する「折り紙建築」を考案.その後,世界中に普及した.
著書に『折り紙建築』(彰国社),『マジックハウス――とびだすペーパークラフト』(雄鶏社)など多数ある.
伊藤清(いとう・きよし)氏(京都大学名誉教授)が2008年11月10日,呼吸器不全により逝去された.享年93歳.専門は確率論.著書に,『確率論の基礎』,『確率論』(いずれも岩波書店)などがある.
自然界にある偶然性を伴う現象を説明するため「確率微分方程式(伊藤の公式)」を考案.2006年に第1回ガウス賞を受賞した.
草場公邦(くさば・としくに)氏(東海大学名誉教授)が2008年10月31日,急性呼吸窮迫症候群による敗血症により逝去された.享年71歳.専門は代数学.
著書に『行列特論』(裳華房),『数学の考え方いろいろ』(遊星社)などがある.
永田雅宜(ながた・まさよし)氏(京都大学名誉教授)が2008年8月27日,胆管がんのため逝去された.享年81歳.専門は代数学・代数幾何学.
可換環論において「鎖状環でないネーター環」の構成や「ヒルベルトの第14問題」を否定的に解決した.
京都大学在職中は後進の育成にも心血を注ぎ,広中平祐氏,森重文氏,2人のフィールズ・メダリストを輩出した.
小誌では1980年代より長きにわたり「エレガントな解答をもとむ」の問題をご出題いただいた.





